マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)
ゆとりを求めるあなたに 2026.01.14 試乗記 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。マツダ魂の叫び
直列6気筒エンジンに、縦置きエンジンレイアウト――そんなフレーズに心が躍ってしまう私にとって、マツダのラージ商品群は常に気になる存在である。その第1弾として2022年に登場したのがクロスオーバーSUVのCX-60で、直列6気筒ディーゼルターボを搭載する後輪駆動がベースという、伝統的な構成をあえて選択したところに、「走る歓(よろこ)び」にこだわるマツダの姿勢が伝わってくる。
このCX-60、2024年12月にはデザイン変更を伴わない商品改良が実施され、乗り心地や操縦安定性の向上を狙ってサスペンションセッティングの見直しなどが行われている。
今回試乗したCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージは、この最新版のクリーンディーゼル搭載車をベースに、黒を基調としたエクステリアパーツと、ナッパレザーシートを採用したインテリアにより、スポーティーさと上質さを際立たせた一台。走る歓びとともに、マツダのラージ商品群が狙うプレミアム感を強く打ち出した仕上がりとなっていることが予想できる。
CX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージにはRWDと4WDが用意されており、そのなかから今回は4WD仕様を試乗に引っ張り出すことにした。
「INLINE6」のバッジが誇らしい
あらためてCX-60を眺めると、長めのボンネットと後退したキャビンがつくる、縦置きエンジンレイアウトらしいサイドビューがとても印象的。美しい曲面と「ソウルレッドクリスタルメタリック」のペイントとが相まって存在感を強めている。それでいて威圧的ではないのもこのクルマの魅力で、SUVをスタイリッシュに乗りこなしたい人には打ってつけといえる。
フロントフェンダーにはブラックのサイドシグネチャーが配置される。マツダによれば、「FR骨格を持つモデルであることを明確に示すため」「往年のFRスポーツカーに見られるこの造形表現によって、走りの良いSUVであることをひと目で印象づけています」とのことで、走りに対するこだわりが込められている。その中には“直列6気筒”を意味する「INLINE6」の文字が刻まれ、なんとも誇らしげだ。
CX-60の室内は、幅の広いセンターコンソールや直線的なデザインのダッシュボードなどにより横方向の余裕が実感できる。センターパネルにはエアコンやシートベンチレーターを調節する物理スイッチが並び、あらかじめ取扱説明書を読まなくても直感的に操作できるのがうれしいところ。一方、横長のセンターディスプレイはタッチ式ではなく、センターコンソールのダイヤルで操作するため、私がふだん利用している「Apple CarPlay」を使うには少し不便だった。
ディーゼルだって気持ちいい
CX-60のディーゼルターボエンジンは、排気量3.3リッターの直列6気筒。ひとまわりコンパクトな「CX-5」に搭載される2.2リッターの4気筒ディーゼルターボに比べて、最高出力で31PS、最大トルクで50N・mの高性能化が図られているにもかかわらず、WLTCモード燃費がCX-5の16.6km/リッターから18.3km/リッター(サンルーフ付き)に向上しているのは見逃せない。
早速走らせてみると、トルコンの代わりにクラッチを用いる8段ATがスムーズに発進させる。大排気量のディーゼルターボは1500rpm以下でも余裕あるトルクを発生し、一般道を流すくらいであれば1200rpm以下で十分だ。エンジンからのノイズは皆無ではないが、音質は耳障りではなく、60km/hを超えればほとんど気にならなくなった。
楽しいのはアクセルペダルを踏み込んだときで、2500rpmあたりからのスムーズな吹け上がりが実に気持ち良く、このフィーリングが4000rpm台後半まで続く。その際、エンジン音はノイズからサウンドに変わり、ディーゼルエンジンであることを忘れてしまいそうだ。
私自身、低燃費とともにその力強さが自慢のディーゼルエンジンが好きだが、回す楽しさはハナから諦めていた。しかし、CX-60の直列6気筒ディーゼルターボはエンジンのフィーリングが楽しめ、いい意味で予想を裏切ってくれた。
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効率よりもゆとり
CX-60の走りについては、導入当初は乗り心地に対して不満の声が上がっていた。マツダとしてはもちろんそれを放っておくわけはなく、前述の商品改良で対応したというわけだ。
そのおかげもあって、最新のCX-60はマイルドな乗り心地と、高速道路での落ち着いた挙動を両立している。ただし、荒れた路面では235/50R20サイズのタイヤがショックを拾い、目地段差を通過する際にも衝撃を遮断しきれないことがあった。
ワインディングロードではサスペンションのしなやかな動きに好感が持てる一方、ロックトゥロックが3回転もあるスローなステアリングが気になった。
パッケージングについても触れておくと、後席は大人が座っても十分すぎるほど広いスペースが確保される。荷室も十分といえるが、縦置きエンジンレイアウトの後輪駆動がベースだけに、ひとまわり小さいCX-5とさほど変わらず、より広い荷室を期待してCX-60を選ぼうと考えている人は注意が必要だ。
効率的なパッケージングを求めるならCX-5がオススメだが、効率よりもゆとりを求めるCX-60はそもそもCX-5とは同じステージに立っていない。それが理解できる人には、このCX-60は絶妙な選択肢になるに違いない。
(文=生方 聡/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝/車両協力=マツダ)
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テスト車のデータ
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4740×1890×1685mm
ホイールベース:2870mm
車重:1890kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.3リッター直6 DOHC 24バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:231PS(170kW)/4000-4200rpm
最大トルク:500N・m(51.0kgf・m)/1500-3000rpm
タイヤ:(前)235/50R20 100W/(後)235/50R20 100W(ブリヂストン・アレンザ001)
燃費:18.3km/リッター(WLTCモード)
価格:486万7500円/テスト車=512万1420円
オプション装備:ボディーカラー<ソウルレッドクリスタルメタリック>(7万7000円)/パノラマサンルーフ(12万1000円) ※以下、販売店オプション ナビゲーション用SDカード(5万5920円)
テスト車の年式:2025年型
テスト開始時の走行距離:1071km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:442.3km
使用燃料:31.6リッター(軽油)
参考燃費:14.0km/リッター(満タン法)/14.2km/リッター(車載燃費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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