“ガソリン車禁止”ってどういうこと!? 河村康彦の2020年私的10大ニュース
2020.12.23 デイリーコラム2月に入った途端に2週連続でポルトガルへと出かけ、その合間には旭川出張が入るという“ヒコーキ漬け”の2020年がスタートするも、まだ対岸の火事と思っていた疫病禍が一気に押し寄せることに。
結果、その先は海外はおろか、一度も空港に足を運ぶことすらないというありさまに。あれ? そういえばパスポート、どこ行っちゃったかな?
かくして、春から夏にかけてはいわゆる試乗会の類いの多くがキャンセルされたのはもちろん、取材用車両を借り出すのにも難儀することに。かと思えば、そんな年も終盤に差しかかって行動制約の雰囲気が緩和されると、今度はさまざまなカタチでイベントが“同時多発”。国内限定ではあるものの一気に東奔西走状態となることに……。
というわけで、2020年の私的10大ニュースは以下の通り。
物入りな年だったのに
10位:やっぱりこれでしょのGTS 4.0
海外ネタに乏しい2020年の自らの話題の中で、忘れることのできないのが、結果として「今年最後の海外取材」となった2月のポルトガル試乗会で乗った「718ボクスター/ケイマン」の「GTS 4.0」なるモデル。自然吸気のフラット6エンジンが放つフィーリングは、パワー感もサウンドもやはり何とも官能的。“インテリジェントパフォーマンス”と称して「動力性能アップは燃費向上とセットで」というコンセプトを貫いてきたポルシェだが、「それだけでは足りない」ということを図らずも証明した格好に。ダウンサイジングターボ化までは受け入れられても、“レスシリンダー”はやり過ぎだったか……。
9位:茶ワニ号に連続内装トラブル
一度は諦めかけていた、そんな“会心のミドシップポルシェ”に出会えたのはうれしかったものの、7年目に入ったウチの「茶ワニ号(2013年式981型「ポルシェ・ケイマンS」)」には、2月に天井布落ち、10月にドアトリム剝がれ(しかも左右とも)と、想定外の内装トラブルが発生。これまで30年近く、何台かを乗り継いできたポルシェ車なれど、内装修理が必要になったことはこれが初めて。そもそも今年は、3度目の車検に2度目のタイヤ交換、そして有償でも地図更新ができなくなったナビの交換と物入りだったんだから、もー、勘弁して!
8位:ミニー、大成長
10大ニュースのネタがひとつ欠けたので、私事ついで(?)でもう一発。鼻先の模様から「ミッキー」にしようとしたけれど、女子だから「ミニー」になったウチのおネコさま。すみついた当初は「ほっそりしてて足が長くてガイジンみたい」なんて言われていたものの、気がついてみればいつしか“アザラシ”型に。これもやっぱり「コロナ太り」?
やる気になればできるじゃん
7位:ベルランゴにびっくり
さして期待していなかったクルマに予想外の好印象を受けることはママあるものの、まさにそんな一台となったのがSUVでもなくミニバンでもなく、むしろ半分商用車(?)なシトロエンの「ベルランゴ」。「ルマン参戦車のテクノロジーも採用」と説明されるターボ付きディーゼルエンジン+アイシン製8段ATがもたらす動力性能も、雨だったのにアンダーステア知らずでワインディングロードをガンガン行けちゃうフットワークも予想をはるかに超える実力。さらに白眉だったのが何とも上質な乗り味。フランスの田舎の山道で、“この種”のクルマが驚くほど速いのも納得というもの。
6位:暴力価格(!?)のホンダe
「えっ? 専用プラットフォームまでつくっちゃったの!?」とハナシを聞いてびっくりだったのが、ホンダ初の量産型ピュアEVであるその名も「ホンダe」。「むやみに大容量のバッテリーを積むと重くて高価になるだけ」というフレーズには100%賛同したいけれど、「できれば買ってほしくない……」とでも言いたげな日本での暴力的な価格(?)は、その説得力を台無しにしてしまうもの。そういえば、バーチャルアウターミラーのドアじか付けカメラが映し出す映像はそれなりの後方視界を確保。だったら「レクサスES」や「アウディe-tron」でも、醜いステーは要らないんじゃないの?
