ローバー75ツアラー(5AT)【ブリーフテスト】
ローバー75ツアラー(5AT) 2003.10.10 試乗記 ……425.0万円 総合評価……★★★★ 日本市場へ再上陸を果たしたローバー&MG。メイン車種たる「75」には、かつてのサルーンに加え、ツアラーことワゴンもラインナップされた。『webCG』記者による報告。
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スポーツカーが嫉妬する
いうまでもなく「ローバー75」のワゴン版。バックドアとは別に、リアウィンドウだけを開閉できる便利機構付き。エンジン、トランスミッションといった機関面はサルーンと同じながら、タイヤはワンランクアップの「225/45R17」。乗り心地はちょっぴり硬め。
……てなことより、ごく自然に伸びたルーフと、違和感ないリア部分、品よくまとめられたスタイリングが、75ツアラー最大のウリ。猫も杓子も、セダンもヨンクもトラックまでもが声高に“スポーティ”を主張する昨今、ドアハンドルほか随所に配されたメッキパーツ&モール類がエレガント。“中流の上”御用達ブランドも、いまや相対的に“典雅”な雰囲気。スポーツカーが嫉妬するのは、こういうワゴンでしょう。★ひとつは雰囲気代。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ローバー75は、それまでの「600」シリーズを引き継ぐカタチで、1998年10月のバーミンガムショーで登場。BMW傘下で開発されたFF(前輪駆動)サルーンとして話題になった。が、ローバー部門の収支悪化のため、2000年春には、英国の投資家グループに売却された。その後、2001年にワゴンボディが加わる。本国では4気筒および2リッターV6もカタログに載るが、日本で販売されるのは2.5リッターV6のみ。
姉妹車に、「MG ZT」と「MT ZT-T」がある。
(グレード概要)
日本に入るローバー75は、「2.5リッターV6+5段AT」のペアだけとなる。ステアリングホイールの位置は右。全車レザー内装である。
テスト車のツアラーは、2001年のバーミンガムショーでデビューしたモデルだが、当時、わが国には輸入されなかった。機関面は、サルーンに同じ。ただしタイヤサイズが、サルーンの「215/55R16」から、ツアラーは「225/45R17」にグレードアップされる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ウッドパネルをふんだんに用いたインパネまわり、目におだやかなクリーム地のメーター類、そして随所に配されたメッキパーツと、ローバー75の室内は、むせかえらんばかりのブリティッシュテイスト。とはいえ、文法通りのインテリアが、しっかり居心地のよさを生んでいる。
大きなドアポケットはじめ、ダッシュボード右、左、シフター前の、柔らかく深さのある小物入れが使いやすい。趣味性のみならず、実用性も高い。センターコンソール上部のウッドのひさしは、そのまま引き出してコンソール部をカバーできそうだが、純然たるひさし。固定されている。デザイン上のアクセントか?
(前席)……★★★
英国車らしく、小ぶりなシート。座り心地はいい。左右とも8Wayのパワーシートで、さらに座面角度、ランバーサポート用に、2つのダイヤルが備わる。洒落たパイピングが施されたシートには、4種類のカラーバリエーションが用意される。
(後席)……★★★★
前席に勝るとも劣らぬ居住性が提供されるリアシート。着座位置はやや低め。クッションは豊かで、立ち気味のバックレストもイイ。膝前、頭上とも、じゅうぶんなスペースが確保される。
前席トンネルコンソール後端に、後席用エアコン吹き出し口あり。シートバック前縁中央には、2人分のカップホルダーが仕組まれる。荷室とキャビンを区切る引き出し式ネット「インテグラルネットカセットシステム」が標準で装備されるので、人員運搬および荷車として活用するオーナーも安心。背もたれは、分割可倒式。
(荷室)……★★★
ガラスハッチ単独で開閉できるリアゲートが便利。バンパーとフロアに段差がないのがいい。ラゲッジルームは、床面最大幅147cm、奥行き105cm、パーセルシェルフまでの高さは35cm。純粋な“物品運搬車”と見ると、控えめな大きさだが、リアシートは分割可倒式だし、肘かけ部分を貫くトランクスルーも備わるので、使い勝手はよさそう。
ダンパー付き(!)のフロアを上げれば、スペアタイヤと同居にはなるが、床下を補助スペースとして使うこともできる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
1998年のデビュー当時は“プレミアム”モノだった5段ATだが、5年後のいまでは、相対的に神通力が弱まった。ストップ&ゴーの激しい都内で乗ると、赤信号の前で、シフトダウンの手際が悪いと感じるときがある。
組み合わされるパワーソースは、「800シリーズ」から受け継いだ90度V6「KV6」ユニット。マルチシリンダーながら、華はない。177psと24.5kgmのアウトプットは、適度な余裕。ただし、街なかドライブでは、2000rpm前後で唸る癖がある。75ツアラーの動力関係はフェアなものだけれど、クルマのルックスほど魅力的なものではない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ほどほどの乗り心地。まあまあのハンドリング。頑強とはいいかねるボディの剛性感。75ツアラーのドライブフィールは、これまた見かけほど印象に残るものではない。
フロントがマクファーソンストラット、リアにマルチリンクを奢ったBMWゆずりのアシまわりは、少々荒れた道でも、破綻なく路面を捉え続ける。全体に穏やかな性格で(特徴がない、とも言える)絶対的には不満ないのだが、優雅な内外観ゆえ、ステアリングホイールを握るにあたっての期待値が高すぎる……?
(写真=高橋信宏、清水健太)
【テストデータ】
報告者:webCGアオキ
テスト日:2003年9月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1806km
タイヤ:(前)225/45ZR17 90W(後)同じ(いずれもDunlop SP Sport3000)
オプション装備:−−
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
テスト距離:293.5km
使用燃料:43.5リッター
参考燃費:6.7km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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