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第363回:久々、クルマと全くカンケーない話題
 日本人よ“KY”を恐れるな!

2008.06.26 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第363回:久々、クルマと全くカンケーない話題 日本人よ“KY”を恐れるな!

人と違うことをやるのはおかしいことじゃない

『EURO2008』以上にクルマに全くカンケーのないおハナシを。

前々から思ってたんだけど、俺はどうにもちょっと前に流行った“KY”って表現が苦手だ。どっか違う気がする。流行りも終わりかけてるようだけど、先日知り合いがまだ使ってたんであえて……。

「空気が読めない」ってようするに「気が利かない」とか「無神経」みたいな意味だと思うんだけど、“いい意味で無神経”って確実にあると思うんだよね。人がなんといおうヤル! 人が疲れたと言ってもがんばる! そこらへんが一緒くたにされてる気がする。

KYの一例で「みんなは早く帰りたがってるのにずっと飲んでる上司」ってのがあったけど、これは基本的には強制しなきゃいいだけの話。KYというより、コミュニケーションの問題だと思う。帰りたい奴は帰ればいい。もちろん、それがしにくい集団や会社もあると思うけど……。
なかでも俺がよくないと思うのは、「KY」を嫌うがあまり、今まで以上に「無難」をモットーとする人が増えることだ。特に若い人にね。

「人がどう思うがヤルといったらヤル」がなかったら本田宗一郎だって、豊田佐吉だって生まれなかった。人と違うことをやるのは、別におかしいことでもなんでもなく、時には立派な発明に繋がることもある。もちろん、単に人と違ってみえたいだけのスタンドプレーもどうかと思うけどね。

構造的な問題もある

そして俺が一番いいたいのはここ。いわゆる「KY」は、よく聞くとかなりの部分がKYとは思えないことだ。

たとえばどっかのアンケートで「恋人がいるのに携帯待ちをしてる人」「電車で大声で話す人」「自分のハナシばっかりする男」などKYの対象として上がってたけど、俺に彼らはKYっていうより、人としてまともな感覚とは思えない。
「人に気を使えない」とか「人の気持ちが読めない」以前の問題で、そもそも「人間らしくない生き方」「考え方」だと思うのだ。

じゃなかったら恋人といて携帯電話ばかり気にするだろうか。気を使えないというより、それはもはや恋人同士ではない気がする。どちらかが勝手に付き合ってる気分になっているだけでは?

かつてKYの代表ともいわれた安倍元総理にしてもそう。彼はKYであったのかもしれないが、それ以上にそもそも大臣としての能力が備わっていなかっただけかもしれない。別に政治家としてやりたいことがあり、それが意義のあることならば多少KYでもかまわないと思う。逆に空気ばかりよんで、調整役ばかりをやる政治家のほうがロクなもんじゃない。

もうひとつ、根本的な話。この“KY現象”はある意味仕方ないということだ。それはもはや“構造的な問題”なのだ。

高度経済成長で、みなが同じ方向を向いていた時代とは違い、これだけ価値感が違い、収入が違い、ファッションセンスが違う人間が入り交じった世の中でもはや「しゃべらないでわかってもらおう」は通用しない。
大ざっぱに言ってしまえば日本は“外国化”してきている。いちいち交渉しなければいけない世の中になってきているのだ。

しゃべらなければわかりあえない

たしかに「あうんの呼吸」は日本の最大の武器だったし、心くばり、謙譲の精神は、日本が世界に誇るべき美徳だったと思う。が、残念ながらこの数十年で、日本からそれが消えつつある。それは主に教育方針であり、人付き合いのやり方であり、すべての価値を金額に換算して考える拝金主義のせいではないかと思う。

その昔の日本には、お金ではない、なにかを尊ぶ“シアワセ像”が確実にあった。しかしそんな共通認識はいまはない。みんな刹那的に、自分がシアワセになることばかり考えている。同じ世界に住んでいながら、まったく違うことを考えている人がいる。

となると「KY」が出現するのは当然のことなのだ。もはやしゃべらなければなにもわかりあえない。
それから最後にもう一つ、俺の経験上「空気を読む」ってのは完全に才能なんだよね。昔から人の心を読める人ってのはいたし、そういう人はどこの世の中でもモテたし、出世した。そうじゃなければ人を動かし、会社を動かすことなんてできっこないし、企業のトップに立つのは大抵そういう人なのだ。そういう才能を持った上で、あえて自分の意思を貫き通したりする。ま、その点でも元総理は不適格だったのかもしれない。

逆にね。空気を読めない人ってのは永遠に空気が読めないのよ。それは足が速い人、歌がうまい人みたいなのと同じ全くの才能でほぼ先天的なもの。もちろん、接客業や武道をすることで多少は能力が伸びたりするかもしれないけど、KYはKY、言ってもしょうがない。

それよりもこれからのあるべきコミュニケーション、なによりも日本はどうすればシアワセな国になれるのかを考えるほうが有意義だと思うんだけどね。ブータンの「GNH」(国民総幸福量)みたいに、新しいシアワセの尺度を考える時期にきてるんじゃないでしょうか。とても難しいことではあるんだけれどさ。

っなわけで“KY”、ちょっとムキになって考えてしまいました(笑)。

(文=小沢コージ)

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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