三菱エアトレック 【試乗記】
三菱エアトレック『ちょい乗り』試乗報告 2001.07.24 試乗記 2001年6月20日から発売が開始された三菱エアトレック。「ミニバン」「ステーションワゴン」「SUV」の長所をあわせもつ次世代クロスオーバーRV「スマートオールラウンダー」を謳う。webCG記者が、試乗会に参加した。
拡大
|
拡大
|
■「ストレスフリー」がキーワード
三菱エアトレックは、ランサーセディアワゴンの車高を上げ、ランエボゆずりの4WDシステムを組み込んだクルマである。“日常からレジャーまで”“オンロードもオフロードも”こなす、「スマートオールラウンダー」だという。
「ニュージャンルのクルマです。クロスオーバーとでもいいましょうか」とは、エアトレックの開発をまとめたプロジェクトエンジニアの田中武彦主幹。「複数の種目に強い、いわば十種競技の選手を目指しました」とも。ソリャずいぶん地味なスポーツを選びましたな。
「コンセプトのインスピレーションは、クラスは違いますが、やはりトヨタ・ハリアーからですか?」とリポーターがうかがうと、「あそこまで行っちゃうと……」と、隣に座ったマーケティング担当の方が眉をひそめる。乗用車ベースのSUVでさえ、「大袈裟だ」ということだ。
エアトレックのボディサイズは、全長4410mm、全幅1750mm、全高は立体駐車場に入れられる1550mm。「ストレスフリーがキーワードです」と田中主幹が言葉を続ける。都会でも扱いやすい車両寸法、195mmの最低地上高と16インチの大径タイヤでオフロード走行にも対応。クルマの長さはセディアワゴンより15mm短いが、一方、ホイールベースは25mm長い2625mmである。高めのハイトとあわせ、「広いゆとりある5シーターキャビン」がジマン。腰をズラせば乗り降りできる、600mmの座面高も工夫したトコロだ。
エンジンは、直噴の2.4リッター「GDI」ユニット(139ps、21.1kgm:平成12年度基準排出ガス25%低減レベル)と、コンベンショナルな2リッター(126ps、17.6kgm:同50%低減レベル)の2種類。いずれも直列4気筒エンジンで、前者はDOHC16バルブ、後者はSOHC16バルブである。どちらにもスポーツモード付き4段ATが組み合わされる。
2.4リッターモデルから試乗した。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
■なにはともあれテラコッタ
エアトレックは、正面から見るとボディが上部および下部にいくに従って絞られる、「ダンブルフォーム&ターンアンダー」スタイルを採る。デザイン担当主席の方によると、「パッと見、乗用車ですが、前後フェンダーのフレアが大きく、ピラーが太いのがポイント」だそうです。キリリとして、なかなかいいカタチだと思う。
2.4リッターモデルには、「2駆」「4駆」を問わず、ベーシックな「24V」と装備を奢った「24V-S」が用意される。フロントフォグランプ、サンルーフの有無、ステアリングホイールが本革巻きかなどが主な違いとなる。
「24V」のFF車に載る。乗用車とSUVの中間の高さを狙ったというシートに座ると、ガランと広い。グレーを基調とした「ジェントル内装」のせいか、いまひとつ気分が盛り上がらない。センターコンソールからニョッキリ生えるシフターの丸い先端がボールのようだ。
走り出すと、2.4リッター直噴ユニットの出力はじゅうぶんだが、低いエンジン音がかすかに室内にこもるところが、いまひとつ。パワステは妙に軽いし、ブレーキの制動力の立ち上がりは鈍く感じられ、また215/60R16(ヨコハマGeolandar G035)のタイヤを履く足まわりもバタつきがち……、と個人的な評価は冴えない。
ところが、「カジュアル内装」ことテラコッタのアクセントカラーを随所に配した「24V-S」(4WD)に乗ったとたん、ココロのなかのエアトレック評価がガラリと変わった。「都市生活者の“脱出と解放”」(広告テーマ)にふさわしい雰囲気がある。セディアワゴンでなく、エアトレックを選んだ甲斐がある。
ヨンクの豪華版ということもあって「24V」より120kgも重いけれど、走行していて安心感が高いし、ステアリングホイールを握る左手のすぐ脇にある、シフター先端のオレンジ色の縫い目も楽しい。エアトレック買うなら、「なにはともあれテラコッタ」と思った。それに、V-Sに標準装備のダブルサンルーフからは燦々と陽光が降りそそぐ。リアシートのヒトもウレシイ(除く真夏)。フロントはアウタースライド可能、リアは固定式である。
なお、エアトレックの4WDシステムは、センターデフによって、通常は前後半々にトルクを分配、前後輪の差動はビスカスカプリングが受け持つ。
拡大
|
拡大
|
■ベストチョイスは……
「田中さんがエアトレックを買われるとしたら、どのグレードを選びますか?」とうかがうと、開発主幹は声をひそめて「2リッターでじゅうぶんだと思うんですよ」とおっしゃる。リポーターが、「バーシックグレードの『20E』は170.0万円からですから、価格もリーズナブルですよね」と言うと、なぜか慌てて「いや、どのグレードもそれぞれお客さまのニーズがありますから……」とのこと。
実際、2リッターFFの「20V」はよかった。2リッターシングルカムは、少々古めかしいが、ライブリィで“エンジン”らしい。INVECSIIのスポーツモードを用いてギアをチェンジすると、活き活きとレスポンスする。走りも軽快だ。エアトレックをカジュアルに使いたい向きには、「20V」のテラコッタ内装を選び、オプションのサンルーフを付けるのがイイんじゃないでしょうか。
「ミニバンのもつ日常での使いやすさ」「ステーションワゴンのもつスポーティな走り」「SUVのオフロード走行性能」をあわせもつ次世代クロスオーバーRVと謳われるエアトレック。「結局アブハチ取らずなんじゃあないでしょうか?」とは、もちろん聞かず、「良さがわかりにくいかも知れませんね?」と田中主幹に水を向けると、ウーンと渋い顔をなさってから、「まあ、少しずつ浸透するんじゃないでしょうか」と答えられた。
販売開始から約1カ月。「爆発的に売れた!」というニュースはまだ聞かない。
(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2001年7月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。



































