マツダ・ロードスターRS(FR/6MT)
人の好みは十人十色 2016.02.09 試乗記 4代目「マツダ・ロードスター」に追加された、運動性能を高めた上級グレード「RS」に試乗。同車専用のチューニングがかなえた、ほかのグレードとは一味違う走りを試す。グレードによって明確に走りが違う
『webCG』編集部からマツダ・ロードスターRSに乗ってインプレッションを書け、という指令を受けて「しめしめ」と思う。個人的に、マツダ・ロードスターはほぼ満点の出来。10万km以上をともにした初代こと「ユーノス・ロードスター」を、結婚、出産というありがちな理由で手放して以来、「いつかはロードスター」の思いを胸に秘めてきたわけでありますが、4代目の登場によっていよいよその気持ちが強くなったのである。
そんな折、「走りを強化した」とも「走りを熟成させた」ともいわれるロードスターRSに試乗をする機会をいただいて、これを役得と言わずなんと言おう。
試乗前夜、ロードスターの各バリエーションの足まわりをおさらいする。
「ロードスターS」と「ロードスターSスペシャルパッケージ/Sレザーパッケージ」の6段MT仕様を比較すると、前者に備わらないリアのスタビライザーとトルセン式LSDが、後者には備わるところが目を引く。ボディー剛性を強化するトンネルブレースバーもロードスターSにはないけれど、ロードスターSスペシャルパッケージ/Sレザーパッケージには備わる。
195/50R16というタイヤサイズは、共通だ。
これまでに何度か試乗した経験では、ロードスターSは柳腰というか、路面の凸凹をさらりとかわしつつ、コーナーをひらひらとクリアするフットワークの軽さが持ち味だ。対するロードスターSスペシャルパッケージ/Sレザーパッケージは、ガッチリと路面をつかむソリッドな感覚と、スタビリティーの高さが身上といえる。
どっちが好みかと言われれば、圧倒的に前者。ロードスターSの乗り味が木や和紙を思わせるのに対して、ロードスターSスペシャルパッケージ/Sレザーパッケージは石やコンクリートを思わせる。大げさに言えば、両者はそれぐらい違う。
で、ここに次のような装備で武装したロードスターRSが加わる。
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乗り心地の悪化は皆無
ロードスターRSは、リアスタビライザーとトルセン式LSDを備えたロードスターSスペシャルパッケージがベースとなる。ここに、まずビルシュタイン製のショックアブソーバーを装着することでダンピングを強化、フロントにタワーバーを加えることでボディーがねじれることを抑えた。前後のディスクブレーキを大径化することで、ブレーキも強化されている。
また、他グレードではオプションとなる、エンジンの吸気脈動を利用して勇壮なサウンドを響かせる「インダクションサウンドエンハンサー」なる装置がロードスターRSでは標準装備となる。
走りだしてみると、最大の懸念事項だった低速域での乗り心地の悪化がみじんも感じられなかったことにホッとひと息。首都高速の段差を乗り越えても、「タイヤ→足まわり→ボディー」という伝言ゲームの過程で、路面から伝わるショックの角はどんどん丸くなっていく。
乗り心地が悪くなっていなくて走りがよくなっているのなら、これはすばらしいのではないか。そう思って、コーナリングスピードを上げてみる。
ん? なんかヘン? なんというか、コーナリング中に車体の前半分と後ろ半分が、ばらばらに動いているように感じる。
でも、これは気のせいだ、気のせいだと頭の中で繰り返す。あんなに出来のよかったロードスター、しかも走りに振ったモデルなんだからしっかり走らないはずがない。そうだ、首都高は路面も悪いし、と自分に言い聞かせて箱根を目指す。
“ちょっとマヌケ”なくらいがちょうどいい
けれども、箱根のワインディングロードでは、「ん?」というギモンが、「んん?」に大きくなってしまった……。
感覚的には、コーナリング中にフロントの外輪がすーっとストロークして沈み込んでいるのに、リアが突っ張っている感じだ。特に、手前で強いブレーキングをするコーナーで、この傾向を強く感じる。
これは、リアが踏ん張っていること、すなわちスタビリティーの高さを伝えてきているのだから、悪いことではない。でも、そんなにがっちがちのスタビリティーを感じさせなくてもいいのに……。生き物のように自然に曲がるロードスターSのほうが好みであるのは間違いない。
ここから先は、いい悪いではなく、好き嫌いの問題になる。言い換えれば、ライトウェイトスポーツカーに対する考え方の違いだ。
筆者は、ライトウェイトスポーツカーというのはちょっとマヌケで足りないぐらいがいいと思っている。性能が不足していても、クルマとドライバーが力を合わせて不足分を補う。クルマが人間よりエラいのではなくて対等の関係にある、それが(自分の考える)ライトウェイトスポーツカー。
でも作り手はそんな風に考えたりしないだろう。開発者は完璧な走りを目指すはずで、それがロードスターRSだ。
大げさに言うと、ロードスターSは人なつっこい駄犬で、ロードスターRSは確実に獲物をとらえる猟犬。スポーツカーに乗ることも犬を飼うことも趣味だから、どれが正しいということはない。でも私はやっぱり駄犬が好き。ロードスターRSに乗って、自分の好みがはっきりとわかった。
(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)
テスト車のデータ
マツダ・ロードスターRS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3915×1735×1235mm
ホイールベース:2310mm
車重:1020kg
駆動方式:FR
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:131ps(96kW)/7000rpm
最大トルク:15.3kgm(150Nm)/4800rpm
タイヤ:(前)195/50R16 84V/(後)195/50R16 84V(ヨコハマ・アドバンスポーツV105)
燃費:17.2km/リッター(JC08モード)
価格:319万6800円/テスト車=328万3200円
オプション装備:ボディーカラー<クリスタルホワイトパールマイカ>(3万2400円) ※以下、販売店オプション ナビゲーション用SDカードPLUS(4万8600円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:6190km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:349.5km
使用燃料:24.8リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:14.1km/リッター(満タン法)/15.2km/リッター(車載燃費計計測値)
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サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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