「日産テラノ」がPHEVで復活 往年のビッグネームを継承するSUVの特徴を分析する
2026.05.28 デイリーコラム新型「テラノ」はピックアップトラックのSUV版
懐かしい車名が復活した。「TERRANO(テラノ)」である。日産自動車は2026年4月の「北京モーターショー2026」で、「テラノPHEVコンセプト」を発表した。
プレスリリースによれば、「最新のプラグインハイブリッド技術を搭載し、日産が培ってきたオフロードでの高い走行性能を継承」。さらに、「アウトドアでの走破性と都市部での快適な通勤のふたつのニーズに応える」という。日産はこの新しいオフローダーの市販モデルを1年以内に発表する予定だと明かした。
日産のイヴァン・エスピノーサCEOは同年4月に日本で行った「長期ビジョン説明会」で、日本、米国、中国をリード市場に位置づけ、それぞれの市場で販売台数と収益性、ブランド力を確保していくとコメントした。また同時に、リード市場が持つ商品、技術、生産開発の力をグローバルに活用するとも話した。それぞれのリード市場で企画、開発、生産したクルマを他の国やエリアで展開していく考えである。中国に関しては、新型モデルを順次投入して同国での事業を強化するとともに、輸出のハブとしての役割を果たしていくとも説明している。
テラノPHEVコンセプトは、2025年11月に発表した新型ピックアップトラック「フロンティア プロPHEV」のSUV版と考えていいだろう(同時にディーゼルエンジンを搭載する「フロンティア プロ」も発表された)。フロンティア プロシリーズは、日産として初めて中国で設計、開発、製造を行い、グローバルに輸出されるピックアップトラックである。輸出先は中南米、アセアン、中東を計画しているという。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
実は全長5mオーバーの大型SUV?
フロンティア プロを紹介するプレスリリースに「フレーム」の記述があることから、車体は(モノコックではなく)フレーム構造なのは間違いないだろう。パワートレインは縦置きに違いない。エンジンはガソリン1.5リッター直4ターボを搭載すると明記されている。トランスミッションに高出力モーターを内蔵し、システム最高出力は300kW(408PS)以上、最大トルクは800N・mと記してある。
走行用と発電用のモーターを持つ2モーター式ではなく、1つのモーターで駆動と発電を兼ねる1モーター式だろうか。トランスミッションの段数は未公表だが、6段より少ないということはないだろう。4WDであるのは間違いない。
ちなみに、ディーゼルエンジンを積むフロンティア プロはM9T型の搭載が明記されている。M9Tはかつてアライアンスを組んでいたルノー側の呼称。日産・ルノーアライアンスが開発したエンジンで、日産側の呼称は本来「YS23」となる。排気量2.3リッターの直4ターボで、フロンティア プロが搭載するユニットは500N・mの最大トルクを発生。ZF製8段トランスミッション(ということはATの「8HP」だろう)を組み合わせる。
バッテリー容量は未公表だが、EV走行時の最大航続距離はNEDCモードで135km以上と発表されていることから、20kWh以上のリチウムイオンバッテリーを積んでいるはずだ。
フロンティア プロの全長×全幅×全高は5520×1960×1950mm、ホイールベースは3300mmである。そのSUV版であるはずのテラノPHEVもおそらく小さいとはいえない。日本の道路環境では持て余しそうなサイズだ(と、日本上陸を仮定して想像してみる)。
例えば「トヨタ・ランドクルーザー“300”」の全長×全幅×全高が4950×1980×1925mm、「ディフェンダー110」が同4945×1995×1970mmと記せば、そのサイズ感がイメージできるだろうか。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
3スロットをオフロード系の共通意匠に
テラノの車名を復活させてはいるが、1986年に登場した初代テラノ、初代のイメージを引き継いで1995年に登場した2代目テラノとの共通性を探すのは、ボディーサイズの違い(初代は全長4365mmだった)も含めて難しい。
ボンネットから始まるテラノPHEVコンセプトのウエストラインは水平にリアエンドまで伸び、ルーフはそのウエストラインと平行にデザインされ、Aピラーは立ち気味で、バックドアは垂直に近い。サイドのウィンドウは各ピラー部がブラックアウトされているせいで連続した一枚の窓に見える。ディフェンダーとの共通性を感じるがいかがだろう。そのたたずまいから、本格オフローダーにふさわしい悪路走破性を備えて出てくるものと想像したくなる。
フロントマスクは「NISSAN」の光るロゴの下に位置する「3(スリー)スロット」が目を引く。初代で採用され、2代目ではテラノらしさを表現する要素としてあえて継承したモチーフだ。もっとも、フロンティア プロにも3スロットはあるし、2028年後半に北米での復活が予告されているクロスオーバーSUVの「エクステラ」も3スロットの採用が明かされている。3スロットは日産のオフロード系モデルの共通意匠として展開していくようだ。ジープの「7(セブン)スロットグリル」のように。
テラノといえば初代も2代目もパリ・ダカールラリーに出ていた。ひょっとして新型も? と想像するのは、日本への導入を期待する以上に妄想がすぎるだろうか。
(文=世良耕太/写真=日産自動車、webCG/編集=櫻井健一)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

