ジープ・レネゲード リミテッド4xe(4WD/6AT)/レネゲード トレイルホーク4xe(4WD/6AT)
さすが老舗の新ジャンル 2021.03.13 試乗記 実力派のSUVをラインナップするジープが開発した、プラグインハイブリッド車(PHEV)「レネゲード4xe」。雪の北海道でステアリングを握った筆者は、そのポテンシャルの高さに、歴史あるメーカーの技術とプライドをみたのだった。逆境でも絶好調
FCAの中の人に言われるまで気づかなかったのもお恥ずかしい話だが、今年、ジープは生誕80周年を迎えるという。さかのぼること1941年、第2次世界大戦の最中に生まれた軍用小型車両がその源流であることは有名な話だ。蛇足ながら、今年70周年を迎える「トヨタ・ランドクルーザー」の源流ともいえる「AK10」にもこの軍用小型車両が絡んでいることに、歴史のあやと平和のありがたみを交互にかみしめる。
そんなジープ銘柄の販売は絶好調で、2020年の日本においての輸入車市場ではざっくり5%くらいのシェアを握るに至った。コロナ禍で販売を伸ばすというのはただ事ではないように思う一方、これすなわち、財布のひもが固くなるであろう状況ならば、ド定番もしくは他に類のないものの強さが際立つということも映し出しているのかもしれない。
そんなわけで、日本におけるジープブランドの販売的なけん引役は「ラングラー」という、他に例のなさ過ぎる事態になっているわけだが、本来グローバルでの基幹モデルといえばこのレネゲードだ。日本上陸は2015年のことだが、年を追うごとに着々と支持を増やしており、上陸5年目にして昨年の販売台数には過去最高になったという。
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選べる2つの電動モデル
その売り上げに貢献したのが、日本で正規販売されるジープとしては初のPHEVとなるレネゲード4xeだ。そのシステムは他グレードと同じ1.3リッター4気筒直噴ターボにスタータージェネレーターを組み合わせたマイルドハイブリッドを軸に、リアアクスルに駆動用モーターを置く、つまりドライブシャフトを持たない4WDになる。よってEV走行時は後輪駆動となるという、この考え方は横置きFFベースのPHEVでは珍しいものではない。
が、ジープを名乗るうえで課題となるのは、微細な駆動コントロールを要する極低速~中速域での4WD走行時にエンジン側が担う前輪の駆動といかなる連携プレーをみせられるかだ。今回の試乗はそのあたりが試せる格好のシチュエーションとなった。
ちなみにレネゲード4xeのバリエーションは「リミテッド」と「トレイルホーク」の2つが用意されており、両者の性能的な差異は搭載する1.3リッターエンジンの出力が131PS対179PS、最低地上高が170mm対210mm、ドライブセレクトにガレ場などに適するロックモードがなしかありかという感じで分かれている。つまり悪路走破性によりフォーカスしているのがトレイルホークというわけだ。ちなみに後軸モーターの出力は定格60PS、250N・mで両者変わらず。最高130km/hまではEV走行でカバーできる。
重さを転じて福となす
容量11.4kWhのリチウムイオンバッテリーはセンタートンネルや後席下部のスペースを使ってレイアウトされ、WLTCモードで48kmのEV走行距離を確保している。
チャージは急速充電には非対応で、ゼロから満充電に要する時間はAC200Vの普通充電で約4時間。ガソリンモデルに対して最低地上高や渡河深度に影響が出ていないのはさすがというところだろう。ただしバッテリースペースに絡んで燃料タンク容量は36リッターと、ガソリンモデルの48リッターより2割強、小さいことは気に留めておくべきだ。また、エンジンを稼働させてバッテリーを充電するチャージモードもなければ、トヨタのPHEVのようにACのアウトレットがなく、VtoH(Vehicle to Home)的な使い方に対応していない点も留意しておくべきだろう。
このプラグインハイブリッドシステム絡みに加え、静音化に伴う遮音の施しなどもあり、レネゲード4xeは同仕様のガソリンモデルに対して約300kg近く重くなっている。
その負荷を支えるべくサス設定やタイヤサイズは変更されているが、乗り心地面においてはネガティブな影響は出ていない。どころか、この手のクルマによくあるタナボタ的な効能として、低いところの重しがバッチリ効いているぶん、上屋の据わりなどはひとクラス上の重厚さを感じさせる。一方で大きな入力でも底づくようなそぶりもなく、かといって締め過ぎゆえのバネ下のドタバタ感も現れず……と、総じて足まわりのチューニングはうまく折り合いをつけているように思う。
制御のうまさが光る
それでも以前のオンロード試乗では、ガソリンモデルとの価格差を埋める魅力を見いだすには至らなかったわけだが、今回その点が随分前向きに捉えられるようになったのは、前述の通り、4WD車としてのポテンシャルをしっかり確認できたからだ。
レネゲード4xeは、アクセル操作に対しての動力の伝わり方がじんわりとリニアで、駆動力のキメもすこぶる細かい。雪上でもわざわざ滑りやすいところを選びながら何度もスロットルワークを試みたが、肝心な動き始めのところでグリップを失うことなくタイヤの溝をしっかりと路面にかみ込ませていくような実感が足裏に伝わってくる。音や振動の雑みがないモーターゆえのリアリズムというところだろうか。
