トヨタC+pod(RWD)/C+walk T(FWD)
とにかく楽しい 2021.12.18 試乗記 電気自動車(EV)は既存のエンジン車に取って代わるものがすべてではない。特にトヨタは、電動ならではのメリットを生かした新しいジャンルの乗り物の創出に取り組んでいる。「C+pod(シーポッド)」と「C+walk T(シーウオークT)」、2種類の小型モビリティーに乗ってみた。 拡大 |
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本気ゆえの型式指定車
トヨタはこの1年間で、小型の電動移動体を2機種発売した。ともに2019年6月の「トヨタの電動車普及チャレンジ説明会」で公開されたものの市販型で、少子高齢化や地方の過疎化、ガソリンスタンドの減少、サブスク需要の増加といった、日本社会の変化を見据えた新ジャンルといっていい。市販化にあたって「C+(シー)」という統一ブランドが冠された。
シーポッドは2人乗りの超小型EVである。この種のEVは“超小型モビリティー”として国交省も後押しをしており、シーポッドはそのうち「型式指定車」の枠に適合する一台だ。規格サイズは原付ミニカーと同じだが、乗車定員が2人となり、動力性能に制限がないのが特徴となる。最高速60km/hで高速道路は走れない。現時点では自治体や法人向けのみの販売だが、2022年中には一般販売も計画されている。
ちなみに、超小型モビリティーにはサイズの自由度が高い個別の「認定車」もあり、現状は認定車が多いのだが、トヨタはあえて量産性が高く、走行区域などの制限もない型式指定車を選んだ。つまりそれだけ本気なのだ。
現物のシーポッドは軽自動車と比較しても劇的に小さいが、1.55mという全高のおかげで、1人で乗るかぎりは空間的に不足はなく、ドラポジも自然だ。運転にコツも不要。最大トルクと車重からの想像どおり、街なかでの体感的な動力性能はNAの軽自動車と似て、キビキビと走る。サイコロのような縦横比で、下りカーブなどで勢いがつくと少しだけ不安になるが、普通にトコトコ走るぶんには安定感もまずまずだ。
ただ、ノンパワーの“重ステ”であることや、走行中の室内が野太いモーター音で満たされる騒々しさはちょっと意外で、徹底した低コスト設計がうかがえる。いかに小さいとはいえ、専用骨格のEVを200万円以下で売るのは大変なのだろう。量産化が進んで、この種のEVが100万円を切るようになると、いよいよ本気で普及するか?
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歩行者と一緒に走れる
もうひとつの「シーウオークT」は“歩行領域”のEVである。わずか人間ひとり分の専有面積だが、3輪なので基本的に転倒の心配はない。緊急自動ブレーキも備わる。今回発売された“立ち乗りタイプ”だと、2.5時間の100V充電で、最大航続可能距離は14kmという。
シーウオークTは現時点で公道走行は不可。ひとまず空港や工場などの私有地内移動向けの販売だが、電動セニアカーと同じく、免許不要で歩道を走るのが最終想定である。ハンドルにあるアクセルとブレーキで加減速して、カーブはハンドル操作で曲がる。ボタンを押せば立ったままで後退も可能。アクセル操作で微妙な速度調整は可能だが、事前に2~6km/h(熟練者モードとして10km/h)の間で最高速を設定して、アクセルワークは気にせずに移動するのが基本らしい。2~4km/h程度なら、歩行者とならんでおしゃべりしながら移動できるという。まさに歩行領域EVだ。
いずれにしても、シーポッドもシーウオークTも、短時間の試乗だけで理屈ぬきに楽しかった。これは最近のどんな新型車でも久しく味わえなかった感覚だ。理屈や課題はいろいろあるだろうが、とにかく普及してほしい。そうすれば、移動の楽しみが純粋に増える。
(文=佐野弘宗/写真=荒川正幸/編集=藤沢 勝)
【スペック】
トヨタ・シーポッドG
全長×全幅×全高=2490×1290×1550mm/ホイールベース=1780mm/車重=690kg/駆動方式=RWD/モーター=交流同期電動機(最高出力:12.5PS、最大トルク:56N・m)/燃費=54Wh/km(WLTCモード)/価格=171万6000円
トヨタ・シーウオークT
全長×全幅×全高=700×450×1210mm/ホイールベース=--mm/車重=29kg/駆動方式=FWD/モーター=交流同期電動機(最高出力:--PS、最大トルク:--N・m)/燃費=Wh/km/価格=35万4200円

佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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