フォルクスワーゲンTロックTDI 4MOTION Rライン ブラックスタイル(4WD/7AT)【試乗記】
頼もしい相棒 2025.12.20 試乗記 冬の九州・宮崎で、アップデートされた最新世代のディーゼルターボエンジン「2.0 TDI」を積む「フォルクスワーゲンTロック」に試乗。混雑する市街地やアップダウンの激しい海沿いのワインディングロード、そして高速道路まで、南国の地を巡った走りの印象と燃費を報告する。TDIもお忘れなく!
2025年のフォルクスワーゲンの話題といえば、電動ミニバン「ID. Buzz」が上陸し、注目を集めたことだろう。日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポートカー部門でも賞を獲得し、フォルクスワーゲン ジャパン(VWJ)としてはBEV(電気自動車)を拡販していくうえで幸先のいいスタートを切った。とはいえ、当面はエンジン車が主役であることに変わりはなく、「TDI(直噴ディーゼルターボ)もお忘れなく!」という気持ちを込めて、VWJでは、九州の宮崎市にTDIエンジン搭載車を集め、メディア向け試乗会を開催したのだ。
現在、日本で販売されているフォルクスワーゲンのTDI搭載モデルは、「ゴルフ」「ゴルフヴァリアント」「Tロック」「パサート」「ティグアン」の5つで、そのなかから、webCGで未リポートのTロックをほぼ半日借りて、いつもと違う環境で試すことにした。
Tロックは、ゴルフクラスのSUVで、デビューしたのは2017年のこと。日本には少し遅れて2020年に導入され、2022年にはマイナーチェンジ版が発売されている。導入当初から2.0 TDI、すなわち、2リッター直列4気筒直噴ディーゼルターボを搭載するグレードが用意されており、デュアルクラッチギアボックスの7段DSGを介して前輪を駆動。そして、2025年1月、4WD仕様に切り替わるのと同時に、2.0 TDIが最新世代に進化している。
今回試乗したのは、スポーティーな内外装が魅力の「Rライン」に、エクステリアとインテリアの各部をブラックで仕立てた「ブラックスタイル」を組み合わせた「TロックTDI 4MOTION Rライン ブラックスタイル」である。
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スタイリッシュなデザイン
Tロックのボディーサイズは、全長×全幅×全高=4245×1825×1590mm。現行型のゴルフが全長×全幅×全高=4295×1790×1475mmだから、全長はゴルフより少しだけ短いのがわかる。VWJがSUVではなく“クロスオーバー”と呼ぶように、ほどよく抑えられた全高のおかげもあって、SUVにありがちな威圧感が薄まっているのもこのクルマの魅力である。
通常のTロックでは、フロントグリル下やルーフレール、ウィンドウフレームなどがクロームメッキとされるが、試乗したTロックTDI 4MOTION Rライン ブラックスタイルはこれらがブラックになり、ブラックのアルミホイールや「イリジウムグレーメタリック」のボディーとブラックルーフのツートンペイントとあいまって、スポーティーさが際だっている。
インテリアもダッシュボードやエアコンの吹き出し口、センターディスプレイまわりなどをつやのあるブラックで彩ることで、シックな雰囲気に仕上げられているのが特徴だ。
一方、エアコンの操作パネルがセンターディスプレイから独立しているスタイルは、フォルクスワーゲンの一世代前のデザインだが、直感的に操作できるという点ではむしろ歓迎したいくらい。ダッシュボードやドアトリムにステッチが施されたソフト素材が用いられ、現行型のゴルフより見栄えがいいのも、好印象につながっている。
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急な登り坂も余裕の加速
TロックTDI 4MOTIONには、最高出力150PS、最大トルク360N・mの2.0 TDIエンジンが搭載されている。FWD仕様の2.0 TDIに比べて最大トルクが20N・m増えたことに加え、排ガス中のNOx(窒素酸化物)を浄化する尿素SCRが2カ所に設置された“ツインドージングシステム”を採用したのが特徴である。
試乗では推奨コースとして、宮崎市内から海沿いを南下するルートと、霧島に向かって西へ向かうルートが用意されており、「都井岬で馬と一緒にクルマを撮りたい」というカメラマンの希望から、海沿いのルートをチョイスした。
さっそく走りだすと、マイルドハイブリッドシステムが搭載されていないにもかかわらず、2.0 TDIは動きだしからトルクがあり、アクセルペダルの動きに対するレスポンスも良好だ。海沿いのルートはアップダウンがあり、山を越えるところには急な勾配もあった。そんな状況でも、アクセルペダルを少し踏み増すだけで、シフトダウンもせずに軽々と加速する頼もしさはTDIエンジンならではのいいところだ。
高速道路では100km/hで7速のエンジン回転数が1500rpmほど。巡航しているかぎりはエンジンのノイズや振動は気にならない。一方、一般道で加速する場面では、ややノイズや振動が目立つのが惜しいところだ。
ちなみに燃費は、信号は少ないものの、起伏のある山道を含む一般道を走行したときが17.7km/リッター、高速道路が20.0km/リッター、総平均が18.6km/リッターと上々である。
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走りにこだわるなら4MOTIONがおすすめ
Tロックの場合、FWDと4WDではリアサスペンションが異なり、前者がトーションビーム式であるのに対して、後者では4リンク(マルチリンク)式を採用する。さらに、試乗車の場合、DCC(アダプティブシャシーコントロール)と呼ばれるオプションの可変ダンピングシステムが搭載されていた。
Rライン専用スポーツサスペンションが装着されるTロックTDI 4MOTION Rライン ブラックスタイルは、乗り心地はやや硬めとはいえ、3人乗車で走るかぎりは、比較的快適な乗り心地が確保されるとともに、高速走行時には落ち着いた挙動を示す。さらにワインディングロードでは、ロールを抑えた軽快なハンドリングが楽しめるなど、バランスのいい仕上がりをみせる。
撮影で砂浜に足を踏み入れることもあったが、オフロードモードに切り替えると無難に走りきることができたのも4MOTIONのおかげだろう。
ゴルフクラスのSUVだけあって、扱いやすいサイズのボディーや、わずかとはいえ高められたアイポイントのおかげで運転がしやすいのも、このクルマの持ち味である。
ヨーロッパではすでに新型が登場しているTロック。日本への導入は2027年以降となる見通しだが、現時点では新型にTDIの設定はなく、この頼もしいエンジンを手に入れたいと考えている人には、現行型のTロックTDI 4MOTIONは要チェックのモデルである。
(文=生方 聡/写真=佐藤靖彦/編集=櫻井健一)
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テスト車のデータ
フォルクスワーゲンTロックTDI 4MOTION Rライン ブラックスタイル
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4245×1825×1590mm
ホイールベース:2590mm
車重:1530kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:150PS(110kW)/3000-4200rpm
最大トルク:360N・m(36.7kgf・m)/1600-2750rpm
タイヤ:(前)225/40R19 93W(後)225/40R19 93W(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:17.0km/リッター(WLTCモード)
価格:564万5000円/テスト車=622万2500円
オプション装備:ボディーカラー<インジウムグレーメタリック>(0円)/アダプティブシャシーコントロール“DCC”パッケージ+19インチアルミホイール(23万1000円)/レザーシートパッケージ(30万8000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<テキスタイル>(3万8500円)
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:4930km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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