アウディQ5 2.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/3.0TDIクワトロ(4WD/7AT)【海外試乗記】
打倒X3! 2008.08.14 試乗記 アウディQ5 2.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/3.0TDIクワトロ(4WD/7AT)モデルラインナップの拡充を続けるアウディが、新たなターゲットとして目を付けたのがコンパクトSUVカテゴリー。新型A4をベースとしたニューモデル「Q5」に、スペインで試乗した。
A4アバントの背高版
目下、ヨーロッパの自動車メーカーが次のターゲットと見据えているのが、コンパクトSUVのカテゴリーである。爆発的な勢いでマーケットが拡大しているこのカテゴリー、いわゆるプレミアムブランドでは、今のところ「BMW X3」の独り勝ちという状況となっている。そこに遅ればせながら割り込まんとしているのが、この「アウディQ5」だ。
「Q7」の場合は、ライバル達とは軸を微妙にずらしたところで勝負をかけてきたアウディだが、このQ5ではライバル意識を前面に打ち出しているのが印象的である。開発陣曰く「すべての領域で“先行するライバル”を上回る」とのことで、そういう意味では、何をつくりたいということより、とにかく打倒X3。Q5とは、つまりそんなクルマと言えるかもしれない。
X3が3シリーズをベースとしているのと同様、Q5ベースは新型A4である。スリーサイズは全長4629mm×全幅1880mm×全高1653mmと、幅広く、そして背が低い独特のプロポーションを形成。造形的には、顔つきやルーフラインなどを見る限り、“ミニQ7”というより、むしろ“A4アバントの背高版”といった趣きである。ディテールにはさほどの新鮮味は無いが、誰の目にもアウディと即座に解るカタチなのはたしか。18インチタイヤを物足りなく見せてしまうほどの下半身の力強さはインパクト十分だ。
アウディらしくハイクオリティなインテリアは、横方向のスペースの余裕やアイポイントの高さが、心地良い開放感を演出している。居住性は文句なく、またラゲッジスペースの容量も通常時540リッター、3分割式リアシートを折り畳んだときには1560リッターと、やはりライバルを凌駕する。
軽快な走りっぷり
まず試乗したのは「2.0TFSIクワトロ」。目玉は、新しいパワートレインである。最高出力211ps/4300-6000rpm、最大トルク35.7kgm/1500-4200rpmというスペックを誇るエンジンは、アウディバルブリフトシステム、バランサーシャフトを採用した最新のもの。これに初めての縦置きエンジンレイアウト用デュアルクラッチトランスミッションである7段S-tronicを組み合わせることで、ライバルの2.5リッターを動力性能で凌駕しながら、より優れた燃費も両立させたとする。
その走りっぷりは軽快感を強く演出したものだ。エンジンは低回転域から非常にトルクが太く、かつ鋭く吹け上がり、7段S-tronicもダイレクトなレスポンスを強調している。Dレンジでの加速中には、約70km/hで7速に入るほどシフトアップは矢継ぎ早に行われるが、必要とあらばアクセルを深く踏み込むだけで即座に段を飛ばしてのシフトダウンがなされ、豪快な加速力を手に入れることができる。
フットワークも、やはりSUVらしからぬ軽快感である。背の低さが効いているのだろう、特にステアリングの正確性はA4アバントにも遜色無い印象。ただし、サスペンションも相応に硬めの設定であり、乗り心地はやや突き上げ感が気になった。
この乗り味、セダンやアバントからの乗り換えなら違和感は少ないはず。しかし、ちょっとばかり重厚感を欠くというか、SUVならではの個性あるいは歓びがあまり感じられないのが気になった。
アウディドライブセレクトは必須
その引っ掛かりを解消してくれたのが、続いて乗ったディーゼルモデル「3.0TDIクワトロ」である。最高出力240ps/4000-4400rpm、最大トルク51.0kgm/1500-3000rpmという強力なスペック。組み合わされる7段S-tronicが、1速以外のギア比が2.0TFSIクワトロより高めとされているおかげで、発進は力強く、それでいて息の長い加速感をも味わうことができる。無闇にシャープ過ぎない手応え、静粛性の高さもあわせて、その走りは、より重厚且つ上質な雰囲気だ。もしアウディがディーゼルを日本に導入するなら、このQ5 3.0TDIクワトロは大いにアリな選択かもしれない。
試乗車は20インチという大径タイヤを履いていたにも関わらず、乗り心地も文句なしだった。その秘密はA5やA4でも使われているアウディドライブセレクト。そこにパッケージングされる減衰力可変式ダンパーのおかげで、俊敏な走りはそのままに、しなやかな乗り味を実現するこの装備は、Q5にはマストと言えそうである。
Q5の日本導入は来年を予定している。ラインナップは2.0TFSIクワトロ、そして3.2FSIクワトロとなるはずだ。ヨーロッパやロシアなどでは相当売れるだろうが、日本でも今ひとつ振るわないA6に代わるA4以上のものを求めるユーザーの受け皿としても、良いポジションを得るのではないだろうか。
(文=島下泰久/写真=アウディジャパン)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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