スズキ・ワゴンRソリオ1.3WELL(4AT)【試乗記】
トーフ親子でも大丈夫 2002.07.23 試乗記 スズキ・ワゴンRソリオ1.3WELL(4AT) ……113.0万円 スズキの、“軽ナンバーワン”の座を安泰とした大ヒット作「ワゴンR」。その兄貴分、かつての「ワゴンRワイド/+(プラス)」改め「ソリオ」が、2002年6月20日にマイナーチェンジを受けた。穏やかな顔つきとなった1.3リッターモデル「WELL(ウェル)」はどうなのか? webCG記者が報告する。 拡大 |
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「ソーリオ、ってゆーのよ……」
頭部が豆腐なトーフ親子がうらやましそうに見送るなか、走り去ってゆくワゴンRソリオ1.3WELL。運転する女性が歌う「ソーリオ、ってゆーのよ……、タッタカタンタンタァァァン……」というフレーズが視聴者の頭から離れなければ、スズキのテレビコマーシャルは成功である。ちなみに、リポーターの頭からは離れない。
「スズキは軽自動車だと独創的なクルマが出せるんですが、いったん“軽”の枠がはずれると、いまひとつ力が出し切れないんです」と、スズキのエンジニアが苦笑いするように、生まれは早いが体格的には弟分の「ワゴンR」が軽自動車の新しいトレンドをつくったのと較べ、兄貴分の「ソリオ」は、「ワゴンRワイド」「ワゴンR+(プラス)」、そしてソリオと名称が変遷したこともあってか、少々影が薄かった。1リッター、1.3リッターと2種類のエンジンが用意されるうち、1.3には文字通り“鬼面、人を驚かす”フェイスを与えてインパクトを狙ったのだが……。
2002年6月20日、1.3リッターモデルに穏和な顔つきの「1.3WELL」が加わった。そこで改めて車名の浸透を狙ったのが、「ソーリオ、ってゆーのよ……」のCMなわけだ。テレビを見ている主婦やOLの口から、自然に「ソリオ」という単語が出てほしい、と。
なお、同じくTVコマーシャルで、「早朝に波乗りをして、その足で会社に向かう……」というアクティブさをアピールした1.3リッター“ちょっとコワい顔”バージョンは、「1.3SWT」となった。新しいワゴンRソリオは、ベーシックな「1.0E」、前後左右に空力パーツを装着した「1.0S」、穏やかな「1.3WELL」、若者向けの「1.3SWT」の4グレードがラインナップされることになる。
床下にも目を配る
1.3WELLの登場にともなって、ソリオはインパネまわりのデザインに手が入れられた。視認性に考慮して、センターコンソール内のオーディオ類の搭載位置を上げ、また上部に「インパネアッパーボックス」という小物入れが設けられた。エアコンに、タバコの臭いなどを吸着するカテキンフィルターが組み込まれたのも新しい。
最も大きな改良は、リアシートが左右別々に105mmスライドするようになったこと。MRワゴンの経験を活かし、リアサスペンションのダンパーを、従来だと斜め前に出してボディに取り付けていたのを、斜め後に出してリアシート後の床面をフラットにすることで可能とした。車内のあらゆる“隙間”を“収納”に変えてしまうスズキである。さらなる空間利用のため、床下にも目を配ったわけだ。
ちなみに、分割可倒式である後席は、背もたれを前に倒すときヘッドレストをいっぱいに引き出せば、そのままステーの根本から前に倒れるので引き抜く必要がない。便利だ。
グレーのファブリックを用いたフロントシートは、運転席、助手席の間に隙間がないベンチシート風。限られた横幅で、じゅうぶんなシートサイズをとるための工夫だろう。実際には、座面、バックレストとも窪みがつくられ、左右独立したシートとして機能する。小ぶりなアームレストが備わる。
ワゴンRのアップグレード車として
スペイン語で「王座」「王権」を意味する単語を車名にするソリオ。ベースとなった「ワゴンR」のほぼ2倍にあたる排気量の恩恵は、動力性能はもちろん、乗員の快適性にも貢献する。
スズキ自慢の1.3リッター“オールアルミ”ツインカムユニットは、可変バルブタイミング機構「VVT(Variable Valve Timing)」を搭載、88ps/6000rpmの最高出力と12.0kgm/3400rpmの最大トルクを発生する。普通に走るかぎり、あまり回さないですむので室内は静かだ。ソリオWELLは、ノイズがこもりやすいボックス型のキャビンをもつにもかかわらず、不快な音が耳に飛び込まない。
「こんなに静かだったかなァ」と思って試乗のあとでエンジニア氏に防音関係の変更点をうかがうと、「遮音材に加え、吸音材を使うようになったからでは」とのこと。各メーカーのプレス向け試乗会に参加するたびに「吸音材」のハナシが出るから、室内の静粛性に“効く”素材として、ひとつのトレンドになっているのだろう。
「トヨタ・ヴィッツ」「日産マーチ」そして「ホンダ・フィット」と、1.3リッター級コンパクトカーは、いうまでもなく非常な激戦区だ。ライバルに対するワゴンRソリオのウリは、絶対的に高いハイトゆえの室内空間、生活に根ざした使いやすさ、収納の多さ、新たに後席スライド機構が加わった多彩なシートアレンジ、気の置けないキャラクター、そして「ワゴンRユーザーの数」だ。
ソリオWELLは、1.3SWTのアグレッシブな顔つきゆえ、いままで取り逃してきたワゴンRからのアップグレード組を、しっかり取り込むためのモデルといっていい。つまり、女性ユーザー、年輩層がメインターゲットとなる。トーフ親子は? ソリオなら、四角い頭がつかえないから、いいんじゃないでしょうか。
(文=webCGアオキ/写真=難波ケンジ/2002年6月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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