トヨタ・アリオンA20 Sパッケージ(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アリオンA20 Sパッケージ(CVT) 2002.02.13 試乗記 ……245.4万円 総合評価……★★★
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ボディはセダン、機能はミニバン
実質的にカリーナの後継モデルであるトヨタのミディアムセダン「ALLION」。その耳慣れないネーミング、実は“All in ONE"から来ているという。で、何がオールインワンかといえば、最大のポイントはリアシートにあるらしい。4550mmという全長に1.5〜2リッターの4気筒エンジンを搭載するこのクルマ、独立したトランクルームを持ついわゆる3ボックスセダンのパッケージングの持ち主ながら、リアシートはダブルフォールディング、リクライニングといったアレンジ機能を備えている。つまり、ボディのデザインは4ドアセダンでも、シートのアレンジ性はミニバンのそれ。相変らずセダン不毛と言われる現在の日本のマーケットにあって、「セダンボディにワゴン/ミニバンの機能をビルトインした新発想の室内デザイン」こそ、ブランニューモデル「アリオン」最大の売り物である。トヨタはきっとそうアピールをしたいのであろう。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
プレミオ/アリオンは、2001年12月25日から販売が開始されたトヨタのミディアムセダン。プレミオはコロナ、アリオンはカリーナの後継モデルとなる。ターゲットがやや若いアリオンは、ドアハンドルやグリルはボディ同色。対するプレミオは、メッキ調の“光りモノ”を使用する。5ナンバー枠内のサイズながら、長いホイールベースによる広いキャビンと豊富なシートアレンジを実現。特にリアシートは、荷室との隔壁をなくすことで、背もたれを大きく後にリクライニングできるようになった。エンジンは、いずれも1.5、1.8、2リッターの3種類。FFのほか、1.8リッターモデルには4WDも用意される。
(グレード概要)
アリオンは排気量によって小さい順に「A15」「A18」「A20」と分けられ、A20“Sパッケージ”は最上級モデル。Sパッケージは、アルミホイールが標準となり、本革巻ステアリングホイール&シフトレバーなどを装備する。メーターが「スポーツオプティトロン」になるのも特徴だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
アリオンのダッシュボードまわりは、一卵性の双子モデルである「プレミオ」と共通のデザイン。センターメーターなど、斬新なデザインを取り入れたダッシュボードを各車に積極展開するトヨタだが、このクルマにはごくごくオーソドックスなデザインを採用。“ふたこぶ型”のパイザーを与えられたメーターパネルは、素っ気無いほど機能優先型だし、ナビ画面の配置を前提に考えられたセンターパネルも「ありがち」なデザイン。空調は全グレードにオートエアコンを奢るが、表示窓が外光で反射しやすいのは残念だ。
(前席)……★★
アリオンのフロントシートのヒップポイントは、地上から550mmとカローラ同様の設定。それでも全高が1.5m近いのでヘッドクリアランスは十二分に確保される。シート全体の高さを調節可能なアジャスターを有効活用できるのが嬉しい。ただし「チョイ乗り」時の心地良さを演じるためかシートクッションが妙に柔らかい。30分ほどのテストドライブで、すこしばかりの疲労感を抱かされることになったのは惜しい。
(後席)……★★★★
カローラより100mmも長いホイールベースが活きて、アリオンのリアシートの居住性はすこぶる高い。なかでもレッグスペースの広さは特筆もので、無理なく足を組むことができる。高い天井のために、頭上スペースにも余裕が大きい。ただ、アーチ状のルーフラインゆえCピラーの傾斜が強く、乗降時にこのピラーと頭部との干渉をやや気にする必要がある。後席にも3名分の3点式ベルトが備わるのは、いまや「トヨタ車の常識」だ。
(荷室)……★★★★
ドカンと大きな奥行きにまず驚かされるトランクルーム。「ゴルフのフルセットが4名分収まる」という日本的な基準をクリアするのはもちろんのこと、さらに大型のスーツケース2つと中型ケースを1つ飲み込むことができるという。ダブルフォールディング式のリアシートをアレンジすれば、ワゴンも真っ青のユーティリティ性も発揮。“ALL in ONE"の面目躍如。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
実はアリオン2リッターモデルのハードウェアは、ボディもランニングコンポーネンツもオーパと血縁関係が深い。「直噴エンジン+CVT」というユニットもオーパからの贈り物。最新のCVTが生み出すフィーリングは、「知らなければ普通のATと違いが分からない」ほどに自然だ。エンジン回転数の低さが生み出すクルージング時の静粛性の高さなどはそのままに、CVTのウイークポイントとされてきた急加速時の空走感や低速時のギクシャク感が見事に解消されている。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
典型的なジャパニーズファミリーカーであるアリオンのフットワークは、良くも悪くも格別な印象を残さない。“無印良品”的な仕上がり具合が特徴。ステアリングを切れば切っただけノーズは素直に動いてくれるし、トラクション能力やステアリングフィールにも特に不満は感じない。が、すくなくとも「運転」という作業そのものに感動を覚えることのないタイプであることも事実。まぁ、このクルマの開発陣自体が、そうしたことは毛頭考えていないのではあろうが……。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:河村康彦
テスト日:2002年2月6日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:1594km
タイヤ:(前)195/65/R15 91S(後)同じ
オプション装備:DVDボイスナビ付きワイドマルチAVステーション&バックガイドモニター(32.4万円)/音声案内クリアランスソナー(4.0万円)/エアピュリファイヤー(空気清浄機)(2.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(2):山岳路(2)
テスト距離:105.6km
使用燃料:9.8リッター
参考燃費:10.7km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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