5位:ヤリス ハイブリッドの燃費に仰天
ベーシックな「ヤリス」でしれっとリッター30km、「ヤリス クロス」のほうでもリッター25km程度をマークというのが、自身のドライブでオンボードコンピューター上に記録されたトヨタのヤリス ハイブリッド兄弟の燃費データ。重心高が上がって重くなったボディーに、無理やり大きなタイヤを履かせたクロスでは“劣化”の傾向が強めなのは気になるものの、ベース車の走りの質感の高さは欧州のライバルに勝るとも劣らない。初代「ヴィッツ」以降、歴代のどれもこれもが「見るべきところがない」と思えたトヨタのベーシックモデルながら、「やる気になればちゃんとできるじゃん」と見直すことに。
4位:“どんぐりの背比べ”から抜け出したレヴォーグ
「すべてを刷新」と呼ぶにふさわしい新型「レヴォーグ」で走りはじめてみれば、路面と速度を問わず世界最高水準と思えるしなやかでフラット感に富んだ乗り味に感銘を受けることに。少なくとも日本車同士による“どんぐりの背比べ”競争から抜け出していることは確実。ただし、「スバル初の電子制御式」という可変減衰力ダンパーを装備する「STI Sport」限定でのおハナシなのはちょっと残念……。
一部メディアはもっと勉強を!
3位:アルピナに乗って3シリーズの素性のよさを知る
期待の高さもあったゆえか、特定路面で急激に悪化する乗り心地に、個人的な“2019年がっかりカー”のトップに輝いてしまった「BMW 3シリーズ」。ところが、「やっぱり素性はよかったんだ」と教えてくれたのが、そんなG20型をベースに仕立てられた「BMWアルピナB3」というモデルに乗った時。
このブランドの作品らしく“トルク型”へとリファインされた心臓がもたらす動力性能の素晴らしさもさることながら、ベース車とは段違いに上質で快適なフットワークこそが真骨頂。手間とコストをかけた上に専用認証タイヤを履くという、ここまでの仕上げはできなくても、明らかに「本来の素性のよさを生かし切っていない」と思える、ベースの3シリーズのアップデートに期待大。
2位:えっ、GLBもハリアーも予選落ち!?
前年の11月1日から当年の10月31日までに日本で発表、または発売された乗用車の中から10台を選ぶ、というところからスタートする「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。というわけで、そんな「10ベストカー」の候補車をチョイスしたところ、自身が投じたものからは、何と4台が「落選」という結果に。ベルランゴが消えるのは予想できた(!)とはいえ、「ダイハツ・ロッキー」&「トヨタ・ライズ」や「トヨタ・ハリアー」「メルセデス・ベンツGLB」までもが消えてしまうとは。すなわち、代わりに自分では投票していないアレやコレやソレが残ったわけですが……。フーン、そうですか、そうなんですね!?
1位:「ガソリン車」って何?
連日のように新聞やテレビで報じられた「ガソリン車禁止」というフレーズ。いやいや、そう言われたら確かにびっくり。だったらディーゼル車はいいの? ハイブリッド車は? と突っ込みたくもなるもの。とはいえ、それは記事を書いた人や原稿を読んでいるアナウンサーだって分かっていない可能性大。ここが、そんな報道の大問題点。
そもそも、“CO2排出量のグローバルでの削減”が目的ならば走行時の排ガスだけを止めても仕方がないし、ピュアEVでは代替のきかない大型の貨物車や、対策に大金をかけられない軽自動車や新興国向けのクルマをどうするかも大問題。センセーショナルな見出しを使いたい気持ちも分からないではないけれど、何年たっても「適材適所」という落としどころにはしたくない一部メディアの人、もうちょっと勉強して!
(文=河村康彦/写真=ポルシェ、グループPSAジャパン、本田技研工業、トヨタ自動車、スバル、ニコル・オートモビルズ、河村康彦/編集=藤沢 勝)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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