クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】3.0TDIクワトロ:全長×全幅×全高=4629×1880×1653mm/ホイールベース=2807mm/車重=1865kg/駆動方式=4WD/3リッターV6 DOHC 24バルブ・ディーゼルターボ(240ps/4300-6000rpm、51.0kgm/1500-4200rpm)(欧州仕様車)

アウディQ5 2.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/3.0TDIクワトロ(4WD/7AT)【海外試乗記】

打倒X3! 2008.08.14 試乗記 島下 泰久 アウディQ5 2.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/3.0TDIクワトロ(4WD/7AT)

モデルラインナップの拡充を続けるアウディが、新たなターゲットとして目を付けたのがコンパクトSUVカテゴリー。新型A4をベースとしたニューモデル「Q5」に、スペインで試乗した。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

A4アバントの背高版

目下、ヨーロッパの自動車メーカーが次のターゲットと見据えているのが、コンパクトSUVのカテゴリーである。爆発的な勢いでマーケットが拡大しているこのカテゴリー、いわゆるプレミアムブランドでは、今のところ「BMW X3」の独り勝ちという状況となっている。そこに遅ればせながら割り込まんとしているのが、この「アウディQ5」だ。

「Q7」の場合は、ライバル達とは軸を微妙にずらしたところで勝負をかけてきたアウディだが、このQ5ではライバル意識を前面に打ち出しているのが印象的である。開発陣曰く「すべての領域で“先行するライバル”を上回る」とのことで、そういう意味では、何をつくりたいということより、とにかく打倒X3。Q5とは、つまりそんなクルマと言えるかもしれない。

X3が3シリーズをベースとしているのと同様、Q5ベースは新型A4である。スリーサイズは全長4629mm×全幅1880mm×全高1653mmと、幅広く、そして背が低い独特のプロポーションを形成。造形的には、顔つきやルーフラインなどを見る限り、“ミニQ7”というより、むしろ“A4アバントの背高版”といった趣きである。ディテールにはさほどの新鮮味は無いが、誰の目にもアウディと即座に解るカタチなのはたしか。18インチタイヤを物足りなく見せてしまうほどの下半身の力強さはインパクト十分だ。

アウディらしくハイクオリティなインテリアは、横方向のスペースの余裕やアイポイントの高さが、心地良い開放感を演出している。居住性は文句なく、またラゲッジスペースの容量も通常時540リッター、3分割式リアシートを折り畳んだときには1560リッターと、やはりライバルを凌駕する。


アウディQ5 2.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/3.0TDIクワトロ(4WD/7AT)【海外試乗記】の画像 拡大

アウディQ5 2.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/3.0TDIクワトロ(4WD/7AT)【海外試乗記】の画像 拡大
クリックすると、リアシートを倒したときの荷室がごらんになれます。
クリックすると、リアシートを倒したときの荷室がごらんになれます。 拡大
アウディ Q5 の中古車webCG中古車検索

軽快な走りっぷり

まず試乗したのは「2.0TFSIクワトロ」。目玉は、新しいパワートレインである。最高出力211ps/4300-6000rpm、最大トルク35.7kgm/1500-4200rpmというスペックを誇るエンジンは、アウディバルブリフトシステム、バランサーシャフトを採用した最新のもの。これに初めての縦置きエンジンレイアウト用デュアルクラッチトランスミッションである7段S-tronicを組み合わせることで、ライバルの2.5リッターを動力性能で凌駕しながら、より優れた燃費も両立させたとする。

その走りっぷりは軽快感を強く演出したものだ。エンジンは低回転域から非常にトルクが太く、かつ鋭く吹け上がり、7段S-tronicもダイレクトなレスポンスを強調している。Dレンジでの加速中には、約70km/hで7速に入るほどシフトアップは矢継ぎ早に行われるが、必要とあらばアクセルを深く踏み込むだけで即座に段を飛ばしてのシフトダウンがなされ、豪快な加速力を手に入れることができる。

フットワークも、やはりSUVらしからぬ軽快感である。背の低さが効いているのだろう、特にステアリングの正確性はA4アバントにも遜色無い印象。ただし、サスペンションも相応に硬めの設定であり、乗り心地はやや突き上げ感が気になった。

この乗り味、セダンやアバントからの乗り換えなら違和感は少ないはず。しかし、ちょっとばかり重厚感を欠くというか、SUVならではの個性あるいは歓びがあまり感じられないのが気になった。

【スペック】2.0TFSIクワトロ:全長×全幅×全高=4629×1880×1653mm/ホイールベース=2807mm/車重=1740kg/駆動方式=4WD/2リッター直4 DOHC 16バルブ・ターボ(211ps/4300-6000rpm、35.7kgm/1500-4200rpm)(欧州仕様車)
【スペック】2.0TFSIクワトロ:全長×全幅×全高=4629×1880×1653mm/ホイールベース=2807mm/車重=1740kg/駆動方式=4WD/2リッター直4 DOHC 16バルブ・ターボ(211ps/4300-6000rpm、35.7kgm/1500-4200rpm)(欧州仕様車)
拡大
Q5に搭載される2リッターの直噴ユニットには、可変バルブリフト機構であるアウディバルブリフトシステムが採用された。
Q5に搭載される2リッターの直噴ユニットには、可変バルブリフト機構であるアウディバルブリフトシステムが採用された。 拡大

アウディQ5 2.0TFSIクワトロ(4WD/7AT)/3.0TDIクワトロ(4WD/7AT)【海外試乗記】の画像 拡大

アウディドライブセレクトは必須

その引っ掛かりを解消してくれたのが、続いて乗ったディーゼルモデル「3.0TDIクワトロ」である。最高出力240ps/4000-4400rpm、最大トルク51.0kgm/1500-3000rpmという強力なスペック。組み合わされる7段S-tronicが、1速以外のギア比が2.0TFSIクワトロより高めとされているおかげで、発進は力強く、それでいて息の長い加速感をも味わうことができる。無闇にシャープ過ぎない手応え、静粛性の高さもあわせて、その走りは、より重厚且つ上質な雰囲気だ。もしアウディがディーゼルを日本に導入するなら、このQ5 3.0TDIクワトロは大いにアリな選択かもしれない。

試乗車は20インチという大径タイヤを履いていたにも関わらず、乗り心地も文句なしだった。その秘密はA5やA4でも使われているアウディドライブセレクト。そこにパッケージングされる減衰力可変式ダンパーのおかげで、俊敏な走りはそのままに、しなやかな乗り味を実現するこの装備は、Q5にはマストと言えそうである。

Q5の日本導入は来年を予定している。ラインナップは2.0TFSIクワトロ、そして3.2FSIクワトロとなるはずだ。ヨーロッパやロシアなどでは相当売れるだろうが、日本でも今ひとつ振るわないA6に代わるA4以上のものを求めるユーザーの受け皿としても、良いポジションを得るのではないだろうか。

(文=島下泰久/写真=アウディジャパン)

島下 泰久

島下 泰久

モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。

試乗記の新着記事
  • スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
  • ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
  • スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
  • トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
  • BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
試乗記の記事をもっとみる
アウディ Q5 の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
関連サービス(価格.com)
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。