メルセデス・ベンツC200アバンギャルド(FR/7AT)
間違いのない選択 2014.08.07 試乗記 1982年デビューの「190」以来の歴史を持つコンパクトメルセデス「Cクラス」が4代目へとモデルチェンジ。その実力を確かめた。滑らかな出足に感じる隔世の進化
スルルルル~ンと滑らかな発進を体験しながら思い出したのは、12年ぐらい前のこと。当時の「メルセデス・ベンツCクラス」のはこんなじゃなかった。トルコンの滑りが極小な感じでギュルンと……はいいとして、そのすぐあとあたりにアクセルペダルの踏み込みを戻すとGの変化がけっこう明確に出た。で、「2速発進に戻してほしいなあ」と。
それがいまはスルルルル~ン。電子制御スロットルの適合の妙であろうけれど、とにかくラク。それと、トルコンAT感すごくあり。いい意味で。車速と変速プログラムとアクセル操作の関係によってはドンというショックとともに変速してしまうことが低速域においてなくはないけれど、ま、この程度なら別に。だったら書かなくてもいいか。すいません。
路面からの入力に素早く反応
乗り心地はものすごく柔らかい。昔のアメ車みたいな、というと実際の感じがわかりやすいかもしれない。「C200」はC200でも、このC200は「AMGライン」。ということでエアサスつき。エアサスつまり空気バネ。縮むにつれて急速にレートが高くなる。逆にいうと、常用域のレートを思い切り低く設定できる。その思い切り低い常用域のバネのレートに合わせて、ダンパーの減衰力も低めに設定してある。で、ちょっとわざとらしいぐらいにソフト。路面にアンジュレーションがあると、後ろアシはユワンユワンにストロークする。
しかし、そうとばかりはいえない……のは、例えばダダン!! のとき。この場合、リアのダンパーは一瞬にしてカタくなる。どれぐらい一瞬のうちかというと、前アシが凸に乗り上げて伸びる頃には「簡単には縮まないぞ!!」モードに転じているぐらい。そうやって、不快なボトミング(底突き)やピッチングが出てしまうのを防ぐ、あるいは避ける。普段はユワンユワンでありつつ、さりげなくも見事なハヤワザである。
一方その頃、というか普段からそうだけれど、タイヤに関しては縦バネの異様なカタさがある。なるほどランフラット。本国ではオプショナル。日本仕様は全部それつき。サッサと履き替えたくなる人もなかにはいるかもしれないけれど、今回借りた個体に関するかぎり印象は望外にヨカッタ。縦バネは異様にカタいけれど鉄ゲタ感はなく、そしてこの円満な感じは……。正解:ミシュラン。
「ベンツみたいに」真っすぐ走る
ハンドル関係。狭~いカドを深~く曲がる際には、なんかヘンなことが起きているのがわかる。具体的には、操舵(そうだ)レシオが変わっているのが。おっとっと!! でもこれ、どうやら舵角(だかく)によるようで、広い道や高速道路やワインディングロード(にもよるだろうけれど)を走っているときは気にならない。大丈夫。乗り始めてすぐの首都高2号線のカーブでは、ハンドル操作に対してハナ先がミョーにワサッ!! と動くのが気になった。けれど、結論をいうと、それは当方のアジャスト力不足が一因だった。「これじゃあ曲がりきれないんじゃないの!?」なぐらい意識してゆっくりめにきってやるとうまくいく。
計測したわけではないけれど、このクルマの前アシはキャスター角が強めについている(ように見える)。ということは、フツーに考えてキャスタートレールもたっぷりめにある。一般的には、直進性重視といわれるタイプのジオメトリー設定。ハンドルをきると、旋回外側のフロントタイヤは車体を旋回内側へグイッと押す。と同時に、車体フロント外側をこれまたグイッと沈める方向へ(横G以外のロール増加要因)。ひょっとしたら、このへんもワサッ!! の一因かもしれない。「ヨーとロールのバランスが……」なんて、昔のベンツに関してはよくいわれた。書かれた。
直進およびほぼ直進の際の走行ラインの管理のしやすさはイイ。気をつかわず、また細かい修正もナシでいける。ハンドルの不感帯……とまではいえないけれど、手応えがニブいところ。それが真ん中あたりにちゃんと設けてあるのもイイ。ということで、まるでベンツみたいに真っすぐ走る。そういったら語弊があるだろうか。アクセル操作による速度管理も実に容易で、つまり運転のラクなクルマといえる。
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「スポーツ」モードの使い道は……
アジリティーコントロール関係。「エコノミー」や「コンフォート」ではなく「スポーツ」や「スポーツ+」を選ぶと、ハンドルの手応えが強くなったりアシがカタくなったりする。エンジンやトランスミッションの制御モードも相応に攻めタイプに変わる。試してみた印象としては、常時エコノミーまたはコンフォートでほぼ大丈夫。そのまんま峠道へ突入しても、必要な際にはクルマのほうでちゃんとやってくれる。ダダン!! のときと同じようにさりげなく。素早く。
