ホンダ・フィットA(CVT)【ブリーフテスト】
ホンダ・フィットA(CVT) 2001.07.03 試乗記 ……114.5万円 総合評価……★★★★「我慢して」はなし
ホンダ・フィットは「現代のチンクエチェント」である。つまりミニマムトランスポーテーションのあり方を、現代的に翻訳したものだ。「ミニマム」といっても、今では犠牲や諦めとの妥協の産物ではない。3.83mの全長と1.68mの車幅をもち、重量は1トンそこそこ(980から1070kg)。エンジンは、1.3リッターの水冷4気筒となり、86psもある。かつての小型車と比べての明らかなアドバンテージとして、リッター当たり23kmも走る低燃費と、クリーンな排ガス、そして衝突安全対応のボディがある。
だからこのフィットに乗って、不満な箇所は何もない。CVTによるオートマチックは高効率であるばかりか、高性能であり、ドライブする楽しさもある。室内も十分に広い。エネルギーや環境問題に対する究極的で現実的な答えは「軽量な小型車」にある、ということは承知していても、一度大きくて楽なクルマを経験してしまうと、なかなか切り詰めることは難しい。だが、このフィットならば、我慢して……ということなしに、むしろ小型ゆえのフットワークの良さを積極的に楽しみたくなる。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年6月21日に登場した、ロゴの後継モデルにあたる、ホンダのまったく新しい小型車。5ドアボディに1.3リッター+CVTのみというシンプルな構成。ストリームに初搭載された2リッター「i-VTEC」に続く、iシリーズ第2弾「i-DSI」ユニットを積む。燃料タンクを前席下に置き、荷室の低床化と、後席アレンジの多彩化を実現した。
(グレード概要)
トリムレベルによって、簡素な「Y」中間の「A」豪華装備の「W」と、3つのグレード構成。いずれにも、FF、4WDモデルが用意される。テスト車の「A」を「Y」と比較すると、「パワーウィンドウ」「パワードアロック」「キーレスエントリー」といった便利装備や、CD付きラジオなどが装着される。外観上では、ドアハンドルがボディ同色となり、ホイールにフルカバーが付く。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
CVTはギア比の設定がプログラム済みなので、ドライバーがエンジン回転を管理する必要などあるとは思えない。それでも、ちゃんとタコメーターを備える。燃費計まである。ダッシュボードはハンドルも含めて幾何学的なシボで処理され、スッキリしているし手触りも良い。豪華ではないが安っぽさのないインテリアである。
(前席)……★★★★
サイズ、形状ともたっぷりしており、クッションはしっとりして腰がある。表皮も滑りにくい材質。周辺の空間も確保されていて窮屈な感覚はない。ランバーサポートの調整機構はないが、シートバック形状は適切に腰の部分が盛り上がっている。ドアポケットやカップホルダーの類も完備。
(後席)……★★★★
サイズや空間的な余裕は前席と変わらない。特に天地方向たっぷり。ダブルアクションで折り畳めるタイプにしては座り心地も良好。畳む操作も簡単でいい。前席フロア下に収納した燃料タンクにより、後席用のフットレスト出現。爪先を上げて突っ張れるので乗っていて楽。バックレストは2段階のリクライニング可能。座面を背もたれ側に跳ね上げると、リアシート前のフロア上に1280mmまでの背の高いモノを積める。
(荷室)……★★★★
サスペンションの張り出しがなく、フロアはフラットで使いやすい。このクラスでは得難い広さが確保される。後席のバックレストを前に倒すと、座面が沈み込んで、背もたれの裏がラゲッジフロアと水平につながる。前席を倒せば、2.4mの長尺物も積める。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
軽量コンパクトがジマンの新開発1.3リッター「i-DSI」を搭載。インサイトゆずりのコンパクトな「SOHCヘッドメカニズム」「燃焼室」とあわせ、2本のスパークプラグの点火タイミングをコントロール、高出力と省燃費を両立させた。エンジンは、5000rpm以上になるとさすがにウルサイが、常用域は2500rpm前後。最大トルクの発生回転数は、2800rpmに設定されるから、使い勝手はいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地が硬めなのは悪いことではないが、フラット感に欠けるのが残念。上下に揺すられるヒョコヒョコした動きが疲れを呼ぶ。サスペンションのアーム長はけっして短くないので、ダンパーのチューニング如何で、改善の余地はある。コーナリング時のロールは少ないが、一方、高い重心高ゆえ、コーナーインの際につんのめるような不自然さあり。配慮がたりない。シートはホールド良好。パワーステアリングが軽いのはいいが、アシストが過敏。直進時にも終始ステアリングホイールに左右方向へのトルクがかかるので、落ち着かない。
