トヨタ・ウィンダム3.0Gブラックセレクション(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ウィンダム3.0Gブラックセレクション(5AT) 2001.09.12 試乗記 ……373.1万円 総合評価……★★★★トヨタの深謀遠慮
3代目レクサス「ES300」ことトヨタ新型ウィンダムは、2.5リッターV6を廃止して、3リッターV6エンジン1本にするなど、だいぶ車種を整理した。それでも内装ほかの装備品でいろいろ差別化したグレードを設定している。そのうちのひとつが、今回のテスト車「ブラックセレクション」。これは、アイボリー内装のノーマルモデルに対し、ファブリックまたはレザー(助手席パワーシートとのセットオプションで21.1万円)のシートをはじめ、トリムを黒としたもの。
筆者は、このモデルの設定にトヨタの深謀遠慮を感じる。シーマの“エクリュ”(淡いベージュ)のインテリアが、日産の予想に反して過半数を超えるオーダーを受けていることなどに現われているように、世は明るい内装色を急速に受け入れはじめた。ちょっと前まで、「ベージュ」や「薄いグレー」などの淡く明るい内装は「汚れやすい」と嫌われ、絶対的な少数派だった。それがいまやメジャー化しつつある。内装デザインの好みというのは、クルマのいろいろな部分のなかでも、(特に日本では)ユーザーが最も保守的になりやすいところだ。日本人もようやく一皮ムケたのか?
しかしそうした潮流とはうらはらに、頑迷な“ブラック主義者”がいることを、トヨタは“見抜きまくっている”に違いない。そこで、敢えて黒内装を強調した「ブラックセレクション」を設定したのだ、と思う。得意気に「ベージュセレクション」とかを造るかわりに。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1991年にカムリのシャシーを利用した高級スペシャルティセダンとして登場。北米でのトヨタ高級販売チャンネル「レクサス」で、ES300として販売される。いわずと知れた、日本名「ウィンダム」。96年8月21日に、ホイールベースを50mm延長した2代目がデビュー。2001年の同じく8月21日、同様にホイールベースを50mm延ばして2720mmとしたブランニューシャシーを使用した3代目ES300ことウィンダムが誕生した。エンジンは、2.5リッターV6が落とされ、3リッターV6のみに。組み合わされるトランスミッションは、4段から5段ATとなった。
(グレード概要)
グレードは大きく「X」と上級版「G」にわかれる。「G」には、ダンパーの減衰力を16段連続可変させるセミアクティブサスたる「H∞-TEMS」が搭載されるのが、「X」との最大の違い。そのほか、DVDナビゲーションシステムが標準で装備される。「X」「G」ともに、黒内装の“ブラックセレクション”が設定され、「G」には、さらにトラクションコントロール、アンチスピンデバイス「VSC」、クルーズコントロール、木目調+本革巻きステアリングホイールなどが装備された“リミテッドエディション”、その黒内装“リミテッドエディション・ブラックセレクション”がラインナップされる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
黒の内装というのは、難しい。造形自体が無難なものだと、黒はそれに拍車をかけて、全体としてひどくつまらないものにしてしまう。逆に、派手な造形が施されると、黒がそれを助長して軽薄なものにしてしまいがちだ。その点、ウィンダムはうまい。無数の「黒」のなかから吟味したのだろう、絶妙の深さと艶を持った黒だ。表皮のシボも入念に形づくられている。上質感がありながら、それでいてすこしアメリカンなカジュアルを感じさせる“黒内装”だ。筆者は昔から明るく淡い内装が好みだが、こういう黒ならいいなと思った。メーター類や操作系統などは、ほかのグレードと変わらない。機能的で使いやすく配置されている。
(前席)……★★★
ブラックセレクションには、ファブリックかオプションの革を使った黒いシートが選べる。ただしシート自体は、アイボリーレザーのもとと同様、クッション性に乏しく、運転中のドライバーの身体をしっかりとは支えてくれない。衝撃の度合いによって2段階に膨張を変える「ディアルステージSRSエアバッグ」「SRSサイドエアバッグ」が備わる。
(後席)……★★
ファブリックの黒いシートは、最近珍しいプレーンな表皮のもの。何も柄が入っていないデザインが潔くて好ましい。シックでさえある。「大人4人の快適な移動空間」が謳われるニューウィンダム。フロアコンソール後端にリアシート用のエアコン吹き出し口や、バックレスト中央部から引き出すコンソールボックス付きセンターアームレストが用意される。
(荷室)……★★
床面最大幅156cm、奥行き108cm、荷室高さ50cm。荷室にはリアサスペンションが大きく張りだしているので、大きなものを収めにくい。ただし、長尺物を収められるよう、トランクスルーは備わる。スキーなどを運ぶときのため、汚れ止めの袋が付いていれば申し分ないのだが。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「高級セダンでの世界標準を目指し、世界同一の仕様」(プレスリリース)とするため、先代まで日本国内用としてラインナップされていた2.5リッターV6をカタログから落とし、3リッターV6のみとした。可変バルブタイミング機構「VVT-i」を備えた「1MZ-FE 」ユニットは、しかし多気筒エンジンとしては回転フィールにザラつきがある。出力特性ゆえか、2000rpm付近でトルクを細く感じるところがあるのも気になるところ。回してもとりたててパワーがわき出るわけではないが、それは基本的な性格がフラットトルクなエンジンだから。日常では、中低回転域しか使わないから、欠点とはいえまい。“スーパーインテリジェント”5段ATは、その名の通り知的で優秀。スムーズで機敏な変速が上品だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ブランニューのプラットフォームを開発した3代目だが、足まわりは、前がマクファーソンストラット、後がデュアルリンクを用いたストラットというコンベンショナルなもの。3.0「G」には、16段階連続可変式ダンパーを奢ったセミアクティブサスペンション「H∞(インフィニティ)-TEMS」が装備される。ドライバーは硬軟4つのモードから選ぶことができ、個人的には最もソフトな「COMFORT」が一番クルマの性格に合っている、と思った。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2001年8月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:1055km
タイヤ:(前)215/60R16 95H/(後)同じ(いずれもトランピオ Trampio J33)
オプション装備:電動ムーンルーフ(9.0万円)/本革シート(シートヒーター付き)+助手席8WAYパワーシート(21.1万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(10)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

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