ホンダ・フィットの「ライバル車はコレ」【ライバル車はコレ】
ベーシックカー対決 2001.10.10 試乗記 ホンダ・フィットの「ライバル車はコレ」ホンダ・フィット(106.5から144.0万円)
「年内納車はもう不可能!」−−不況と言われるこの御時世に,2001年6月の発売早々から圧倒的な人気を博し、いまやこんな声まで聞かれるホンダの“トールBOX”がフィットだ。全長×全幅×全高=3830×1675×1525(4WDは1550)mmという3サイズの5ドアボディに、ツインプラグ式1.3リッターエンジン+CVTトランスミッションという組み合わせのみの、シンプルなバリエーション展開も特徴のひとつ。
パッケージング上の大きな特徴が“センター燃料タンク”の採用で、これによって1.3m近い室内高や、後席折り畳み時の広大なラゲッジスペースが実現した。
ホンダにとってはこのクルマ、これまで赤字続きだった欧州市場にテコ入れするための重要なモデルでもある。「オデッセイ用のシートフレームを拝借した」という贅沢なサイズのフロントシートや、大型の空調ダイヤルの採用なども、ヨーロッパを強く意識したもの。目下のホンダにとっての悩みは、「日本での売れ行きがよすぎて、欧州輸出用のクルマを組み立てる生産余力がないこと」とか。
なお、ネンピの良さもフィットの自慢のひとつ。660ccという制約のなかで、大きく重くなったボディを無理矢理走らせる「軽」自動車より、むしろフィットの方が優れた実用燃費を叩き出すのだ!
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【ライバル車 その1】トヨタ・ファンカーゴ (124.8から167.0万円)
フィットは「トヨタのヴィッツとファンカーゴの双方をライバルと見据えて開発された」といわれる。確かにフィットは「ヴィッツほど“普通”ではないが、ファンカーゴほどには“跳んで”いない」ように見える。フィットが「ヴィッツとファンカーゴの間に入る」というのは、イメージ的にも的を得ている。
フィットに対するファンカーゴの有利さは、「見た目のユニークさ」や「背の高さ」に代表される。まるでコンセプトカーの世界から抜け出てきたかのようなファンカーゴのルックスは、「何かフィットよりもオモシロそう」な印象を受ける。サイド開きのテールゲートもユニークだし、センターメーターの採用で、機能が中央に集中したダッシュボードも、フィットの丸型3連タイプより新奇性が強い。
動力性能はどっこいどっこいだが、フィットよりも「ヒョコヒョコしない」乗り味は、ヴィッツも含めてトヨタ勢の勝ちだ。今やベストセラーカーの仲間入りを果したフィット最大のウイークポイントは、乗り心地。常にヒョコヒョコと落ち着きのないその“走り”に業を煮やして、「納車早々のユーザーがヴィッツに乗り換えた」(!)なんていうハナシも実際に聞こえてくるのである。
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【ライバル車 その2】日産キューブ (123.8から166.6万円)
日本きってのロングセラーカーである「マーチ」のコンポーネンツを使ったハイトワゴン。マーチのシャシーにカクカクしたボクシーで背の高いボディを与えただけ(失礼!)なのに、いまや日産のトップセラーカーとして名を連ねる。エンジンは1.3リッターとフィットと同等で、廉価版としてトルコンATも残しているものの、CVTを積極導入したのも、フィットとの共通項だ。
「エクステリアデザインこそが商品魅力の大半を占める!」というコンセプトのもとに仕上げられたボディは、ボディサイズに対していかにも広大な室内空間をイメージさせるもの。が、そうしたアウターシェルは、やはり「見た目から入った」感が否めない。シートに座ってみると頭上には無用なほどの空間が広がり、せっかくの室内容積を100%活かし切っていないのだ。
考えに考え抜かれたパッケージングの持ち主であるフィットと比べると、「急造」のイメージは拭えない。走りの点でも設計の古さが感じられる。衝突時の安全対策に関しても、開発時期の違いによる差がすくなからず存在すると考えるべきだ。
ベースとなったマーチが間もなくモデルチェンジを予定しているだけに、こちらのキュープも、遠からぬ時期に進化を遂げるだろう。そうしたなか「まだまだ健闘をしている」ともいえる1台である。
(文=河村康彦/2001年10月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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