世良 耕太
-
まさしく桁違いの1169PS&2000N・m 新型「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」が搭載する数々の新機軸 2026.5.27 2025年発表のコンセプトカー「メルセデスAMG GT XX」が新型「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」として正式にデビューした。その中身は100%電気自動車であり、上位グレードは最高出力1169PSという途方もないスペックを誇る。技術的ハイライトを解説する。
-
買った後にもクルマが進化! トヨタ&GAZOO Racingが提供するアップデートサービスのねらいと意義 2026.5.25 GAZOO Racingが「トヨタGRヤリス/GRカローラ」の新しいソフトウエアアップデートを発表! 競技にも使える高度な機能が、スマートフォンのアプリで調整できるようになった。その詳細な中身と、GRがオーナーに提供する“遊びの機会”の意義を解説する。
-
“ポチって”始まるブランド体験 「Amazonで買えるホンダ」って何だ? 2026.5.22 ホンダは2026年4月末、オンラインブランドストア「Honda Goods」をAmazon内にオープンした。その内容は? 「これは」と思うアイテムをピックアップしつつ、車両メーカーが力を入れる「グッズ販売」の意義について考えてみよう。
-
間もなく販売スタート 「シビックe:HEV RS」でホンダはかつての輝きを取り戻せるか? 2026.5.21 新型「プレリュード」に続き、「ホンダS+シフト」を搭載する「シビックe:HEV RS」が2026年6月に正式発売される。有段変速機のようなダイレクトで鋭い駆動レスポンスとシフトフィールが味わえるという同モデルの特徴を、開発担当者に聞いた。
-
「北京モーターショー2026」で実感 中国車の進化のスピードは想像のはるか上をいっていた 2026.5.20 今や世界最大の自動車市場である中国だが、すでに開発拠点としても世界でも有数の地位に達している。「北京モーターショー2026」で見た数々のテクノロジーは、今後は自動車の進化の中心が中国になると思わせるほどのレベルだった。現地からのリポートをお届けする。
-
NEW
第871回:今年もグリーンヘルは熱かった! ニュルブルクリンク24時間レース観戦記
2026.5.27エディターから一言“世界一過酷な草レース”として知られ、今年も波乱が巻き起こったニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のフェルスタッペンも参戦するとあって、大いに盛り上がったその様子を、世界を飛び回るモータースポーツカメラマンが臨場感満点でリポートする。 -
NEW
メルセデスAMG GLC53 4MATIC+(4WD/9AT)【海外試乗記】
2026.5.27試乗記「メルセデス・ベンツGLC」にスポーティーな「メルセデスAMG GLC53 4MATIC+」が仲間入り。「43」と「63」の中間、AMGとしては松竹梅の竹にあたるモデルだが、今後はそのポジションの重要性がさらに増すことになるという。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。 -
NEW
まさしく桁違いの1169PS&2000N・m 新型「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」が搭載する数々の新機軸
2026.5.27デイリーコラム2025年発表のコンセプトカー「メルセデスAMG GT XX」が新型「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」として正式にデビューした。その中身は100%電気自動車であり、上位グレードは最高出力1169PSという途方もないスペックを誇る。技術的ハイライトを解説する。 -
NEW
第114回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(前編) ―「トヨタ・タンドラ」の導入に対する元カーデザイナーの本音―
2026.5.27カーデザイン曼荼羅「トヨタ・タンドラ」が日本にやってくる!? トランプ大統領のゴリ押しと、トヨタ&ホンダによるアメリカ生産車の日本導入決定により、今にわかに注目を集めている“アメリカのクルマ”。かの地で育まれた特殊な造形美を、カーデザインの識者はどう見ているのか? -
車載カメラが普及した今、“デジタルサイドミラー”が主流にならないのはなぜか?
2026.5.26あの多田哲哉のクルマQ&Aサイドミラーの役割をカメラが担う“デジタルサイドミラー”は、レクサスやアウディなどで採用例があったものの、普及するには至っていない。その決定的な理由はなにか? 元トヨタの車両開発者、多田哲哉さんが語る。 -
マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R(FR/6MT)【試乗記】
2026.5.26試乗記販売台数わずか200台の限定車「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」に試乗。スーパー耐久レース参戦をはじめとするマツダのモータースポーツ活動を担うサブブランドが生み出した初の市販コンプリートカーは、いかなる走りをみせるのか。










































