アウディQ2 35 TFSIアドバンスト(FF/7AT)
まだまだいける 2021.09.27 試乗記 発売から4年がたった、アウディのコンパクトクロスオーバー「Q2」がマイナーチェンジ。あらためてステアリングを握ってみると、その商品力の高さとともに、いくつかの気になる点も浮き彫りになってきた。いちばん売れてる“Q”
アウディのSUV、「Q」シリーズの末っ子がQ2である。同じMQBプラットフォームを使うフォルクスワーゲンの同クラスは「Tクロス」だが、デビューはQ2がずっと先輩で、2017年に登場している。
国内発売直後、アウディ ジャパンに試乗車を借りにいったら、受付の若い女性が「やっとワタシに買えるクルマが出ました!」と言って喜んでおられた。
実際、Q2は女性にも似合うフェミニンなコンパクトSUVである。人気は高く、発売以来、Qシリーズ全体の4~5割を占めるトップセラーだという。
そのQ2がマイナーチェンジを受けた。プレスリリースには「4年ぶりの大幅刷新」とあるが、主な変更は内外装のブラッシュアップで、いちばんの刷新は、品ぞろえのスリム化である。これまでの1リッター3気筒、1.4リッター4気筒、ディーゼルの2リッター4気筒はなくなり、新たに1.5リッター4気筒搭載の「35 TFSIアドバンスト」(394万円)と「35 TFSI Sライン」(430万円)のみになった。今回試乗したのは前者である。
「前のまま」のよさもある
新しい35 TFSIアドバンストの試乗車は、アウディ初出の新色「アップルグリーンメタリック」をまとっていた。わかりやすく言うと、抹茶色だ。晴れていても曇っていても、人目をひくツカミはオッケーのボディーカラーである。抹茶(matcha)はいまや世界的に知られているから、“マッチャグリーン”でもよかったのではないか。初代「アウディR8」の時代から、「スズカグレー」というきれいな色もあるし。
このボディー色だと、リアクオーターパネルはグレーメタリックが標準になる。「ブレード」と呼ばれるこの部分の色にチョイスの幅があるのは、Q2登場時からの趣向だ。
アウディの最新デザイントレンドにのっとり、LEDライトのフロントマスクは表情が少しシャープになった印象を受ける。隈どりがよりはっきりしたというか。
内装はとくに大きく変わっていない。7段DCTのセレクターのデザインが新しくなった。ダッシュボード中央に並ぶプッシュボタンをはじめ、スイッチ類がアナログなのはうれしい。
最近は、エアコンでもオーディオでも、すべてディスプレイにスイッチを呼び出して操作させるようなクルマが増えている。それじゃあ、ディスプレイが壊れたら全滅ではないか、といつも思うのだが、その点、Q2は4年前のちょっと古いインターフェイスがかえって使いやすい。
エンジンは申し分なし
新型Q2のパワーユニットは、「A1」にも使われている1.5リッター4気筒ターボである。「ゴルフ8」に搭載される48Vマイルドハイブリッド付きではないが、低負荷時には4気筒の半分を燃料カットする気筒休止システムを備える。マイルドハイブリッド仕様のベースエンジンだから、150PSの最高出力、250N・mの最大トルクは同じだ。
7段DCTのトップだと100km/h時に1750rpmまで回転を下げてくれるこのエンジンは、街なかでもチカラがあって使いやすい。とくにスタートダッシュ時の頼もしいトルク感が印象的だ。アイドリングストップからの再始動も迅速で、てっきりマイルドハイブリッドかと思った。
この価格でもACC(アダプティブクルーズコントロール)は標準装備ではないが、試乗車には付いていたので、高速道路でも一般道でも試した。ワンタッチで速度をセットすると、スピードメーターの目盛りに三角マークが灯り、設定速度がひとめでわかる。
ただ、ACCの集中操作レバーはウインカーレバーの下方にあって、使いづらい。フォルクスワーゲンのようにハンドルのスポークに付けたほうが安全でもあると思う。
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付き合いやすいが安くない
300kmあまりを走って、燃費は14.6km/リッターだった。以前、試乗した1リッターや1.4リッターモデルとそう変わらない。
あらためてQ2に乗ってみると、乗りやすく使いやすい、そしてアウディクオリティーのコンパクトSUVだと思った。ボディー全幅はほぼ1.8mだが、狭い道にまぎれ込んでも、そんな横幅を感じさせない。
もともとQ2はFFがメインとあって、アイポイントの高さも普通のハッチバックとそう大きく違わない。しかし、外観のテイストはより自由なSUV仕立て。クルマの使用頻度の実権は奥さんが握っているような家庭の、1台充足型ファミリーカーに始まって、ユーザーの間口は広そうだ。たしかにQシリーズでいちばん売れるのも納得がいく。
ただ、従来シリーズは1リッターモデルの299万円スタートだった。アウディのエントリーモデルとしては、ちょっと敷居が高くなってしまったのが残念だ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=郡大二郎/編集=関 顕也)
テスト車のデータ
アウディQ2 35 TFSIアドバンスト
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4200×1795×1530mm
ホイールベース:2595mm
車重:1340kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:150PS(110kW)/5000-6000rpm
最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)/1500-3500rpm
タイヤ:(前)215/55R17 94V/(後)215/55R17 94V(コンチネンタル・エココンタクト6)
燃費:15.8km/リッター(WLTCモード)
価格:394万円/テスト車=451万円
オプション装備:オプションカラー<アップルグリーンメタリック>(7万円)/コンビニエンス&アシスタンスパッケージ<フロントシートヒーター+サイドアシスト+アウディプレセンスベーシック+アダプティブクルーズアシスト+ハイビームアシスト+オートマチックテールゲート>(21万円)/ナビゲーションパッケージ<MMIナビゲーションシステム+TVチューナー+8スピーカー+バーチャルコックピット>(29万円)
テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:1870km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:303.1km
使用燃料:20.8リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:14.6km/リッター(満タン法)/15.4km/リッター(車載燃費計計測値)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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