ホンダ・セイバー タイプS(5AT)【ブリーフテスト】
ホンダ・セイバー タイプS(5AT) 2001.05.23 試乗記 ……348.0万円 総合評価……★★★ハイウェイクルーザー
2001年4月にマイチェンを受けてバタ臭い顔つきに、というか、かつてのアコード上級車種は、すでに純輸入車なのであった。直5縦置きフロントミドシップというけったいなエンジンレイアウトも今は昔、「インターナショナルな視点からセダンの本質を見つめ直」(デビュー時のリリース)された現行モデルは、V6横置きドンガラ大きめのFFセダン。トヨタ・プロナード(アヴァロン)、日産セフィーロ(マキシマ)といったところがライバルか。
革とウッドのラグジュアリーな車内にいると、スプリングやアンチロールバーを強化してインチアップした足まわりを、どうも気持ちのなかでもてあます。街なかでは、ストローク感のない乗り心地が気になる。低めの着座位置、見切りの悪いボディゆえ、白いテスト車がやけ大きく感じられる。6.0mの最小回転半径も大きすぎ。“アメ車”っぽい?
ところが、いったんハイウェイに出ると印象一変。ホンダ得意のVTECに可変吸気システムを組み合わせた3.2リッターV6は、まことにトルキー。「ロングツーリングというゆとりの時」というカタログの文句はウソじゃない。「タイプS」なんて気張らずに、“安楽なツアラー”と訴えた方がいいのかも、と思ったが、狭いニッポン、それだと訴求しないんだろうなぁ……。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年10月15日にフルモデルチェンジを受け、3.2、2.5リッターのエンジンラインナップをもつ現行モデルとなる。いずれもV6SOHC24バルブ。アコードの上級車種として、インスパイアとビガー改めセイバーとなった先代までは、FFながら5気筒縦置きフロントミドシップという希有なエンジンレイアウトを採っていたが、ついにV6横置きに。いまや北米ホンダこと「ホンダR&Dアメリカズ」が開発、「ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング」で生産されるアメリカ車である。
2001年4月にマイナーチェンジを受け、トランスミッションが5段ATとなった。
(グレード概要)
セイバー/インスパイアのグレード構成はシンプルで、2.5リッター(200ps)標準仕様と3.2リッター(260ps)「タイプS」の2種類。装備面では、タイプSのタイヤがひとまわり大きく、ホイールは標準仕様の16インチに対し17インチ。アンチスピンデバイスたる「VSA」を搭載するのもタイプSのみだ。また、内装はファブリックから本革仕様になる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
インパネ+装備)……★★★
ウッドと革でわかりやすい高級感の演出がなされるインテリア。アイボリーにグレーの文字を用いたシンプルなメーター類は見やすい。ナビゲーションシステムのディスプレイが、インパネ上部に位置するのもイイ。「HONDA OF AMERICA」と鷲の絵がかかれた革巻きシフトレバーはカッコいいが、センターコンソールおよびシフターまわりの樹脂類が少々プラスチッキーなのが残念。
(前席)……★★★★
運転席の座面と背もたれは電動で調整可能。かつ背もたれ横には、背面を隆起させて背骨のカーブに合わせるためのレバーが備わる(助手席は手動のリクライニングのみ)。「スポーツバケットシート」と銘打たれるが、たっぷりした革のシートは、むしろラグジュアリーな座り心地で、それはそれでいい。
(後席)……★★★
ボディ外寸のわりに広く感じられないリアシート。とはいえ、絶対的には大人用として十分。やや高めの着座位置と前席の背もたれをえぐって足もとの、バックレストを寝気味にして頭上のスペースを稼ぐ。ヘッドレストが背もたれ一体型で高さが足りないこと、ルーフの後方への延びが足りず、アタマの上半分がリアガラスになるのが気になる。
(荷室)…★★★★
奥行き118cm、床面最大幅138cm、高さ50cmと、広大なトランクルーム。スペースを使いがちなダブルウィッシュボーンサスペンションゆえか、荷室の奥は複雑な形状に張り出す。ラゲッジスペースに干渉するヒンジも減点ポイント。手前サイドには、小物入れ有り。ラゲッジネットが標準で備わる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
吸排気系のファインチューニングと可変吸気システムの採用で、35psと2.0kgmアウトプットを拡大して、260psと32.0kgmを発生する6気筒エンジン。グイグイと1.55トンのボディをひっぱる。フルフロートピストンを用いたバンク角60度のV6は滑らか。回すと、かすかに独特のビートが感じられるが、ハイウェイクルーズでの回転数は100km/hで2000rpm弱だから、追い越し加速時にキャラクターを感じるくらいだ。5段ATはフェアにスムーズ。2速で120km/hまでカバー、サードがじゃっかん離れた、高めのギア設定だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
マイナーチェンジを期に、「タイプS」としてサスペンションを強化された3.2リッターモデル。「ロール剛性を高め、路面追従性、ステアリング応答性などを向上」させたという。街なかではときにバタつく足まわりだが、ハイスピードクルージングに移ると不思議に快適。ハンドリングはシュアで、曖昧さがない。ボディの大きさ、クルマの性格を考えると、スポーティといっていい。曲がりで「アタマが重い」と感じ始めたら、それはスピードの出しすぎです。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年4月12日から13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3640km
タイヤ:(前)215/50R17 91V(後)同じ(いずれもMichelin Pilot HX)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:406.9km
使用燃料:55.2リッター
参考燃費:7.4km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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