トヨタ・アレックスRS180(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アレックスRS180(4AT) 2004.08.18 試乗記 ……252万7350円 総合評価……★★★ 2004年4月27日にマイナーチェンジを受け、内外装、装備が向上した「カローラ」シリーズ。ハッチバックモデルの「アレックス」に、自動車ジャーナリストの笹目二朗が試乗した。
|
パワフルな走行性は魅力
今回のマイナーチェンジでは、主に外観のリファインに意が注がれた。丸みを増したノーズの処理はよりスムーズな流れを見せ、デザイン的にも洗練された。加えて明確な説明はないものの、目に見えない部分で細部の煮詰めも当然行われており、初期モデルから進化した駆動性の滑らかさや、足まわりではNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)の処理など、走行性全体がリファインされた。
このクルマは、日本の路上より欧州で見かけるチャンスが多いが、5ドアハッチバックという実用性の高い便利な車型と、軽快でパワフルな走行性はおおいに魅力。
エンジンの高性能ぶりと比較して、いまどき4段のATが取り残された感じで足を引っ張る。よってスポーティさを求めないのであれば、1.5リッターの廉価版で十分、4WD仕様もある。エンジンを楽しみたいのであれば、6MTを選ぶべきだろう。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年1月に発売された「カローラ」のハッチバックモデル。ちなみに、トヨタカローラ店で売られるのが「カローラランクス」、ネッツトヨタ店で販売されるのが「アレックス」である。
エンジンは、可変バルブタイミング機構「VVT-i」搭載の1.5リッター(110ps)と1.8リッター(132ps)、さらにバルブのリフト量も変化させる「VVTL-i」を採用した1.8リッター(190ps)の3種類。VVT-i搭載モデルには、FFのほか、4WDモデルも用意される。
(グレード概要)
アレックスのVVTL-iを採用した1.8リッターモデルが「RS」。ランクスでは「Zエアロツアラー」。4ATのほか、6MTを備えたスポーティバージョンも用意される。エクステリアにフロントスポイラー、サイドマッドガードなどを装着。インテリアに、メタルメッシュ調パネルやメッキのインサイドドアハンドルを使った“ちょっと豪華版”だ。190psユニット搭載車は、足まわりが強化され、フロントブレーキが大径ディスクブレーキ、ローダウンサスペンション&パフォーマンスダンパーが備わる。
2004年4月27日のマイナーチェンジで、内外装の意匠に変更を受け、“スポーティ”が強調された。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
販売対象を若者としているせいか、数字などの表記部分の処理にややガキッぽさを感じる。内容は充実しているのだから、つくり方によってはもっと高級感を演出できる。そうすれば、ランクスとの棲み分けは可能なハズ。膨大な数を誇るトヨタ内の階級制を考えると、この辺に落ちつくのかも。しかし、この押しつけにユーザーは満足すべきではない。
(前席)……★★★
シートそのもののサイズや形状は納得できるが、前後長はやや不足気味。表皮は布にもかかわらず少々滑りやすい材質なのが難点。座面後傾角はもうすこし欲しい。スポーティな運転には、サイドの盛り上がり部分がもっと前まであった方がいい。またはニーパッドを追加するのも手だ。ランバー部の張り出しは不足。ヘッドレストは遠め。ステアリングにテレスコ調整が欲しい。
(後席)……★★★
座り心地はまずまず。スペース的にも窮屈な感じはしない。足先も前席下に余裕あり。ヘッドクリアランスも十分。乗り心地は硬く、上下動に見舞われ、フラット感に欠ける。とはいえ、トヨタ車のいい点は許容限度を心得ており、けっしてNG域までには達しないことか。リアドアは結構長く、乗降性は良好。後部3面のウィンドウのブラック処理はやり過ぎ。
(荷室)……★★★
ハッチバックのトランクとして期待する広さは確保されている。棚までの天地寸法は思ったより大きい。バンパー部の敷居は、開けた時になかから荷物が転げ落ちなくていい。フロア下にも小物入れがあって便利。サスペンション部分の張り出しもすくない方で、リアシートを倒して広げて使う時にも、くびれ部分の横寸法はまずまず。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
軽快でシャープに吹け上がり、トルク、レスポンス共に上々。特に6000-7500rpmに至る高回転でのフィニッシュは見事。ただし、4ATでは職責をまっとうできない。ストレスいっぱい。ステアシフトもコーナーの連続では使いにくい。このエンジンを買うなら6MTを選ぶべきだ。6MTなら★は5個?
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
どちらかといえば操縦性指向のチューンであり、ハンドリングは楽しく軽快。コントロール性も最上級。タイヤグリップに頼らない性格がいい。油圧パワーステアリングのフィールも良好。これで乗り心地にもうちょっとフラット感が加われば、スポーツハッチとしてシニアレベルの上級者にもお勧めできる。
(写真=荒川正幸/2004年8月)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年6月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2128km
タイヤ:(前)195/60R15(後)同じ(ミシュランENERGY)
オプション装備:G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション(26万2500円)/ブラインドコーナーモニター&音声ガイダンス機能付きバックガイドモニター(5万9850円)/SRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ(6万3000円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(5)
テスト距離:222.9km
使用燃料:20リッター
参考燃費:11.1km/リッター

笹目 二朗
-
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】 2026.10.17 三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
NEW
トヨタ・ランドクルーザー“300”GRスポーツ(4WD/10AT)【試乗記】
2026.10.19試乗記トヨタの「ランドクルーザー“300”」にハイブリッドパワートレイン搭載モデルが登場。環境負荷低減のために牙を抜かれた……どころか、電気の力を味方に、さらに力強さを増しているから面白い。愛知県のオフロードコースで乗った印象をリポートする。 -
NEW
フェラーリが「日本上陸60周年」 記念祭から“ブランドの今とこれから”を読む
2026.10.19デイリーコラム「日本上陸60周年」を祝うファン感謝イベントを開催したフェラーリ。自動車界に燦然と輝くハイブランドは、いま何を目指しどこに行こうとしているのか? 経営トップの談話を交えながら推察してみよう。 -
日産キックスX e-4ORCE(前編)
2026.10.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「日産キックス」に試乗。デザインが新しいのはもちろんのこと、まさに下ろしたての最新のパワートレインを搭載。日産の大きな期待を背負ったコンパクトSUVである。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。






