「なぜ前輪駆動が多い?」
2001.04.10 クルマ生活Q&A ボディ「なぜ前輪駆動が多い?」
駆動方式について質問させてもらいます。今の車の大半が駆動方式がFWD(前輪駆動)になっているのはどうしてなのでしょうか? FWD、 RWD(後輪駆動)、ミドシップの良いところ、悪いところを教えて下さい。軽、小型車はFWDが、大型車にRWDが多いのは、何か理由があるのでしょうか? (鳥取市Mさん)
お答えします。現在の乗用車の多くが前輪駆動を採用しているのは、軽量化、省燃費、限られたサイズの中での居住性といった点を考えてのことです。エンジンとギアボックスとディファレンシャルギアをまとめることで駆動系が簡略化できるのです。
そのいっぽうで、動力と駆動系、操舵系のすべてをフロント部分に搭載することでドライブシャフトとステアリング系への負担が大きくなります。そこで、その部分の重量がかさまない軽自動車から中型車を中心に、前輪駆動方式が採用されています。
高級車に多い後輪駆動方式は、フロントのエンジンとリアの駆動系の振動を全体に分散することができるので、乗り心地や静粛性に優れます。加えて、大きなトルクや高負荷でも力が集約しないため、各部のパーツへの負担を少なくできるというメリットもあります。デメリットは、部品点数が多く、室内空間やトランクスペースに制約が生まれる、という点です。
ミッドシップは後車軸の前にエンジンを搭載しています。重心が車体の中央部になることから、前後に片寄りがないスムーズなハンドリングを実現したいとき採用されるレイアウトです。そこでスポーツカーにも多く用いられるわけです。しかし室内空間に制約が出来るのが短所としてあげられます。乗員数は2人乗りになってしまうことが多く、多目的に使用することができません。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。