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【スペック】全長×全幅×全高=4395×1695×1435mm/ホイールベース=2550mm/車重=1210kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4SOHC8バルブ(111ps/6000rpm、14.5kgm/4800rpm)、モーター(14ps/1500rpm、8.0kgm/1000rpm)/価格=256万円(テスト車=267万5500円/車体色プレミアムホワイトパール=3万1500円/前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム=8万4000円)

ホンダ・インサイト エクスクルーシブXLインターナビセレクト(FF/CVT)【試乗記】

燃費よりもゆとりの時代!? 2011.12.04 試乗記 下野 康史 ホンダ・インサイト エクスクルーシブXLインターナビセレクト(FF/CVT)
……267万5500円

ホンダのハイブリッドカー「インサイト」に、より排気量の大きな1.5リッターエンジン搭載車が登場。「エクスクルーシブ」を名乗る同モデルの走りを、市街地で試した。
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CR-Zと同じエンジン

「CR-Zを搭載した、インサイト」。カタログの見出しをそのまま借りると、それが「インサイト」の新グレード「エクスクルーシブ」である。「CR-Z」のパワーユニットにそんなにステータスがあるのかな? という気もするが、CR-Zの価格は「226万8000円より」、エクスクルーシブは「208万円より」だから、“降臨”系のありがたいニューモデルには違いない。

ハイブリッドシステムはCR-Zと共通。4バルブSOHCの1.5リッターi-VTECエンジンには、出力で1ps、トルクで0.2kgmの差がつけられているが、それはCR-Zのステータスを守るための“最適化”に思える。

変速機はCVTのみ。新たにパドルシフトが付き、7段CVTとして使えるようになったのが1.3リッターインサイトとの違いだが、CR-ZのようにMTは選べない。

「フリード ハイブリッド」の試乗会に用意されていた「インサイト エクスクルーシブ」は最上級グレードの「XLインターナビセレクト」(256万円)1台だけ。当然、競争率は高く、試乗時間は正味30分ほど、それもお台場の島の中だけだったチョイ乗りインプレッションの印象は、「フツーに速いホンダ車」だった。10kW(14ps)のIMAシステムは1.3リッターインサイトと同じだから、ますますエンジンの存在感が増したわけで、アイドリングストップしなければ、普通のガソリン車と乗車感に差はない。最近は普通のガソリン車もアイドリングストップするようになってきたから、その意味でもますます普通に感じる。

エンジン排気量が200ccアップした「エクスクルーシブ」の燃費(JC08モード)は、カーナビなしの「XG」「XL」の場合で23.2km/リッター(カーナビ付きの「エクスクルーシブXL」は22.2km/リッター)。この数値は1.3リッターモデル比で約15%のダウンとなるが、一方エンジン出力&トルクは23ps&2.2kgm向上した。
エンジン排気量が200ccアップした「エクスクルーシブ」の燃費(JC08モード)は、カーナビなしの「XG」「XL」の場合で23.2km/リッター(カーナビ付きの「エクスクルーシブXL」は22.2km/リッター)。この数値は1.3リッターモデル比で約15%のダウンとなるが、一方エンジン出力&トルクは23ps&2.2kgm向上した。
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「エクスクルーシブ」の内装。黒木目調パネルや高輝度シルバーパネルにより、質感の向上が図られている。
「エクスクルーシブ」の内装。黒木目調パネルや高輝度シルバーパネルにより、質感の向上が図られている。
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見えるところもグレードアップ

インサイトは「走りがものたりない」という声があったのが、エクスクルーシブ追加の大きな理由だという。ホンダの社内データでは、0-100km/hタイムで1.3リッターモデルより約2秒速くなったそうだ。ゼロヒャクで2秒違ったらまったく別のクルマに感じるものだが、残念ながら、少なくともお台場チョイ乗りだとそんな大差は感じなかった。エクスクルーシブに乗る前に、最新型の1.3リッターに試乗したのだが、正直言って、これでなんの不満があろうかと思った。だから1.3リッターオーナーが悲嘆にくれる必要はない。1.5リッターのアドバンテージを強く感じるのは、高速域の追い越しやインターでの合流など、ここ一番のときだろう。

