ダイハツが7代目となる新型「ムーヴ」を発売 待望のスライドドアを初採用
2025.06.05 自動車ニュース![]() |
ダイハツ工業は2025年6月5日、軽乗用車の新型「ムーヴ」を発表し、同日、販売を開始した。
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軽自動車としての魅力を全方位で追求
ダイハツ・ムーヴは1995年に登場したハイトワゴンタイプの軽乗用車である。ダイハツを支えてきた基幹車種の一台であり、この30年での累計販売台数は340万台を数える。
今回の新型は7代目のモデルにあたり、実に10年半ぶりのフルモデルチェンジを受けて登場。「今の私にジャストフィット 毎日頼れる堅実スライドドアワゴン」をコンセプトに、軽自動車としての魅力を全方位で向上させたという。
特にトピックとなっているのが、ムーヴとしてはこれが初となるリアスライドドアの採用だ。また車両骨格にDNGA世代のプラットフォームを用いることで、走行性能も大幅にアップ。端正で凛々(りり)しいイメージを追求したというデザインも魅力として挙げられている。
ラインナップは、自然吸気(NA)エンジンモデルが仕様・装備の異なる「L」「X」「G」の3種類、ターボエンジンモデルが「RS」の1種類の、全4グレード構成。初代からの伝統であるカスタムモデルは廃止された。
価格は以下のとおり。
- L(FF):135万8500円
- L(4WD):148万5000円
- X(FF):149万0500円
- X(4WD):161万7000円
- G(FF):171万6000円
- G(4WD):184万2500円
- RS(FF):189万7500円
- RS(4WD):202万4000円
「端正で凛々しいデザイン」を追求
ボディーサイズは全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm(FF車の数値。4WD車は全高=1670mm)、ホイールベース=2460mmとなっており、従来型より若干全高がアップ。同じスライドドアの軽ハイトワゴン「ムーヴ キャンバス」と近しい外寸となった。
ただしデザインはキャンバスとは大きく異なっており、新型ムーヴでは「ムーヴらしい“動く姿が美しい”端正で凛々しいデザイン」をコンセプトに、機能とスタイルを両立させた、質感の高い意匠を追求したという。
エクステリアはAピラーをやや寝かせたフォルムや、リアでショルダーラインがキックアップするウィンドウグラフィック、勢いを感じさせるキャラクターラインなどで疾走感を表現。フロントマスクは細身のLEDヘッドランプとグリルをひとつながりとした意匠に刷新しつつ、リアには初代から受け継がれるタテ型のコンビランプを用いるなど、ムーヴらしさも強く意識したデザインとなっている。ボディーカラーは全10色で、新色の「グレースブラウンクリスタルマイカ」を含む3色には、ルーフをグレーやブラック、シルバーで塗り分けたツートン仕様も用意される。
いっぽうインテリアでは、インターフェイスをシンプルにまとめてオーディオを低い位置に搭載し、広い前方視界を確保。質感にこだわったというファブリックシートの色は、L、Xがグレージュ、G、RSがネイビーとなっており、ドアアームレストにもシートと同じ色・素材を用いることで、車内空間に統一感を持たせている。またG、RSでは各所にシルバーステッチやシルバー加飾、メッキ加飾を採用。上級グレードとして差異化を図っている。
運転のしやすさについても配慮がなされており、前述のインストゥルメントパネルの設計に加え、Aピラーの傾斜とヒップポイントの位置を最適化することで、見晴らしのよい前方視界や好適なドライビングポジションを実現。シートのホールド感やフィット感も重視しており、どんなシーンでもしっかりと体を支え、安心感があり疲れにくい特性を実現したとしている。
キビキビとした走りと快適な乗り心地を両立
走行性能に関しては「毎日の移動だけではなく、遠出もしたくなる軽快な走行性能を追求」(報道資料より)しており、乗り心地と操縦安定性の両立を図っている。
最大のトピックは、車両骨格がDNGA世代の軽量高剛性プラットフォームとなった点だ。これは2019年発売の現行「タント」から導入が進んでいるもので、ムーヴではこのシャシーをベースに、サスペンションのスプリングレートやショックアブソーバーの特性を調整。振動感の少ないすっきりした乗り心地や、キビキビと思いどおりに曲がれる操縦性を実現したという。さらに最上級グレードのRSには、15インチサイズのタイヤ(他グレードは14インチ)と専用のショックアブソーバーを装備。より快適な乗り心地と、ターボエンジンのパワーに見合う、高い操縦安定性が追求されている。
エンジンは、他のダイハツ製軽乗用車と同じく「KF」型の0.66リッター直列3気筒で、NAユニットでは最高出力52PS、最大トルク60N・m、ターボユニットでは64PS、100N・mのアウトプットを発生。スロットル特性のつくり込みにより、ストレスのない軽快な走りを実現しているという。組み合わされるトランスミッションは全車CVTで、特にRSには、遊星歯車機構を組み合わせたステップシフト機能付きの「D-CVT」が採用される。WLTCモード燃費は、NAモデルのFF車が22.6km/リッター、同4WD車が20.6km/リッター、ターボモデルのFF車が21.5km/リッター、同4WD車が19.9km/リッターだ。
グレードによって大きく異なる装備の内容
機能・装備の設定はグレードによって大きく異なる。たとえば新設のリアスライドドアをみると、最廉価のLではパワースライドドアが非設定となるいっぽうで、上位3グレードでは同装備の採用に加え、クルマに近づくだけで自動で開口する「ウェルカムオープン機能」や、スライドドアが閉まると自動で施錠される「タッチ&ゴーロック機能」も搭載される(いずれもRSでは両側に、GとXは左側に採用)。
またインテリアでは、豊富な収納スペースに加え、G、RSには電源用のUSBポートを標準で設置。ディーラーオプションとして、グレードに応じてスマホ連携機能付きのディスプレイオーディオや、ナビゲーションシステム、携帯端末のワイヤレス充電器、HDMIソケットなども用意される。
パーキングブレーキの仕様もグレードによって異なり、GとRSにはホールド機能付きの電動パーキングブレーキを採用。LEDヘッドランプのオートレベリング機能やアダプティブドライビングビーム(自動配光制御)も、上位2グレードの専用装備となる。
先進運転支援システムはステレオカメラ方式の「スマートアシスト」で、衝突警報機能や衝突回避支援ブレーキ機能は、夜間の歩行者や二輪車にも対応。また全車速対応型のアダプティブクルーズコントロールと車線維持支援機能を、RSに標準で、Gにオプションで用意している。さらにディーラーオプションで、自車の後側方を警戒する「ブラインドスポットモニター」や、ペダルの踏み違いなどによる急加速を抑制する「プラスサポート」(急アクセル時加速抑制システム)も用意される。
ダイハツでは新型ムーヴについて、多くの消費カルチャーを経験してきた世代のなかでも、合理性とこだわりをもって商品を選ぶ「メリハリ堅実層」(報道資料より)をターゲットとして想定。月間販売目標は6000台を掲げている。生産を担うのは、ダイハツ九州の 大分(中津)第2工場だ。
(webCG)