スポーツやスポーツ+のモードは、簡単にいうとアンダーステアのモードである。それだと語弊があるのでもう少し詳しくいうと、クルマの向きを変えることよりも向きを変えたあとでその動きをいかに素早く落ち着かせるかが重大事な走行状況のためのモード。なので、日本の山道ではエコノミーやコンフォートのほうがむしろ走りやすい。ただし、高速巡航中にエコノミーやコンフォートのモードではクルマの上下動が少し大きすぎると感じられた場合にスポーツのモードを選ぶといい結果が得られることはある。
なおアジリティーコントロール、アウディのやりかたにインスパイアされたのか、個々のパラメーターをそれぞれ自分の好みに設定できるモードもある。お好きなかたはそちらでどうぞ。
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余計なガマンは必要なし
あとそう、ブレーキ関係。踏力一定で停止しようとすると、制動Gがクーっと強まっていく感じがあるかもしれない。その場合は、踏力を少しだけ弱めにしてやるとうまくいく。キレイに止まれる。一発目のブレーキングからノープロブレムな人もいるかもしれない。それと、パワー関係の印象はやっぱりC200。同じ2リッター+ターボでもっと強烈なヤツ(C250)があることが、これ1台しか乗らなくてもわかる。つまり、ワザと控えめにしてある系。もちろん、それぐらいでないとベンツ的にマズいわけだけれど。
いわゆるスポーティーな風味を強めに出したことによる、乗り心地のツラさや運転しにくさ。そうしたモロモロが、このクルマではうまいこと排除されている。スポーツやスポーツ+のモードを選んだところで快適さが台無しになるわけではないし。またエラく静かだし。ルックスや高付加価値物件好みでアバンギャルドのAMGラインを選んでも被害はない。ガマンしなくていい。「俺の選択はハズレだったのか!?」という疑念を振り払うことに懸命になる必要はない。
ということで、よくできました。化粧っけの強い乗りアジのクルマは個人的には好きなタイプではないし「W124」を思い出したりは別にしなかったけれど、いまのこのテの物件のなかではかなりかもっと正解のチョイスであるといっていいのではないか。
(文=森 慶太/写真=河野敦樹)
テスト車のデータ
メルセデス・ベンツC200アバンギャルド
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4715×1810×1430mm
ホイールベース:2840mm
車重:1590kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7AT
エンジン最高出力:184ps(135kW)/5500rpm
エンジン最大トルク:30.6kgm(300Nm)/1200-4000rpm
タイヤ:(前)225/45R18 95Y/(後)245/40R18 97Y(ミシュラン・プライマシー3)
燃費:16.5km/リッター(JC08モード)
価格:524万円/テスト車=631万6400円
オプション装備:メタリックペイント(8万6400円)/レザーエクスクルーシブパッケージ<パークトロニック+アクティブパーキングアシスト[縦列・並列駐車]+シートヒーター[前席]+ヘッドアップディスプレイ+ハンズフリーアクセス[トランク自動開閉機構]+自動開閉トランクリッド+本革シート+エアバランスパッケージ[空気清浄機能、パフュームアトマイザー付き]+メモリー付きパワーシート[助手席]>(64万円)/AMGライン<AMGスタイリングパッケージ[フロントスポイラー、サイド&リアスカート]+18インチAMG5スポークアルミホイール+Mercedes-Benzロゴ付きブレーキキャリパー&ドリルドベンチレーテッドディスク[フロント]+レザーARTICO AMGスポーツシート[前席]+AMGスポーツステアリング+レザーARTICOダッシュボード+AMGフロアマット+ブラックアッシュウッドインテリアトリム+ステンレスアクセル&ブレーキペダル[ラバースタッド付き]+AIRMATICアジリティパッケージ>(35万円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:2207km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:831km
使用燃料:68.0リッター
参考燃費:12.2km/リッター(満タン法)/13.3km/リッター(車載燃費計計測値)
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森 慶太
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