エンジンパワーが3割近くアップしてパドルシフトが付いても、仕立てが特にスポーティーというわけではない。1.3リッターも初期型と比べると、ボディーの剛性感が増し、乗り心地がよくなったが、その好印象は1.5リッターも同じだ。ただし燃費(10・15モード値)は1.3リッターモデルの31.0km/リッターから25.5km/リッターにドロップしている。

1.5リッターの内外装はたしかになかなかエクスクルーシブ(高級)だ。助手席ダッシュボード下縁はヘアラインフィニッシュのアルミ風パネルで飾られ、ドア内張りやフロントコンソールにはメルセデスのアバンギャルドみたいなブラックの木目調パネルが入る。

パッと見の外観でいちばん目立つ違いは、「XL」以上のモデルに新意匠のアルミホイールが標準装備されたことだろう。街ゆくハイブリッド車を見ていると、ホイールを替えているクルマはごく少ない。最初からカッコいい"アルミ"が付いているのは歓心を得そうだ。

2011年11月のマイナーチェンジでは、「エクスクルーシブ」と同様、1.3リッターモデルにもサスペンション特性の見直しや静粛性向上などの改良が施された。
2011年11月のマイナーチェンジでは、「エクスクルーシブ」と同様、1.3リッターモデルにもサスペンション特性の見直しや静粛性向上などの改良が施された。
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「エクスクルーシブ」専用の黒木目調パネル。
「エクスクルーシブ」専用の黒木目調パネル。 拡大
アルミ切削処理により陰影が強調された「エクスクルーシブXL」の標準アルミホイール。サイズは「エクスクルーシブXL」では15インチ、「エクスクルーシブXLインターナビセレクト」では16インチとなる。
アルミ切削処理により陰影が強調された「エクスクルーシブXL」の標準アルミホイール。サイズは「エクスクルーシブXL」では15インチ、「エクスクルーシブXLインターナビセレクト」では16インチとなる。
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プリウスか、インサイトか

1240台対1万8400台。なんの数字かといえば、2011年(1〜9月)の「インサイト」と「プリウス」の月平均販売台数比較である。

今のインサイトが出たのは2009年2月。その100日後に現行型にモデルチェンジしたプリウスとは、デビュー直後こそいい勝負をしたものの、続かなかった。2010年10月、インサイトと同じパワーユニットの「フィットハイブリッド」が登場してからはさらに台数を落とし、一方、プリウスは2011年5月にミニバンタイプの「α(アルファ)」を加えて、独走態勢を強化した。かくして、インサイトの販売台数はプリウスの15分の1になってしまったのである。

たしかに筆者のまわりを見渡しても、プリウスオーナーはすぐ片手に余るくらい思い浮かぶが、インサイトに乗っている知人は……、ガーン! ひとりもいなかった。「プリウスとインサイト、どっちか買えと言われたらどっちを選ぶ?」と聞くと、インサイトと答える友人のほうが優勢であるにもかかわらず、だ。そして、心情的インサイト派はたいてい輸入車に乗っている、というところに、インサイトの、ひいてはホンダの抱えるひとつの問題点があるように思うのだが、それはともかく、そんなインサイトの苦境を打破すべく投入されたカンフル剤がエクスクルーシブである。

「ハイブリッドでも、燃費よりゆとりを求める人が増えてきている」とは、新型インサイトの開発者の言葉だ。同じクルマなのに、あとからエンジンの大きいモデルが出るなんて、まさに普通のクルマと同じじゃないかと思うが、その言葉を信じれば、マーケットはあるということか。乾坤一擲(けんこんいってき)の効果が期待されるニューインサイトである。

(文=下野康史/写真=荒川正幸)

1.3リッター「L」と1.5リッター「XLインターナビセレクト」にオプションとして設定される本革シート。色はブラックとオパールアイボリーの2種類が選択可能。
1.3リッター「L」と1.5リッター「XLインターナビセレクト」にオプションとして設定される本革シート。色はブラックとオパールアイボリーの2種類が選択可能。
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マイナーチェンジでは、インサイト全車で後方視界の向上が図られた。
マイナーチェンジでは、インサイト全車で後方視界の向上が図られた。
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下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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