雪上を使って“後ろ押し”だけでは厳しい場面もいろいろと試してみたが、エンジンで駆動する前輪側との駆動のつながりにも違和感はなくスムーズにチューニングされていることがわかる。また、アクセルをちょっと強く踏んで後輪側で向きを変えていくような乗り方では、モーターならではの瞬発力はもとより、駆動力がやすやすと途切れないことにも感心させられた。レネゲード4xeは、残量計上ではバッテリーが空の状態でもスタータージェネレーターの発電やバッテリーのSOC(State Of Charge:充電状態)のマージンをうまく調整しながら4WD状態を維持しているようだが、駆動にまつわる全体的なマネジメントのうまさがこのクルマのジープたるゆえんを如実に表している。
ユタ州のモアブトレイルは、カリフォルニア州のルビコントレイルと並び、ジープの車両開発においては欠くことのできないテストステージだ。以前、ここをガソリンモデルのレネゲードで走った際には、FFベースのモノコック車両という先入観を覆すたくましい走破力に驚かされた。レネゲード4xeはトレイルホークになると、そういったテストステージを走破した証しとなる「TRAIL RATED」のバッジが装着されている。それはパワートレインが電動化されようが、自分たちの存在意義には揺らぎがないことを示すものでもあるのだろう。
(文=渡辺敏史/写真=webCG/編集=関 顕也)
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テスト車のデータ
ジープ・レネゲード リミテッド4xe
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4255×1805×1695mm
ホイールベース:2570mm
車重:1860kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.3リッター直4 SOHC 16バルブ ターボ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:6段AT
エンジン最高出力:131PS(96kW)/5500rpm
エンジン最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/1850rpm
フロントモーター最高出力:45PS(33kW)
フロントモーター最大トルク:53N・m(5.4kgf・m)
リアモーター最高出力:128PS(94kW)
リアモーター最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)
システム最高出力:191PS
タイヤ:(前)235/55R17 99H/(後)235/55R17 99H(ミシュランX-ICE 3+)
ハイブリッド燃料消費率:17.3km/リッター(WLTCモード)
価格:498万円/テスト車=505万1500円
オプション装備:ミラーカーバーステッカーとフロントグリルリングのみ参考オプションとして装着 ※以下、販売店オプション フロアカ―ペット(4万1800円)/ラゲッジマット(2万9700円)
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:3049km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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ジープ・レネゲード トレイルホーク4xe
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4255×1805×1725mm
ホイールベース:2570mm
車重:1860kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.3リッター直4 SOHC 16バルブ ターボ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:6段AT
エンジン最高出力:179PS(132kW)/5750rpm
エンジン最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/1850rpm
フロントモーター最高出力:45PS(33kW)
フロントモーター最大トルク:53N・m(5.4kgf・m)
リアモーター最高出力:128PS(94kW)
リアモーター最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)
システム最高出力:239PS
タイヤ:(前)235/55R17 99H/(後)235/55R17 99H(ミシュランX-ICE 3+)
ハイブリッド燃料消費率:16.0km/リッター(WLTCモード)
価格:503万円/テスト車=513万4500円
オプション装備:ボディーカラー<グラナイトクリスタル>(3万3000円) ※以下、販売店オプション フロアカ―ペット(4万1800円)/ラゲッジマット(2万9700円)
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:4074km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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