レクサスUX250h“Fスポーツ”(FF/CVT)
向き不向きがある 2022.08.17 試乗記 「レクサスUX」がマイナーチェンジを受けた。スポット溶接を増し打ちするなどしてボディー剛性を強化したというから、なかなか大規模な内容だ。ハイブリッド車のスポーティーグレード「UX250h“Fスポーツ”」の仕上がりをリポートする。レクサスの売れ筋
2018年のジュネーブモーターショーでお披露目された後、同年末に日本を皮切りに発売されたコンパクトSUVがUXである。レクサス自身は単にクーペSUVと呼ばれるのを嫌って、「クリエイティブ・アーバン・エクスプローラー」なる名称で、ハッチバックとSUVの良いとこ取りを狙った意欲的なクロスオーバーであると主張していたが、まあ世間的にはやはり背の高さを抑えた、おしゃれでクールなSUVと見るのが常識的な線である。ようやくレクサスに待望のコンパクトSUVが加わったとして、鳴り物入りのデビューだったが、その後は正直言ってあまり目立たなかった。もっともグローバルでは2022年5月までに80以上の国と地域で約25万台を販売したというからまずまずの成績といえるのだろう(そのうち約8割が電動車という)。
繰り返しになるが、もともとレクサスの主戦場は米国と中国であり、 例えば2021年の世界販売台数76万台に対して国内販売は5.1万台にとどまる(北米と中国で全体の7割以上を占める)。そのなかでUXは国内で8000台強を売ってレクサスブランド一番の売れ筋ではあるが、もうひとつ物足りないのは否めない。
スポット20点増し打ち
新しいジャンルを開くという意欲的な目標を掲げていたUXは、エクステリアだけでなくインテリアもユニークで凝った仕立てが特徴で、コンパクトサイズながら上質で扱いやすいラナバウトを目指したクルマと思っていたのだが、今回のマイナーチェンジでは“走りの進化”のための改良が強調されている。すなわちドアやハッチゲート周辺部へのスポット溶接打点を20点追加してボディー剛性を向上させ、そのうえでパワーステアリングやダンパーの設定を見直したという。さらにスポーティーグレードの“Fスポーツ”では、可変制御ダンパーの「AVS」とボディー後部の「パフォーマンスダンパー」(ヤマハ特許の振動吸収ロッド)を標準装備(ただし従来もオプションで選択できた)したうえにステアリングギアにブレースを追加、またブリヂストン製ランフラットタイヤもロードノイズ低減のために新規開発したという。
もっとも、これらのメニューは既に何度か目にしたことがあるものばかり。そもそもUXは初めからドア開口部や前後サスペンション周辺にレーザースクリューウェルディング(LSW)を採用、構造用接着剤の使用も延べ33mに上るというほど、コンパクトでもレクサスの名に恥じないぜいたくなつくりが自慢だったはず。そこにスポット溶接打点をさらに20ポイント追加した、と聞いても、失礼ながら感心するより、えっそれだけ? という感じである。無論、あったほうがいいのだろうけれど、大書するほどのことではないのではないかというのが正直な気持ちだ。
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ちょっと物足りない
いっぽうでパワーユニットは従来と同じ。“Fスポーツ”といってもパワートレインは他のグレードと変わらない。すなわちUX250hはロングストロークの“ダイナミックフォース”シリーズの自然吸気ガソリン2リッター4気筒にモーターとニッケル水素電池を加えたハイブリッドである。今回のマイナーチェンジでもスペックはそのままで、250h用エンジンは146PS/6000rpmと188N・m/4400rpmを発生、モーターは109PSと202N・mを生み出す。システム最高出力は184PSという。
従来型もそうだったが普通に走るにはまったく申し分ない。目いっぱい踏み込まなくても流れをリードできるせいか、エンジン音が耳につくこともなく、結果としてほとんどの場面で静かにスムーズに走ることができる。ただし、ペースを上げようという場合はどうしても高回転域の耳障りな音が気になり、しかも山道ではちょっと非力にも感じる。以前に乗った時はこんな風には感じなかったので、シャシーの能力が向上したせいで相対的に物足りなくなったのかもしれない。実際、下り坂では頼もしく、飛ばしてもまったく不安はない。“Fスポーツ”のみに備わる「ASC(アクティブサウンドコントロール)」をオンにしておくとより攻撃的なサウンドを発するが、私にはエンジンに無理をさせているような音にしか聞こえず、申し訳なくて常にオフを選んだ。
迷いが見えるコックピット
