フォルクスワーゲン・ゴルフTSIハイライン(FF/7AT)/ゴルフヴァリアントTSIハイライン(FF/7AT)
しつけの良さがにじみ出る 2017.06.21 試乗記 マイナーチェンジが施された「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に試乗。多くのライバルを従えて、今なお普遍的ベンチマークに君臨し続ける理由とは? その進化の度合いとともに確かめた。さらにホットモデルのちょい乗りリポートもお届けする。すべてがきちんとしている
例えば食事の作法とか、脱いだ靴を端にそろえておくといったような日常のしぐさにしつけの良さがさりげなく表れることがある。無理しているのではなく、ごく当たり前に普段から行っているかどうかも分かるものだ。その良家の子女的お行儀の良さと真面目さが何だか退屈、つまらないと言われることもあるようだが、ゴルフはそんなことを気にする必要はないと思う。言いたい人には言わせておけばいい。確かにフォルクスワーゲン(VW)には「ロータス・エリーゼ」のような車は作れないかもしれないが、ロータスにもゴルフは作れっこない。
すっきり雑みのない爽やかさは、走りだして最初にステアリングホイールを切った瞬間に実感できる。握りやすいステアリングのリム形状、しっとりしたレザーの感触、指がしっかりと引っかかるが滑らかで気にならないステッチなど、すべて適切で丁寧な工作精度が伝わってくる。今回のマイナーチェンジはデジタル化と安全装備の充実が主体で、パワートレインやサスペンションなどのメカニズムには変更がないということだが、上質さにさらに磨きがかかっているように感じるから不思議である。山道を登っても過不足のないパワー、スムーズで切れのいい変速、フラットな乗り心地など、不満を感じる点が見当たらない。MQBプラットフォームを初めて採用した現行ゴルフに対してコストをかけすぎと批判する人もいたが、結果としてデビューから5年たった今でもCセグメントのベンチマークの座が揺るがないのは、最初の目標設定が間違っていなかったことの証しではないだろうか。
パワートレインは従来通り
「TSIトレンドライン」「TSIコンフォートライン」(こちら2モデルは1.2リッターターボ)と合わせて、のスポーツモデル(「GTI」と「R」)を除く3車種のうちの最上級グレードである「TSIハイライン」のパワートレインは、140ps(103kW)/4500-6000rpmと250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpmを生み出す1.4リッター4気筒直噴ターボ(気筒休止機構付き)に7段DSGの組み合わせで従来と変わっていない。VWはブレーキを踏むと直ちにスロットルが全閉になり、その回復にちょっと時間がかかるために左足ブレーキを使いにくいが、個人的な不満はそのぐらいである。
本国では既に1.5リッターの新型4気筒ターボが発表されていることをご存じの人も多いはず。さらにそれをミラーサイクル化した“ブルーモーション仕様”も登場する予定だが、スタンダードの「1.5TSI」でも少なくとも今年中は日本には導入されないだろう。もう少し待てば……と我慢しながら待っているうちに、いずれ切り替わるゴルフ8(?)のうわさも流れてまた待つかということになるかもしれないので、そこは割り切るべきだろう。
現行エンジンよりさらに燃費が良くなっているはずだが、性能面からいえば今のままでも十分ではないだろうか。穏やかに走るばかりでなく、雨にぬれた山道でも自信をもって軽快に飛ばすことのできるハンドリングとレスポンスの良いパワートレインを備えていることは間違いない。
注目装備はほとんどオプション
今回のマイナーチェンジの、最大のトピックは「パサート」などにも採用されているデジタルメーター、「アクティブインフォディスプレイ」と新しいインフォテインメントシステム「Discover Pro」の採用という。ただしこれらはモデルによってのオプション装備であり、ゴルフ7.5のすべてのモデルに装備できるわけではないので要注意だ。アクティブインフォディスプレイはコーナリングライトやダイナミックターンインジケーター(例の流れるウインカー)付きLEDテールライトなどとともに「テクノロジーパッケージ」の一部であり、ハイラインとGTIのみに17万2800円のオプションとなる。またDiscover Proは「Discover Proパッケージ」(22万6800円)となってコンフォートライン以上に設定される。つまり最もベーシックなトレンドラインにはどちらも装着不可、コンフォートラインにはアクティブインフォディスプレイは付かないということになる。
