トヨタ・ポルテ1.5G(FF/CVT)/スペイド13X(FF/CVT)【試乗記】
もうフツーのには戻れない!? 2012.08.16 試乗記 トヨタ・ポルテ1.5G(FF/CVT)/スペイド13X(FF/CVT)……225万7350円/182万9750円
助手席側に大きなスライドドアを持つ個性派コンパクト「トヨタ・ポルテ」が、8年目にして初のフルモデルチェンジ。使いやすさを向上したという新型を兄弟車「スペイド」とともに早速試した。
クルマのデザインじゃない!?
「あぁ〜。やっぱムリだわ……。」
ポカンと口をあけたような「ポルテ」の顔を見た瞬間、シュルシュル〜ッと全身の力が抜けてきちゃいました。インパネにいたっては、ドアを開けた途端、「見なかったことにしよう」と、ドアを閉めてしまったほど。丸や四角の造形がボコボコ飛び出し、スタイリッシュさとは無縁。特にフロマージュのインテリアは、ベージュにブラウン、どぎついオレンジ色と、狭い空間に3色もの配色が施されている。なんで、こんな風になっちゃったんだろ!?
ところがその後、開発陣の一言で、胸のつかえがスーッと消えていくのを感じたんです。
「インテリアは“クルマ”という概念からなるべく離れるようにデザインしています」
そうだったのか!
ティッシュボックスが入るグローブボックスに、500ミリリットルの紙パックや化粧ポーチなどが入る深めの収納など、形も大きさもさまざまな日常のこまごまとしたものを収めるこのスペース、家の中でたとえるなら、そう、台所よ! インパネをシステムキッチンと考えれば、とってもよく整理されている。大小ある鍋やフライパン、フタやザル、そんなものが所せましと乱雑にひしめいているウチのキッチンとは大違い。
ここまで整理できたら、たいしたもんです! 主婦のかがみです!!
安定感のある走りも自慢
“扉”という意味を持ち、大開口のワイヤレス電動スライドドアがウリのポルテ。2代目となる新型には、運転席側にもう一枚スイングドアがプラスされ、さらに使い勝手をよくしています。インテリアを共通にしながらも、エクステリアは、癒やし系の「ポルテ」と、今回新しく設定された精悍(せいかん)な印象を与える「スペイド」の2タイプから選ぶことができる。見た目はまったくの別物。
エンジンは1.3リッターと1.5リッターの2タイプで、ともに「カローラ」や「ラクティス」に搭載されているのと同じ型のエンジン。全車にCVTを搭載し、加速性能をよくしているほか、燃費アップにも貢献。アイドリングストップ機能がオプション設定され、アイドリングストップ機能を搭載した1.5リッターFF車のJC08モード燃費は20.6km/リッターを達成しています。
まずは、1.5リッターモデルの「G」に試乗。すると走りだしから、しっとりした足まわりに思わずうっとり。低速からトルクが太く、加速もなめらか。走行中、室内がとても静かなことも、ポイント高いです。それに、全高が1690mm(4WD車は1720mm)もある背高モデルながら、ハンドルの切れもよく、コーナリングも思いのほか得意なことにビックリ。
続いて1.3リッターモデルの「X」に試乗。こちらは、アクセルを踏み込むと「ウイーーーン」という音が車内に響き、非力感があるのは否めないものの、いったんある程度加速してしまうと、その後はすーーっと軽やかに走ってくれました。余裕をもってドライブを楽しむなら、断然1.5リッターがおすすめですが、街でのちょい乗りが中心で、エンジン音にさえ慣れてしまえば、1.3リッターモデルでも問題なく使えそうです。
とにかく、新型ポルテのソフトな乗り心地や、安定感のある走りには驚かされました。そもそも、この手の機能満載のファミリーカーっていうものに対して、「動けばいい」程度の期待しかしてなかったんで……。ポルテ、大きな扉だけじゃなくて、走りもイイです!
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
とにかく機能が豊富
冒頭で散々悪態をついておきながらなんですが、室内を細かくチェックしていくと、さまざまな機能がてんこ盛りなんですよ。
収納スペースだけでも、それぞれに工夫がされているんです。例えば、助手席アッパーボックスは、収納の一番下にティッシュボックスを逆さに入れることによって、下からペーパーが取り出せる仕組みに。美容院などで棚の下からタオルを引っ張って取り出す方式をヒントに取り入れた工夫とのこと。これはクセになりそう!
ステアリング奥には、ストローをさしてそのまま飲める500ミリリットルのブリックパックがぴったり入るスペースが用意されるほか、隣には女性の化粧ポーチなどが入る深めのスペースが。先代から好評だったという傘立てには、受け皿が付き、きれいに雨水を拭えるようになっています。
小さな子供を持つファミリーにうれしいのが、高さ300mmという低いフロア高。ベビーカーの前輪をフロアまで持ち上げて、そのまま畳まずに室内に収納することができます。車内でオムツ替えをすることも考え、運転席の下に、オムツ袋がそのまま入るよう設計されているのには「ここまでやるか!」と脱帽。
特に面白いと思ったのは、スライドドア側のセンターピラーに付いている目盛り。これは子どもの身長を測るメジャーで、洋服を買いに行ったりするときにも便利だし、家族の会話も増えそうです。
助手席のスライド機能にかなり力を必要とすることだけが、唯一“難あり”な点ですが、それ以外は本当によく考えられています。もう、ワガママは言いませ〜ん!
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
|
マネのできない、細かい心配り
再び、冒頭で散々悪態をついておきながらなんですが、試乗したり、室内チェックしたりしてるうちに、「一度ポルテユーザーになったら、もうほかのクルマに乗れなくなっちゃうな」とまで思うようになってしまいました。これはポルテの魔法でしょうか!?
ポルテって、クルマというより家に近いんですよ。例えば、センターピラーの目盛りは、「柱に背丈をしるす」という家の習慣から生まれた発想だし、よく整理された家の中のように、導線がうまく機能して、欲しいものがすぐ手に届く場所にある。だから、ムダな動きをせずに"生活"できるんです。
|
通常、クルマのデザインは左右対称なので、片側だけデータを作り、それを反転させればいい。ところがポルテの場合は左右非対称なため、データは2倍。それだけコストもかかったのだとか。つまり、それだけたくさんの機能が詰まっているってことなんですよ。
ポルテは、おもてなしの心が宿る日本だからこそ生まれたクルマ。日本が誇るオンリーワンカーといってもいいんじゃない!?
だって、私もティッシュ、下から取ってみたいですもん(笑)。
(文=スーザン史子/写真=荒川正幸)

スーザン史子
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。 -
第970回:クルマの背中に浮かぶ文字たち――空いた字間が語るもの
2026.7.16マッキナ あらモーダ!アナタは自動車のボディー背面に施されたメーカー/ブランドのロゴについて考えたことがあるだろうか? 字間を詰めたり、広げたり、時代によって変わるそのトレンドと、その背景にあるメーカーの思惑を、自動車史にも精通する大矢アキオが語る。

































