三菱eKワゴン 2WD M Xパッケージ(3AT)【ブリーフテスト】
三菱eKワゴン 2WD M Xパッケージ(3AT) 2001.10.17 試乗記 ……99.8万円 総合評価……★★★★ |
乾坤一擲、失地回復
1998年の軽自動車規格改定で、「軽のグレードアップ」の波に乗りきれなかったミツビシが、乾坤一擲、21カ月という超短期間で開発したセミトールワゴン。ミニカのフロアパネルを活用、都市部のタワーパーキングに入庫可能な1550mmの車高をもつ「タル型造形」ボディを載せた。この場合のタル型とは、真上からみて前後が絞られること。四隅のタイヤの踏んばり感を強調したという。
ドライブトレインは、コンベンショナルな「0.66リッター+3段AT」。40から60km/h間でのギアチェンジを避け、街なかドライブに焦点を絞った明快な選択。これぞエンジニアリング。フロントに井形状フレームを追加して衝突安全性を向上、前後ともセッティングしなおした足まわりは、ちょっと「軽」とは思えないしっかり感。コーナリング時のリア追従性も落ち着いたもの。
抜群のポテンシャルをもつ「excellent K-car」こと三菱ekワゴン。惜しむらくは、ホンダ・ライフに遅れることまる2年の失われた時間。コンセプトで先行許すも、商品力で失地回復を図る。
|
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年10月11日に発表されたセミトールワゴン。“ジャストバリュー・ワゴン”をコンセプトにした「excellent K-car」、と謳われる。ほとんどの立体駐車場に入れられる1550mmの車高、「軽ユーザーに共通の嗜好を採り入れた」(プレスリリース)シンプルな外観がウリだ。真上から見て前後を絞って踏んばり感を、またB、Cピラーをブラックアウト処理して横長感を強調した。9色と豊富なボディカラー展開がジマン。
(グレード概要)
eKワゴンの機関は、「660cc+3AT」の1種類。駆動方式は、FFほか、ビスカスカプリングを用いた4WDが用意される。基本的なグレードは「M」のみ。Xパッケージは、Mにルーフスポイラー、電動格納式ドアミラー、リア間欠ワイパー&ウォッシャー、アルミホイールをセットにしたもの。なお、eKワゴンは、カスタム、ドレスアップカーがつくれる後付けボディパーツのメニューを充実、「Coast Runner 」「Small Athlete 」「M2」「ROAR」がカタログに載る。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
クリーンな外観と比較すると、いささか煩雑にすぎるインテリア。ミツビシ得意の“ガンダム”調テイストを残す、単純な直線と曲線が多用されたダッシュパネル。センターメーターは、ドライバーの視線移動が少なく、焦点を合わせやすいというが……(レンズが上下にわかれた遠近両用メガネを使うヒトには特に有効という)。キー、ドアカップホルダー、「プチごみ箱」、霜取りにもなるドアポケット仕切り「霜とりクン」の、とってつけたようなトランスルーセント(半透明)化はいかがなものか。
(前席)……★★★
限られた室内幅を最大限に活かすべく、フロントベンチシートが採用された。コラムシフトと足踏みパーキングを組み合わされ、サイドウォークスルーの便利さはともかく、足もとすっきり。シート地に好みはあれど、座り心地に貧相さはない。アームレストはご愛敬。軽の運転席でくつろいでどうする。
(後席)……★★★★
前席よりヒップポイントが上げられたリアシート。フロント630mm、リア655mm。座面は短めだが、いわゆるアップライトな姿勢でキチンと座れ、かつヘッドクリアランスも不足しない。ムリに多彩なシートアレンジを追求しないのがよかったか、かけ心地もまずまず。軽としては望外に居心地のいいリアシート、と言ったら褒めすぎか。残念なのは貧弱なヘッドレストで、2段階調整式なれど絶対的な高さが足りない。
(荷室)……★★★
床面最大幅100cm、奥行き48cm、ルーフまでの高さは96cm。ボディサイズが規制される軽自動車としては、こんなものだろう。リアシートは分割可倒式。倒した背もたれとフロアの段差をなくす「ラゲッジボックス」がディーラーオプションで設定される。なお、リアゲイトは2本のダンパーで支えられる贅沢なもの。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
50psと6.3kgmを発生する660cc直3SOHCユニット。シンプルかつ実用トルクを重視したまっとうな「軽」用エンジン。エアクリーナー、エアダクトの設置場所、吸気レゾネーター、クーリングファンなどの改良により、騒音、振動を軽減したという。鈍感なリポーターにはとりたてて抜きん出た素質は感じられなかったが、各ギアの守備範囲が広い3段ATの恩恵で、60km/hまでは頻繁なギアチェンジがなく、使いやすいドライブトレイン。ただ、さすがに80km/hを越えると、ガランと広い室内に騒音が充満する。街なかドライブに割り切った、それはそれで正しい選択だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