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2001年6月29日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)185/55R16 81V/(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

笹目 二朗
-
レクサスRZ350e“バージョンL”(FWD)【試乗記】 2026.2.16 「レクサスRZ」のエントリーグレードがマイナーチェンジで「RZ300e」から「RZ350e」へと進化。パワーも一充電走行距離もググっとアップし、電気自動車としてのユーザビリティーが大幅に強化されている。300km余りのドライブで仕上がりをチェックした。
-
トヨタbZ4X Z(FWD)【試乗記】 2026.2.14 トヨタの電気自動車「bZ4X」が大きく進化した。デザインのブラッシュアップと装備の拡充に加えて、電池とモーターの刷新によって航続可能距離が大幅に伸長。それでいながら価格は下がっているのだから見逃せない。上位グレード「Z」のFWDモデルを試す。
-
日産リーフB7 G(FWD)【試乗記】 2026.2.11 フルモデルチェンジで3代目となった日産の電気自動車(BEV)「リーフ」に公道で初試乗。大きく生まれ変わった内外装の仕上がりと、BEV専用プラットフォーム「CMF-EV」や一体型電動パワートレインの採用で刷新された走りを、BEVオーナーの目線を交えて報告する。
-
ホンダN-ONE RS(FF/6MT)【試乗記】 2026.2.10 多くのカーマニアが軽自動車で唯一の“ホットハッチ”と支持する「ホンダN-ONE RS」。デビューから5年目に登場した一部改良モデルでは、いかなる改良・改善がおこなわれたのか。開発陣がこだわったというアップデートメニューと、進化・熟成した走りをリポートする。
-
日産キャラバン グランドプレミアムGX MYROOM(FR/7AT)【試乗記】 2026.2.9 「日産キャラバン」がマイナーチェンジでアダプティブクルーズコントロールを搭載。こうした先進運転支援システムとは無縁だった商用ワンボックスへの採用だけに、これは事件だ。キャンパー仕様の「MYROOM」でその性能をチェックした。
-
NEW
第861回:冬道性能やいかに ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」を北の大地で試す
2026.2.18エディターから一言2025年9月に日本ミシュランタイヤが発表した最新のオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3スポーツ」の冬道性能を確かめるために、北海道に飛んだ。ドライやウエット路面に続き、ウインターシーンでの印象を報告する。 -
NEW
マセラティMCプーラ チェロ(MR/8AT)【試乗記】
2026.2.18試乗記かつて「マセラティの新時代の幕開け」として大々的にデビューした「MC20」がマイナーチェンジで「MCプーラ」へと生まれ変わった。名前まで変えてきたのは、また次の新時代を見据えてのことに違いない。オープントップの「MCプーラ チェロ」にサーキットで乗った。 -
NEW
ストロングハイブリッドか1.8ターボか 新型「フォレスター」の悩ましいパワートレイン選択に雪道で決着をつける
2026.2.18デイリーコラム新型「スバル・フォレスター」には2.5リッターハイブリッドと1.8リッターターボの2つのパワートレインが設定されている。ローンチ時からの人気は前者だが、果たして後者の利点は「低価格」だけなのか。雪道をドライブして考えた。 -
NEW
第103回:フランス車暗黒時代(後編) ―おしゃれだったアナタはどこへ? フレンチデザイン没落の原因と再生への曙光―
2026.2.18カーデザイン曼荼羅おしゃれなクルマをつくりたくてもつくれない? かつてセンスのかたまりだったフランス車は、なぜコテコテ&ゴテゴテのデザインに移行せざるを得なかったのか? カーデザインの識者とともに、フレンチデザインが変節した理由を深掘りし、復活の光を探った。 -
アルファ・ロメオ・ジュリア クアドリフォリオ エストレマ(FR/8AT)【試乗記】
2026.2.17試乗記「アルファ・ロメオ・ジュリア」に設定された台数46台の限定車「クアドリフォリオ エストレマ」に試乗。アクラポビッチ製エキゾーストシステムの採用により最高出力を520PSにアップした、イタリア語で「究極」の名を持つFRハイパフォーマンスモデルの走りを報告する。 -
「ユーザーには伝わりにくいが、実は手間がかかっていること」は?
2026.2.17あの多田哲哉のクルマQ&A自動車開発においては、つくり手のこだわりや苦労のすべてがユーザーに伝わるとは限らない。そうした「気づかないかもしれないが、実はメーカーが多くの労力をかけている」こととは? 元トヨタの多田哲哉さんに聞いてみた。






























