ホンダ・インサイトEX・ブラックスタイル(FF)
挑戦と失敗から学んだ復活 2019.01.29 試乗記 5ドアハッチバックからセダンに“衣替え”をした、新型「インサイト」に試乗。ホンダ自慢のスポーツハイブリッドi-MMDを搭載しながらも、ガソリン車並みの荷室容量や使い勝手、ゆとりある居住スペースを確保したというが、果たしてその出来栄えやいかに。眠っていた車名の復活
1999年の秋に発表された、初代インサイトのインパクトは大きかった。初代「プリウス」を大きく凌(しの)ぐ、35km/リッター(10・15モード)という当時としては量産ガソリン車世界最高の燃費性能もさることながら、そのスタイルはリアフェンダーにスパッツまで履かせた空力重視の2シータークーペ。しかも車体はアルミや樹脂など軽量素材で造り上げた820kgという軽さである。燃費性能をとことん突き詰めた、ものすごくマニアックなモデルだった。極めてホンダらしい一台ではあったが、ゆえに国内販売は2500台にも全く満たなかった。
2009年に登場した2代目インサイトは、2代目プリウスよりスレンダーな5ナンバーの5ドアハッチバックへと転身し、プリウスよりも大幅に安い189万円からという価格で販売された。ホンダはハイブリッドカーというものをできるだけ多くの人に行き渡らせたいと考えたのだ。燃費の数値こそ2代目プリウスよりわずかに劣っていたが、内燃機関のみのクルマと比べたら実用燃費は上々だし、今風にいうなら“フツーにいいクルマ”だった。
何より40万円以上の価格差は魅力だった。けれど、その頃はまだハイブリッドというものが“飛び道具”的なイメージを持っていた時代。2代目インサイトはモーターのみによる走行がほとんどできないなど、ハイブリッド風味は薄味だった。そして数カ月後に登場した3代目プリウスに燃費の数値などでさらに大きく水をあけられ、トヨタの全店販売や旧型となった2代目をインサイトと同じ189万円で併売するなどの徹底的な迎撃まで受けて、いい方は悪いが大敗した。
その2代目インサイトがひっそりと姿を消してから、4年半と少々。北米より少し遅れて、日本でも3代目インサイトがいよいよ発売になった。もはやハイブリッドカーは珍しい存在ではなく、燃費も環境性能も優れていて当然、となっている昨今。眠っていた“インサイト”の名前をあらためて冠した意味はどんなところにあるのか、そしてハイブリッドカーとしてどんなモデルに仕立てられているのか、関心のある人も多いことだろう。
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