ドライバーがみんなハッピーに!?
2018年は道路開通情報に注目せよ
2018.01.05
デイリーコラム
今年は道が変わる年
2018年の日本の自動車界――というより日本の自動車交通界は、大きな前進を記す年になる!
というのも、高速道路の重要路線がいくつか開通するからだ。
まず関西からいくと、新名神の高槻JCT~神戸JCT間が開通する。まだ開通日時は決まっていないが、年度末、つまり2018年3月中の予定だ。正確には、高槻JCT~川西間(26.2km)は2017年12月10日にすでに開通していて、3月中に開通するのは、残る川西~神戸JCT間(16.9km)。しかし高速道路というのは、つながってナンボであり、実質的な開通は3月中といっていい。
これで何が変わるか?
関西最大の難所である中国道「宝塚トンネル」を先頭にした渋滞が、ほぼ解消されるのだ。関西のドライバーにとっては、大変な吉報だ。
首都圏の目玉は、2018年6月とされている外環道千葉県区間 三郷南~高谷JCT(16km)の開通だ。これによって外環道は湾岸線&東関東道から、京葉道路、常磐道を経て、関越道までが完成する。埼玉県と千葉県が非常に近くなる。
渋滞緩和効果としては、首都高C2東側区間から、首都高三郷線にかけての状況が大幅に改善されるはずだ。東関東道と常磐道は、すでに圏央道によって接続されていたが、圏央道の東側区間はあまりにも都心から遠く(約60km)、迂回(うかい)効果が低かった。しかし外環道は、都心から約15km。迂回効果は抜群だ。
同じ外環道では、東京区間(大泉~世田谷間16km)も建設中で、一応まだ開通目標は2020年のままだが、どう考えても不可能な状況。こちらは、おそらく数年遅れとなるだろう。
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18年目の悲願達成
さて、個人的に最も思い入れが深いのは、3月中に完成予定の、首都高C2小菅~堀切間内回りおよび、同C2板橋~熊野町間の拡幅工事だ。
両区間は、2車線+2車線が合流するにもかかわらず3車線しかなく、恒常的な渋滞が発生していた。私は18年前の自著『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(講談社刊)で、この点を厳しく非難し、拡幅を主張していた。
当時は「技術的に不可能」との回答だったが、その後建設技術の進歩により実現することになり、間もなく完成する。私としては、18年目の悲願達成なのである。
実を言えば、その渋滞緩和効果は、期待するほど大きくない可能性が高い。小菅~堀切間に関しては、同時期に外環道千葉区間という並行大動脈が完成するため、そちらの効果の方が大きいだろう。
板橋~熊野町間については、一定の効果は見込める。特に外回り側の山手トンネル内の渋滞は、それなりに減少するのではないか。しかし内回り側は、この拡幅が完成しても、山手トンネル内の下りから上りに転じる箇所で生じる“サグ渋滞”(主に中野長者橋付近が先頭)で詰まってしまい、あまり効果が発揮できない可能性が高い。すでに首都高C2は、恒常的にサグ渋滞が起きるほどの交通量を抱えてしまっているのだ。これを解消するには、前述の外環道東京区間の完成が待たれるのである。
いずれにせよ、2018年は、首都圏も関西圏も、これまでよりぐんと高速道路が走りやすくなるのだ。クルマ好きにとって、これ以上にうれしいニュースはそうないのではないか? 私は猛烈にうれしいです。
2018年は、ドライバーとってハッピーな年になる。間違いない!
(文=清水草一/写真=清水草一、webCG/編集=関 顕也)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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