ランドローバー・フリーランダー5ドアES(5AT)【ブリーフテスト】
ランドローバー・フリーランダー5ドアES(5AT) 2001.04.21 試乗記 ……335.0万円 総合評価……★★★★ライバルにない上質感
ランドローバーのラインナップの末弟を務めるフリーランダーが、2001年2月3日、いよいよ日本に導入された。日本では競合相手の多い、いわゆるライトクロカン市場への参入である。乗ってみると、しかしライバルたちからは得られない上質感が備わっている。しっかりしたシート、品のいいトリム類、エンジンと5段ATのマッチングがよく、乗り心地もサルーンまさり。価格相応の内容をもっている、と納得させられる。ピックアップのように荷室がオープンになる3ドアのGSが選べるのも、ライバルへのアドバンテージになるだろう。
|
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年のフランクフルトショーでデビューした、老舗ヨンクメーカー、ランドローバーの小型SUV。3/5ドアのハードバックほか、3ドアモデルのラゲッジルーム天井部分がキャンバストップになったソフトバックボディが用意される。当初1.8リッター、2リッターディーゼルターボ(コモンレール式)をラインナップ、トランスミッションは5段MTのみだったが、2001年モデルから、ローバー75ゆずりのドライブトレイン、2.5リッターV6+5段ATを搭載したモデルが加わった。日本に入れられるのは、もちろんV6バージョンだ。
(グレード概要)
5ドアES(335.0万円)は、フリーランダ−の最上級グレード。廉価版5ドアS(295.0万円)との差は、ホイールが15インチ鉄チンから16インチのアロイ、内装がファブリックからレザー仕様になるほか、ルーフレール、クルーズコントロールなどが標準で装備される。3ドアのハーフバックは、GS(315.0万円)の一種類のみ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
レンジローバーやディスカバリーといった兄貴たちと較べると、インパネまわりと車内の色や素材使いが明るく、若々しい。とはいえ、そこはイギリス車だけあって、分別をわきまえた(?)開放感。大人っぽくて好感が持てる。ライトクロカンに乗ってみたいが、内外装の造形と意匠が子供っぽくて二の脚を踏んでいる人にはピッタリ。9色あるボディカラーの“選び”で、センスを競いたい。
(前席)……★★★★
レンジローバーやディスカバリーなどと共通した座り心地のガッチリしたシート。最上級モデルのESは革シートとなる。座面と背もたれの中央部分が周辺部分よりも濃色となり、ムレ防止のための細かな孔が開けられる、ローバー600や800と共通する仕上げだ。
(後席)……★★★★
後席も前席同様に快適。シートが前席よりも高い位置にあるため、後席乗員の視界が損なわれない。バックレストは、6:4の分割可倒式。背もたれを座面まで折り、さらに座面前部を支点に前に倒すことができる。必要に応じて、ラゲッジルームを拡大できるわけだ。
(荷室)……★★★★
荷室の容積はボディサイズ相応の標準的なものだが、使い勝手を大きく向上させているのが、電動で上下するテイルゲートのウィンドシールド。同サイズや、ひとつ上のクラスのSUVでも、この機構を標準装備しているクルマはない。狭い場所での荷物の出し入れに便利なうえ、車内の換気にも抜群の効果を見せる。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
2001年モデルから、2.5リッターV6と、シーケンシャルシフトが可能な「ステップトロニック」付き5段ATを搭載したグレードがラインナップされ、日本導入が始まった。以前、イギリスで試乗した4気筒モデルと比較すると、1.5クラスくらい高級に感じられる。
2.5リッターモデルのドライブトレインは、ローバー75のために開発されたものだが、フリーランダーとの相性はよい。パワーとトルクが十分に出ており、オンロードでもオフロードでも余裕をもった走りが可能だ。エンジンパワーの出方とトランスミッションの変速はスムーズそのもの。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
舗装路、オフロードともに良好な乗り心地。ヘタなセダンよりも快適なくらいだ。基本的にソフトな乗り心地ながら、ハンドル操作に機敏に反応。過大かつ不快なロールやピッチングは、よく抑えられている。
ランドローバー独自の技術によって開発された「HDC」ことヒルディセントコントロール機構は、急な下り坂で効果を発揮する。ギアを1速に入れ、シフター後方にあるボタンを押す。エンジンブレーキを効かせながら、それでも速度が増すとABSが自動的に介入し、約6km/hに維持してくれる。この機構に頼らざるを得ない山道などそう出くわすものではないが、イザという時には頼りになるだろう。
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日: 2001年3月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)215/65R16 98H/(後)同じ(いずれもMichelin 4×4 M+S)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。


