トヨタ・ヴィッツ1.3U(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ヴィッツ1.3U(CVT) 2005.03.24 試乗記 総合評価……★★★★ ……156万6600円 6年ぶりにフルモデルチェンジされた、トヨタの世界戦略コンパクトカー「ヴィッツ」。1.3リッターモデルの上級グレード「U」に、『webCG』本諏訪裕幸が試乗した。
|
無くてはならない存在
新型「ヴィッツ」のCMキャッチコピーは「水と、空気と、ヴィッツ」。毎日必ず必要なもので、さらにクオリティが重要となるものだ。
ミネラルウォーターにも当たり前のようにお金を払う、クオリティ重視のこのご時世。激戦のコンパクトカー市場。ニューヴィッツには、ファーストカーとしてのクオリティも求められている。
乗ってみると、優れたパッケージングはもちろんのこと、動力性能にも驚かされる。内装には、フリクションダンパー付きのアシストグリップや樹脂類パーツ間のギャップの少なさ、さらにエマージェンシーキーのカッティングが内彫りになっているなど、一昔前のコンパクトカーでは考えられない装備も備わる。パッと見てもわからない、そんなところのクオリティがすばらしく高い。
とはいえ、ことさら斬新なデザインを取り入れたわけでもない。「ヴィッツ」は「水」や「空気」と同様に、目立つ存在にはならないだろう。控えめではあるが、無くてはならないものとして、われわれのそばにいることを望んでいる、そんなクルマなのだ。たぶん。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年1月に誕生したトヨタの世界戦略コンパクトカー。国内市場では「カローラ」に次ぐ量販モデルであり、ヨーロッパでも「ヤリス」の名で広く浸透してきた。2005年2月にフルモデルチェンジされ、5ドアのみとなった。プラットフォームは新開発。広い室内と走行性能の向上を実現するため、ホイールベースとトレッドを拡大し、先代比で幅は35mm広く、ほぼ5ナンバー枠いっぱい。全長は110mm、ホイールベースは90mm長い。
エンジンは1リッター直3、従来からのキャリーオーバーとなる1.3リッターと1.5リッター直4の3種類で、トランスミッションは、FFがCVT、4WDは4段ATが基本。スポーティグレード「RS」には、5段MTが設定される。
(グレード概要)
1.3リッターで上級グレードとなるのが「U」。スマートエントリー&スタートシステムや4スピーカーなどの快適装備に加え、SRSエアバッグ&カーテンエアバッグ、盗難防止システム(イモビライザー)などが標準で備わる。また、シリーズ中唯一テレスコピックステアリングを装着。リアシートには6:4分割可倒式チルトダウン格納+格納式ヘッドレストを採用する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
センターメーターには、スピード、回転数がアナログ表示される。ナセル内、ATシフトインジケーターや電波時計の時刻表示も見やすい。ダッシュボード前面はほぼすべてが収納スペースになっており、モノの置き場に困ることはない。センターコンソールの丸いエアコンスイッチは、ビジュアルのアクセントになるだけでなく、回転させて調節する直感的な操作ができ、好感が持てる。試乗車にオプションで装着された「ワイドマルチAVステーションII(CDナビゲーションシステム)」は、目的地設定の際に丁目番地が入力できず、その点では使い勝手が良いとは言えない。
(前席)……★★★★
見た目より大振りなシートは、多少クッションが硬めだが座り心地はよい。座面が高く、視界も良好。
注目はこのグレードにのみ設定される「チルト&テレスコピックステアリング」。実際に使ってみると、いつもは遠くなりがちなステアリング位置を、好みの位置に持ってくることができた。適切なドライビングポジションを得るために重要な機能なので、他のグレードも標準にしてほしいところだ。
(後席)……★★★★
クラストップという前席との足もとスペース、謳い文句にウソはない。カローラにも匹敵する前後方向の余裕は、コンパクトカーとは思えないほど。しかし深く座ってしまうと176cmのリポーターの頭上に、余裕はほとんど無くなる。リクライニング可能なシートバックを使い、多少リラックスした姿勢で座ることになるだろう。トンネルがないフラットフロアだが、中央席にはヘッドレストがなく、シートベルトが2点式に格下げされるのは残念。座り心地は、座面、背もたれ共に硬い。
(荷室)……★★★★★
「RS」を除く1.3リッター以上のグレードに装備される6:4分割可倒式リアシートは、スライド/チルトダウン共に、ハッチ側から簡単なアクションで操作できる。フラットな状態をつくり出すデッキボードも便利なアイテムの一つだ。大人4人乗車状態でも最低274リッターの容量を確保する荷室には、撮影機材を山ほど積み込めた。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