インテリアにこだわっていたのもUXの特徴だった。マイナーチェンジしたUXは12.3インチの大型タッチスクリーンが全車に装備されたことに伴い、インフォテインメントシステムや「レクサスセーフティーシステム+」も最新型にアップデートされただけでなく、操作系もいろいろと変更されている。使いにくいタッチパッド式リモートタッチが廃されたのは歓迎できるが、アームレスト前端に設けられたオーディオスイッチも姿を消した。特に必要というわけではなかったが、あれだけこだわって開発したのにずいぶんあっさりと諦めてしまったものだ。ならば一緒にメーターそのものやメーターナセル脇に突き出したドライブモード切り替えスイッチなども見直してほしかった。一つひとつのパーツのクオリティーやその触感に配慮してあるのだから、メーターナセルなどが既存モデルからの流用というかお下がりでは、せっかくの新しい工夫と融合していないのが惜しい。“Fスポーツ”専用装備というディンプル付きレザーステアリングホイールや赤いステッチ、アルミペダルなども、レクサスが目指すべきスポーティネスには、少なくともUXが狙うスポーツ性にはそぐわないのではないか。もっと大人も納得できる演出を考えないと、その価格を納得させることは難しい。250h“Fスポーツ”(FWD)の車両本体価格は504.1万円、オプション装備を加えると600万円を超えるのである。
新しい250h“Fスポーツ”が以前にも増して堅牢(けんろう)でたくましい足まわりを備えていることは間違いないようだが、皆が皆スポーツ志向である必要はないと思う。今回は“Fスポーツ”だけに試乗したが、以前に試した“バージョンL”のしなやかで穏やかな挙動のほうがUXのキャラクターにふさわしいと懐かしく感じた。この種のクルマはピーキーすぎないリニアな反応と安心できるスタビリティーが第一。ハイブリッド車に飛ばして痛快な性能が重要かというと、どうもそうとは思えないのである。
(文=高平高輝/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
レクサスUX250h“Fスポーツ”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4495×1840×1540mm
ホイールベース:2640mm
車重:1590kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:146PS(107kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4400rpm
モーター最高出力:109PS(80kW)
モーター最大トルク:202N・m(20.6kgf・m)
タイヤ:(前)225/50RF18 95V/(後)225/50RF18 95V(ブリヂストン・アレンザ001 RFT)※ランフラットタイヤ
燃費:22.8km/リッター(WLTCモード)
価格:504万1000円/テスト車=614万6500円
オプション装備:ボディーカラー<ヒートブルーコントラストレイヤリング>(16万5000円)/“Fスポーツ”専用オレンジブレーキキャリパー<フロント「LEXUS」ロゴ>(4万4000円)/三眼フルLEDヘッドランプ<ロー・ハイビーム>&LEDフロントターンシグナルランプ+アダプティブハイビームシステム+ヘッドランプクリーナー(16万5000円)/ITSコネクト(2万7500円)/デジタルキー(1万6500円)/ムーンルーフ<チルト&アウタースライド式>(11万円)/ルーフレール(3万3000円)/ブラインドスポットモニター+パーキングサポートブレーキ<静止物+後方接近車両>(6万6000円)/パノラミックビューモニター<床下透過表示機能付き>(12万1000円)/アクセサリーコンセント<AC100V・1500W 非常時給電システム付き フロントセンターコンソールボックス後部、ラゲッジルーム内>(4万4000円)/カラーヘッドアップディスプレイ(8万8000円)/“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム(22万5500円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:173km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:245.1km
使用燃料:18.5リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:13.2km/リッター(満タン法)/11.6km/リッター(車載燃費計計測値)

高平 高輝
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