「前/後=マクファーソンストラット/3リンクのリジッド」と、ミニカとサスペンション形式は共通なれど、スプリング、ダンパー、スタビライザー、ブッシュ、各パーツが見直され、ややファーム(硬め)になった乗り心地。衝突安全性向上のため、フロントアンダーフロアは、ダンパーの取り付け位置はそのままに、井形フレーム化された。ベース車ミニカのロック・トゥ・ロック=3.7から3.2にステアリングギアが速められ、またステアリング切り始めの不用意なロールもないので、eKワゴンはシャキッとした運転感覚。ハンドリングも正確で、「軽だから」と諦めることはない。小さいコーナーの連続も、アゴを出さすにキッチリこなす。155/65R13と、ようやくライバルに追いついたタイヤも効いている。
(写真=阿部ちひろ)
|
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年10月15日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:−−
タイヤ:(前)155/65R13 73S/(後)同じ(いずれもヨコハマ S-217F)
オプション装備:Xパッケージ=ルーフスポイラー+電動格納リモコンドアミラー+リア間欠ワイパー+13インチアルミホイール(8.9万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(9):山岳路(1)
テスト距離:−−
使用燃料:−−
参考燃費:−−

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
アウディA6アバントTFSIクワトロ200kW(4WD/7AT)【試乗記】 2026.10.5 今も昔もアウディの中核を担うアッパーモデル「A6」。その最新世代の「アバント」に試乗した。堂々とした優雅なボディーに最新のハイブリッドシステムを搭載したステーションワゴンは、いかなる走りを見せてくれるのか。その実力をリポートする。
-
ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン(FF/CVT)【試乗記】 2026.10.3 フロントグリルとメッキパーツの面積が大きくなって迫力が増した最新の「ホンダN-BOXカスタム ターボ」に試乗。マイナーチェンジで進化した内外装の仕上がりと、軽四輪車の販売で11年連続の首位を誇る“絶対王者”の走りを報告する。
-
日産エルグランドG e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.9.30 日産のプレミアムミニバン「エルグランド」がフルモデルチェンジ。その動力を担う第3世代の「e-POWER」は優れたドライバビリティーとともに、懸案だった高速燃費の改善もうたう。ロングドライブで進化のほどを確かめた。
-
ポルシェ911ターボS(4WD/8AT)【試乗記】 2026.9.29 「ポルシェ911」シリーズのなかでも最上位に位置するモデル「ターボS」。ポルシェ独自のハイブリッドと2基の電動ターボチャージャーを得た最新モデルは、どのような走りを備えているのか? 最高出力711PSのハイパフォーマンスモデルの実力に触れた。
-
NEW
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.10.8試乗記フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。 -
NEW
「アプライドD」で何が変わった? スバルの「インプレッサ」と「クロストレック」の進化を探る
2026.10.8デイリーコラムスバルが「インプレッサ」と「クロストレック」の改良モデル「アプライドD」を発表した。モデルライフの折り返し地点となる今回の改良では、ラインナップの刷新がトピック。その内容とスバルの狙いを、スバリスト玉川ニコ氏が解説する。 -
NEW
“クルマづくりのプロ”の話をライブで配信! 「あの多田哲哉のクルマQ&A」公開収録のお知らせ
2026.10.7From Our Staff元トヨタの多田哲哉さんが、自動車に関するさまざまな疑問・質問に答える「あの多田哲哉のクルマQ&A」。その話がライブで聞けて質問もできる公開収録を、10月15日(木)の夜、19時半から実施します。 -
NEW
咆哮なき電気自動車「ジャガーTYPE 01(タイプ01)」に“ジャガーの魂”は宿るのか?
2026.10.7デイリーコラムいよいよ正式デビューを飾った、新生ジャガーのラグジュアリー4ドアGT「TYPE 01(タイプ01)」。いったいどんなクルマなのか、従来のファンも納得できる“ジャガーらしさ”はあるのか? 先行チェックした西川 淳がリポートする。 -
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】
2026.10.7試乗記新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。 -
第131回:新型三菱パジェロ(後編) ―レトロブームには頼らない? 最新のデザイントレンドを追求した三菱の思惑―
2026.10.7カーデザイン曼荼羅正式発表を間近に控え、ますますファンの間で話題が盛り上がっている新型「三菱パジェロ」。歴史的な旗艦の復活だというのに、三菱があえてレトロブームに乗らなかった理由とは? カーデザインの識者とともに、新型パジェロに見る最新のデザイントレンドを探る。


































