フォルクスワーゲン・ゴルフGTE(FF/6AT)
“GT”の名を冠するだけのことはある 2015.12.04 試乗記 「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に、電動モーターと駆動用バッテリー、充電用ソケットを搭載した「GTE」が登場。フォルクスワーゲン初のプラグインハイブリッド車の実力を試した。「ハイブリッドは退屈」という人にこそ試してほしい
「ゴルフGTE」はフォルクスワーゲン初のプラグインハイブリッド車。現行ゴルフが採用する「MQB」プラットフォームに、1.4リッター直噴ターボと電気モーター、そして、8.7kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載することで、最高出力204ps、最大トルク35.7kgm(350Nm)を発生させる一方、外部から充電したエネルギーで最大53.1km走行できるというのが特徴だ。
「アウディA3スポーツバックe-tron」とは基本設計を共有する兄弟車だが、そのキャラクターは大きく異なる。というのも、ゴルフGTEは「ゴルフGTI」の流れをくむスポーツモデルとして位置づけられており、デザインも走りもGTIをほうふつとさせるテイストに仕上げられているのだ。
それが顕著になるのが「GTEモード」を選んだとき。軽くアクセルペダルをあおっただけで、モーターとエンジンが強力なトルクを生み出し、爽快な加速を見せるのだ。しかも、瞬時に反応するモーターだけに、そのレスポンスはGTIの2リッターをしのぐほど。「パワーメーター」の動きにあわせてキャビンに響くサウンドは人工的につくられたものだが、優等生的なプラグインハイブリッド車でエキサイティングな走りを体感するにはうまい演出だ。
一方、大容量のバッテリーを搭載するぶん車両重量は1.5トンを超え、ハンドリングマシンのGTIには機敏さでは及ばないが、それでも、GTI譲りのやや硬いサスペンションや改善された前後重量配分、低い重心高のおかげで、コーナリング時には自然な動きが楽しめる。
Eモード(EV走行モード)やハイブリッドモードの走りはスムーズかつ静かで、加速性能にも不満はない。ハイブリッド走行時の燃費は1.4リッター直噴ターボのみを積むゴルフを多少上回るレベルだが、それでGTIクラスの加速が楽しめると思えば納得がいく。
主にEV走行が可能な範囲を動き回るというのがプラグインハイブリッド車本来の使い方だが、このゴルフGTEはそこから一歩踏み出して走りも楽しめるというのが面白いところ。とことん燃費を追求する人には向かないが、これまでのハイブリッドを退屈と思う人には、新たな選択肢になりうるクルマである。
(文=生方 聡/写真=小林俊樹)
【スペック】
全長×全幅×全高=4265×1800×1480mm/ホイールベース=2635mm/車重=1580kg/駆動方式=FF/エンジン=1.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(150ps/5000-6000rpm、25.5kgm/1500-3500rpm)+交流同期電動機(109ps、33.6kgm)/トランスミッション=6AT/燃費=23.8km/リッター (ハイブリッド燃料消費率、JC08モード)/価格=499万円

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
シボレー・コルベットZ06コンバーチブル3LZ(MR/8AT)【試乗記】 2026.6.18 ルマンウイナーのパフォーマンスを、爽快なオープンエアで満喫! レース直系のV8エンジンと、圧倒的なシャシー性能が自慢の「シボレー・コルベットZ06コンバーチブル」に試乗。広く門戸が開かれた、アメリカンスーパースポーツの魅力の一端に触れた。
-
トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)【試乗記】 2026.6.17 「RAV4」は世界で年間100万台以上が販売されるトヨタ屈指の売れ筋モデルゆえに、最新の技術や装備がこれでもかと詰め込まれている。販売拡大が見込まれるプラグインハイブリッド車にそれが顕著だ。「Z」グレードの仕上がりをリポートする。
-
ホンダZR-V e:HEVクロスツーリング(4WD/CVT)【試乗記】 2026.6.16 「ホンダZR-V」といえば、スポーティーな走りが魅力のコンパクトSUVだが……人気ジャンルの一台にもかかわらず、その存在感はちょっと薄めだ。今回の一部改良でアピールを強めることはできたのか? 特別仕様車「クロスツーリング」に試乗して確かめた。
-
ホンダ・スーパーONE(FWD)【試乗記】 2026.6.15 ホンダからアグレッシブなキャラクターの新型電気自動車(BEV)「スーパーONE」が登場。往年の「シティ ターボII」を思わせるコンパクトなBEVは、先達(せんだつ)に負けない刺激を持ち合わせているのか? 気になる走りを、箱根のワインディングロードで確かめた。
-
ディフェンダー110ハードトップX-DYNAMIC SE D350(4WD/8AT)【試乗記】 2026.6.13 写真を見ていつもの「ディフェンダー」とはどこか違うと思われた方は鋭い。このクルマは1ナンバー、つまり商用車登録の「ディフェンダー・ハードトップ」である。全長約5mのボディーに備わるシートは前の2座のみ。広大な荷室を使いこなす生活を思い描いてみた。
-
NEW
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】
2026.6.20試乗記トヨタからワゴンのようなボディーの新型電気自動車「bZ4Xツーリング」が登場。いわば既存の「bZ4X」のロングボディー版だが、試乗した4WDモデルはよりパワフルになっているなど、長さ以外も結構違う。350km余りをドライブした印象を報告する。 -
これがスバルの生存戦略! 最新BEV「トレイルシーカー」の工場にみる日本メーカーの生きる道
2026.6.19デイリーコラム話題の最新BEV「スバル・トレイルシーカー」「トヨタbZ4Xツーリング」を生産する、スバルの矢島工場を見学。高度な混流生産を可能にした彼らの独自技術と、その狙いとは? 市場の変化をチャンスに変える、生き残りをかけたスバルの技術革新をリポートする。 -
KTM 390 SMC R(6MT)
2026.6.19JAIA輸入二輪車試乗会2026KTMがラインナップするスーパーモト「390 SMC R」に試乗! スーパーモトといえば俊敏性が命の“かっ飛びマシン”の宝庫だが、オーストリアの雄が擁する一台は、刺激的でありながら疲れすぎることのない、絶妙なあんばいのモーターサイクルに仕上がっていた。 -
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す
2026.6.19エディターから一言2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。 -
中東の戦闘終結で一段落? 各国の“危機的ガソリン価格”を振り返る
2026.6.18デイリーコラムアメリカ・イラン間で戦闘終結に向けた合意が2026年6月15日に成立。今後、原油をはじめ流通と物価の落ち着きを期待したいところだが……。各国のガソリン価格はどこまで高騰したのか、同年5月の危機的状況を振り返ってみよう。 -
シボレー・コルベットZ06コンバーチブル3LZ(MR/8AT)【試乗記】
2026.6.18試乗記ルマンウイナーのパフォーマンスを、爽快なオープンエアで満喫! レース直系のV8エンジンと、圧倒的なシャシー性能が自慢の「シボレー・コルベットZ06コンバーチブル」に試乗。広く門戸が開かれた、アメリカンスーパースポーツの魅力の一端に触れた。