受け継がれる「V12」というご神体
浮沈の時を繰り返してきた20世紀に別れを告げ、スーパーカーリーグの一角に軸足を置いて立ち続ける21世紀のアストンマーティン。そのターニングポイントをはっきりと示したモデルが、2001年登場の初代ヴァンキッシュだ。「打ち負かす」「征服する」といった名前の意味合いからも匂い立つたけだけしさを、FRスポーツカーのかがみのようなスタイリングに包み込んだそれは、腕力の数字ばかりがクローズアップされがちだったスーパーカーのあり方に、少なからぬ影響を与えたように思う。
搭載された12気筒ユニットは、当時の胴元だったフォードのV6ユニットをベースに、アストンの1990年代を象徴するモデルとなった「DB7ヴァンテージ」向けに設計・開発されたものだ。それがヴァンキッシュへの搭載で花開き、以降は彼らを象徴するご神体として、約20年にわたりあまたのモデルに搭載された。そのなかには、2012年に登場した2代目のヴァンキッシュも含まれる。
ヴァンキッシュは、アストンマーティンのラインナップにおいて継続的に販売される車種ではない。台数を厳密に区切って焦燥感をあおることはないが、その時々で世代の要として一定期間投入される、特別なポジションの銘柄である。そして今回、3代目となる現行ヴァンキッシュは、さしものアストンであっても継続は難しいかとうかがわれた12気筒を搭載して登場した。彼らがフラッグシップの要件としてそれを掲げてから四半世紀、今も伝統は継承されている。そしてこのモデルは、最大でも年間1000台以内の生産・供給に収めるとされている。新たな欧州排ガス規制「ユーロ7」の万一の発効に備えて、少量生産の特別枠を先取りしにいっているかたちだ。
2024年9月に世界初公開された現行型「ヴァンキッシュ」。日本はファンの多い重要なマーケットということで、機を同じくして東京でも実車が披露された。
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今や本当に貴重な存在となったV12エンジン。「ヴァンキッシュ」のそれは5.2リッターの排気量を持つツインターボユニットで、電気などの力を借りずに、835PSの最高出力と1000N・mの最大トルクを実現している。
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上質なセミアニリンレザーがふんだんに使われたインテリア。細部までカスタマイズが可能なのはエキゾチックカーのお約束で、試乗車にはカーボンやサテンクロームの装飾が施されていた。
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クラシックなエクステリアとは裏腹に、機能・装備はすっかりモダンなものに。インターフェイスには高精細なフルカラーディスプレイが採用され、アダプティブクルーズコントロールなどの運転支援システムも用意される。
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