CVTは小排気量エンジンでも、クルマをスムーズに加速させることが最大のメリット。ヴィッツでも十分にその恩恵は活かされており、町なかでの発進、高速道路の追い越し問わず、想像通りの加速を実現する。しかしスロットル操作によってはキックダウンが頻繁に起こり、(予想より)低いギアを選ぶクセがあるようだ。エンジン音は、負荷をあまり与えずに走るとき(1300〜1800rpm)には静かなのだが、2300rpmを越えたあたりから急に騒がしくなるのが気になる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
新開発のプラットフォームを用いたというニューモデルは、先代ヴィッツと比較すると、足まわりは硬めのセッティング。上下動の収まりが早く、ふわふわする印象はない。コーナリング中も安定姿勢を保つ。乗り心地は悪いわけではないが、従来の柔らかいイメージとはかけ離れている。欧州マーケットが以前より意識されたのか、乗り心地が快適となる速度域は70km/h超ぐらいであった。運動性能が高いのは歓迎だが、わが国におけるターゲットユーザーの好みに合うかどうかは疑問。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:本諏訪裕幸
テスト日:2005年2月28日〜3月2日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:892km
タイヤ:(前)185/60R15(後)同じ(いずれもダンロップSP SPORT2030)
オプション装備:ワイドマルチAVステーションII(GPS CDボイスナビゲーション付)(10万2900円)/185/60R15タイヤ&15×5.5Jアルミホイール(6万3000円)/ETC車載器(1万4700円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(4):山岳路(2)
テスト距離:442km
使用燃料:35.7リッター
参考燃費:12.4km/リッター

本諏訪 裕幸
-
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
NEW
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る
2026.6.6エディターから一言相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。 -
NEW
ボルボXC40ウルトラB4 AWD(4WD/7AT)【試乗記】
2026.6.6試乗記ボルボのエントリーモデルにしてブランドの屋台骨を支える「XC40」も登場からはや8年。これまで内外装やパワートレインにおいて地道なアップデートが重ねられてきたコンパクトSUVは、いかなる進化を遂げたのか。トップグレード「XC40ウルトラB4 AWD」の走りを報告する。 -
NEW
あの多田哲哉の自動車放談――三菱デリカミニTプレミアム DELIMARUパッケージ編
2026.6.5webCG Movies三菱の軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」が多くの人に支持される理由は、個性的なルックスだけなのか? トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんが、人気の秘密に迫る。 -
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.6.5試乗記「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。 -
KTM 990 RC R(6MT)
2026.6.5JAIA輸入二輪車試乗会2026今年も開催された「JAIA輸入二輪車試乗会」より、魅惑のバイクを一挙紹介! 先陣を切るのは、この4月に発売されたばかりの「KTM 990 RC R」だ。オーストリアの雄が放つ最新鋭のスーパースポーツは、意外や“速さ”以外にも見どころの多い一台だった。 -
空冷の「スポーツスター」が復活!? ハーレーダビッドソンの定番商品はどんなバイクとなるのか
2026.6.5デイリーコラムハーレーダビッドソンが、一度は廃止した空冷の「スポーツスター」の復活を発表! 伝統の一台はなぜ絶版の憂き目にあい、そしてよみがえることとなったのか? ファンに愛される定番車種を刷新する難しさと、新型に課せられた使命、そして課題を考察した。





























