スズキ・エスクード2.4XG(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
スズキ・エスクード2.4XG(4WD/4AT) 2008.11.17 試乗記 ……232万500円総合評価……★★★★
190〜210万円台で買える2.4リッターの本格SUV。そう聞くとすいぶん値頃な印象だが、肝心の中身はどうなのか。マイナーチェンジ後の「エスクード」をテストした。
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“やらまいか精神”が生んだクルマ
マイナーチェンジしたスズキ・エスクードで、スズキ本社がある静岡県浜松市までいった。エスクードにとってはいわば「里帰り」となるわけだが、東京から往復400km超の長距離移動で、元祖小型SUVは持って生まれたオールラウンダーぶりを余すことなく発揮してくれた。
従来の2リッターに代えて搭載した新開発の2.4リッター直列4気筒は、プラス400cc分のトルクアップをしっかり体感させてくれた。上り坂でも4段ATのハンデを感じず、アクセルに余裕を持って駆け抜けることができた。しかもバランサーシャフトがついたことで、静かでなめらかになっている。出力的にも快適性の面からいっても、これなら6気筒はいらないと思ったほどだ。
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それとともに、シャシーの素性のよさも印象に残った。これには同クラスの国産SUVでは唯一の、縦置きパワートレインがもたらす理想的な前後重量配分と、幅広ボディとともに手に入れたワイドトレッドが効いている。乗り心地はしっとりしなやかで、直進安定性は文句なく、なによりもハンドリングが素直。操る喜びがこのクルマにはある。しかもローレンジまでついたフルタイム4WDのおかげで、オフロードの走破性もクラストップの地位にあるのだ。
エスクードは今年、めでたく「成人式」を迎えた。みずからそのカテゴリーを創造し、しかも他の追随を許さないポテンシャルを備えるに至ったという点で、もうすぐ不惑を迎えるジムニーと一致する。「やらまいか精神」(何事にも積極的に挑戦しようとする前向きな精神)が育んだモノづくりの街・浜松を象徴する乗り物のひとつとして、このSUV兄弟を推薦してもいいのではないかという気持ちになった。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「スズキ・エスクード」は、1988年に初代がデビュー。今でいうSUVという言葉が生まれる前のことで、ライトクロカンといわれたカテゴリーの先駆者的なモデルとして注目された。1997年に登場した2代目を経て、現行の3代目が生まれたのは2005年。モノコックを基本にフロアにラダーフレームを残した「ビルトインラダーフレーム」や4輪独立懸架サスペンションを採用するなど、フルフレーム構造にリア・リジットアクスルを採用していた2代目までより、乗用車に近い造りになった。しかし、コンポーネンツの見直しはあっても、縦置きエンジンやFRベースのシャシー、ローギアとハイギアを切り替えられる副変速機など、初代から連綿と受け継ぐ機動性重視のパッケージはいまなお健在だ。
2008年6月のマイナーチェンジでは、新デザインの搭載を目玉とする改良が施された。新設計の3.2リッターV6は、吸排気VVTシステムの採用などにより高出力&低燃費化が図られ、224ps/6200rpm&29.0kgm/3500rpmのパワー&トルクを得た。
いっぽうの2.4リッター直4も、ロータリーバルブ式の可変吸気システムの採用により出力とトルクがそれぞれ向上。スペックが166ps/6000rpm、22.9kgm/4000rpmへと引き上げられた。バランサーシャフトの採用でエンジンの静粛性を図ったのも改良点のひとつだ。
また、このときの改良でフロントバンパーやグリル、アルミホールのデザインをリニューアルするなどの化粧直しを行った。
(グレード概要)
2.4リッターの「2.4XE」、その上位グレードである「2.4XG」、新世代V6を搭載した最上級の「3.2XS」の3タイプが揃う。すべてフルタイム4WDで、2.4リッターは、5段MTと4段ATが選べる。3.2リッターは5段ATのみ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
エクステリア同様、一見すると旧型と同じに見えるが、従来センターパネルの最上部に置いていたマルチインフォメーションディスプレイがスピードメーター内蔵となり、空いた場所にはセンタースピーカーが置かれた。操作系をセンターパネルに集中させて扱いやすさを高めたレイアウト、ブラックを基調にシルバーのアクセントを配したカラーコーディネイトなど、シンプルでオーセンティックな雰囲気に好感が持てる。
(前席)……★★★★★
輸出が主力のモデルであるためか、シートサイズはたっぷりしており、座面の厚み、背もたれの張りとも申し分ない。東京〜浜松間をなんの疲労も残さず走り切ることができた。すべりにくいファブリック素材を表皮に使っているので、コーナーでのサポート性能も不満なし。乗り降りに最適なシート高、足をやや下におろした自然なドライビングポジション、立ち気味のウインドスクリーンによる開放感なども、長距離を快適に過ごすために有効だった。
(後席)……★★★
身長170cmの自分が前後に座ると、ひざの前には20cm近いスペースが残る。フロント同様サイズは大きめで、座面が薄くて硬いということもない。ただし折り畳みを考えたためか、座面の傾きが水平に近いのが気になる。リクライニング可能な背もたれを立ち気味にセットするのが、個人的には具合がよかった。
(荷室)……★★★★
スペアタイヤがアウターマウントなので、リアゲートは横開きとなる。開閉時にはタイヤの重さを感じるものの、小柄な人にとっては跳ね上げ式より扱いやすいかもしれない。スペアタイヤが床下にないおかげで、荷室のフロアは低く、サスペンションの出っ張りも小さい。6:4分割の後席の折り畳みは、背もたれを前に倒したあと全体を前に跳ね上げる、いわゆるライトバンタイプで、低いフロアを生かすことができる。
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【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
新設計の2.4リッター4気筒エンジンは、旧型2リッターを21ps/3.2kgm上回る、166ps/22.9kgmを発生する。この差が素直に加速の余裕につながっており、上り坂でもフルスロットルに頼る機会は大幅に減った。ATが4段であることも、旧型ほどは気にならない。それ以上に印象的だったのがなめらかさと静かさだ。抵抗の少ないロータリーバルブ式可変吸気システム、バランサーシャフトの装備に加え、トランスミッションとの締結剛性を向上し、プロペラシャフトにスライド可能な等速ジョイントを採用したことも効いているのだろう。静粛性はV6に負けないレベルで、6500rpmから始まるレッドゾーンまでスムーズに回ってくれる。ロードノイズもよく遮断されており、クルージングでの快適性はかなり高い次元にあることが確認できた。
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(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
乗り心地は、大径タイヤの重さや硬さが旧型よりも気にならなくなり、さらに乗用車的になった。今回の長旅でもその点が確認できた。それでいて、このクラスの国産SUVで唯一の縦置きパワートレインがもたらす、ステアリング操作に対するリニアな身のこなし、前後のグリップバランスにすぐれたロードホールディングは健在。別の機会に走行したオフロードでも、姿勢をほぼ水平に保ち、前後輪にほぼ均等な荷重がかかるので、高度な走破性が手に入る。デビュー時にはV6しか選べなかったESPが、4気筒にも設定されたのはうれしいニュースだ。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:森口将之
テスト日:2008年9月9日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:225/65R17オプション装備:SRSカーテンエアバッグ・フロントシートSRSサイドエアバッグ+ESP(12万6000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状況:市街地:-- 高速道路--
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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