自慢のオプションならば、しかもマイナーチェンジの目玉であれば、本来全モデルに対応すべきだろうが、本音を言えばどちらの装備も必要不可欠というほどではない。そもそも、ゴルフの魅力はインフォテインメントシステムやメーター内に地図を表示することなどではないはずだ。すべてタッチ操作で行うDiscover Proはモニターサイズも9.2インチに拡大され、すっきりクリーンな見た目で確かにクールだが、以前にも指摘したように、指でタッチする場所を目視して確認しなければならず、また地図の拡大といった基本的操作もタッチコントロールで操作しなければならないのは面倒だ。またジェスチャーコントロールも使えるのはメニュー画面の切り替えとラジオの選局程度のものだから、実用上はあまり意味がない。そもそも短気なオジサンは、ちゃんと切り替わったかどうかを確認しながらジェスチャーするぐらいなら、最初からしっかり指で触るほうを選ぶものだ。もちろん、オジサンの話です。同族のポルシェも最近スマホのようなタッチパネルにご執心だが、必ずしも見やすい、使いやすいとは言えない、というのが正直な意見である。
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パワーアップしたGTIとR
スポーツモデルのGTIとR用の2リッターターボエンジンは今回ともにパワーアップされた。10psアップして230psと350NmになったGTIはもちろん、30psと20Nm増しの310psと400Nmに強化されたRでも、従来型との違いは正直極めて短い試乗時間では見きわめられなかった。第一印象としては、GTIはこれまで通り完成度随一の飛ばせるゴルフである。また4WDのRは「ランエボ」か「インプレッサ」かというほどのコンパクト・ロケット。ただし徹底的に洗練されて荒々しさのかけらも見せないのがゴルフ流だ。電子制御システムが滑りやすい路面で一生懸命に軌跡が膨らまないように働いているのが分かるが、あまり経験のないドライバーならそんな黒子の仕事にも気づかないのではと思うぐらい不自然なところがない。ただし野太い排気音はちょっと演出過剰という気がする。
こんなまっとうな製品を生み出す名門の一族が不正に手を染めることなど今でも信じたくないが、起きてしまったことはどうしようもない。それを払拭(ふっしょく)するにも、有名ミュージシャンとのコラボや派手なキャンペーンなど目新しいことを仕掛けたい気持ちは分かるが、VWのようなまっとうな製品で勝負するブランドにとっては、やはり本筋ではないと思う。言わずもがなではあるが、とりわけ一度失った信頼を回復するには、誠実な仕事を積み重ねていくしかないのだ。
(文=高平高輝/写真=小河原認/編集=藤沢 勝)
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テスト車のデータ
フォルクスワーゲン・ゴルフTSIハイライン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4265×1800×1480mm
ホイールベース:2635mm
車重:1320kg
駆動方式:FF
エンジン:1.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:140ps(103kW)/4500-6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpm
タイヤ:(前)225/45R17 91W/(後)225/45R17 91W(ブリヂストン・トランザT001)
燃費:18.1km/リッター(JC08モード)
価格:325万9000円/テスト車=370万1800円
オプション装備:Discover Proパッケージ(22万6800円)/テクノロジーパッケージ(17万2800円) ※以下、販売店オプション フロアマット<プレミアムクリーン>(4万3200円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:1268km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアントTSIハイライン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4575×1800×1485mm
ホイールベース:2635mm
車重:1380kg
駆動方式:FF
エンジン:1.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:140ps(103kW)/4500-6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpm
タイヤ:(前)225/45R17 91W/(後)225/45R17 91W(ブリヂストン・トランザT001)
燃費:17.3km/リッター(JC08モード)
価格:339万9000円/テスト車=384万1800円
オプション装備:Discover Proパッケージ(22万6800円)/テクノロジーパッケージ(17万2800円) ※以下、販売店オプション フロアマット<プレミアムクリーン>(4万3200円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:945km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

高平 高輝
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