ホンダ・ストリームL(4AT)【ブリーフテスト】
ホンダ・ストリームL(4AT) 2001.03.16 試乗記 ……198.6万円 総合評価……★★★貴重な1台
以前『webCG』で試乗したシビックX4(1.7リッター/4AT/4WD)より、だいぶ印象がいい。と同時に、日本車のこのテのクルマとしては、知っている範囲でいちばんマトモに走る。というかちゃんと運転する気になるモノになっている。
兄弟車シビックよりわずかに遅れて出てきたぶん走り込めたか。あるいは、異なるチームの仕事だったからか。さもなくば、日本仕様の本命が、普通のハッチバックでなくてこれだったからか。いずれにせよ、朗報。
「コデッセイ」と呼ばれることのあるストリーム。コデッセイとは小デッセイか、あるいは子デッセイか。で、それは蔑称というより成功の証と思われる。カローラ級プラットフォームから派生したミニバンとしては、明らかに伸び伸びした体型になっている。セコくない。パッと見からして、いかにも売れそう。「乗ったらどんなだろう?」と、積極的に想像したくなる。
で、乗ってみて狂喜乱舞するほどではなかったが、特にガッカリはしなかった。とっつきだけやたらと甘口なぶん、かえってものすごく危険な「ママチャリ自動車」風モデルが主流を占めているこのクラスにあって、貴重な1台だろう。着座環境がもうちょっと充実すれば、たとえばの話、ヨーロッパ市場へもっていってもけっこういい勝負ができるのではないか。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年10月26日にデビューした「ストリーム」。シビックのシャシーを100mmストレッチした2720mmのホイールベースに、3列シート、7人乗りの「ドルフィンフォルム」ボディを載せたピープルムーバーである。1.7リッター、2リッターモデルがあり、いずれにもFF、4WD車が用意される。トランスミッションは、4AT(1.7リッター)と同スポーツモード付き(2リッター4WD)、5AT(2リッターFF)の3種類。
(グレード概要)
「L」は、ストリーム1.7リッターモデルの上級グレード。ベーシックグレードたる「G」と比較すると、リアドア、クオーター、テイルのガラスが、濃色ガラスとなる。インテリアでは、運転席の上下調整機能、前席、2列目シートのアームレストが付き、サードシートのヘッドレストが伸縮できるようになる。また、CDプレイヤー付きラジオ、前席フルオートエアコンなど、装備が充実する。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
いらぬ遊びに走らず、ミニバン用として素直にまとめた全体形。スッと乗り込んで、前方を見わたしたときに違和感がない。高さ、リーチ、および各要素内のレイアウトも含めて、使いやすい中央パネル。「P」から「D」までガタガタッとイッキに動かせてエラーを誘発させず、なおかつ高速道路でエンブレがほしいときはチョンと「横移動一発でOK!」なATレバーの操作ロジックもよし。くだらない「+?」シフト機構が反乱するなか、さながら一服の清涼剤のごとし。「D」から「D3」が「左=遠方」でなく、「右=手前」への移動だったらもっとよかった。何らかの緊張が生じた際、生物は筋肉を収縮させるのが自然な反応だから。
(前席)……★★★
座面脇のダイヤルで動かす上下調整機構(というか座面の仰角)をもちながら、実際はいちばん下(あるいはいちばん前上がり)でしかまともな運転姿勢が得られないのはカローラ系と同じ。ただ、較べるとイヤ味は確実にこちらの方が希薄。着座感そのものは「ま、日本車だからこんなもんか」で特に嬉しくもなし。ヘニョヘニョでこそないが薄く、かつなんとなしにカタいヘッドレストからは、特筆すべき良心見えず。出したところで角度が不適切なうえ(調整不可)、サイズも笑っちゃうぐらいセコいひじ掛けはおよそ意味なし。周囲の空間のカタチは、違和感なく良好。
(2列目シート)……★★★
着座感はほぼ前席での印象に同じ。せめて、見た目だけでももうちょっとリッチな居心地を感じさせてはくれまいか。「全幅1695mm」のなかで、とりあえずコデッセイな空間を実現できていなくもないのは、評価に値するか。旧「小エスティマ」ことエミーナ/ルシーダの一大悲劇を思い起こすと、その感なおさら強し。低床設計がジマンのストリームの室内高は、全高を1600mm未満に抑えつつもオデッセイ比95mm増しという。が、かといって天井だけが虚しく高いバカバカしさを味わうことはなかった。やはり、皮相な額面数値だけでなく、空間のカタチの気持ち良さそのものを考えた形跡がある。
(3列目シート)……★★
「快適」および「安全関係」の諸性能が、前2列よりさらに限定的な「あくまで補助席」。畳まれているのが常態であると解釈すべきだろう。5人乗り(実質4人乗り)でちょっと背の高いステーションワゴン、のためのオマケとしては、現状特に非難されるべき種類のものでもない。畳まれた状態で、できるだけジャマにならないようにした努力の跡は見える。すくなくとも、それがあるおかげでメインの後席まで台無しにしてしまうスパシオの補助席と較べたら1000倍はマシである。あるいは、その補助席がない仕様のスパシオと較べたところで500倍はイイ。
【ドライブフィール】 運転すると?
エンジン+トランスミッション)……★★★
1.7リッターは、それ自体特に嬉しくもなし。オトシン(音・振動)特性も普通の日本の安エンジン。しかし1330kg(車検証記載値)に対して必要十分な仕事はする。それと、オートマやスロットル特性がわりかしマトモ。ペダル踏みはじめの領域をことさら過敏にアジつけした形跡がなく、また同じところでトルコンのルーズさが鼻につくことも特になかった。運転しやすい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
路面からのアタリの感触は意外にカタい。試乗車は知ってか知らずかタイヤ空気圧が指定値より10%ほど低かったが、それでもなお。ただ、イヤらしい、ヒクついた動きがなかったのは救い。ヘンにヤワくしてそれが出るくらいなら、現状のほうがはるかにマシだ。
あと今回、いちばん意外だったのが、ハンドルからの手応え。簡単にいって、ものすごくちゃんとしてる。浅薄な“スポーティ”風味を追わず、かといってヘロヘロにも堕さず。パワートレイン系のそれなりの好感触もあって、走り出した瞬間からクルマへの信頼感がどんどんと増し、心ならずもペースが上がってしまった。で、アシのほうもよくついてくる。重心の高いクルマ特有のグラつき系不安感も特になかった。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:森 慶太
テスト日:2001年2月24日から26日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:5425km
タイヤ:(前)185/70R14 88S/(後)同じ
オプション装備:ナビゲーションシステム+ディスチャージヘッドライト
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(4)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

森 慶太
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。





























