第360回:コージの気まぐれドイツ半移住日記
ユーロ2008でわかった! ドイツ人とオランダ人の微妙な関係
2008.06.12
小沢コージの勢いまかせ!
第360回:コージの気まぐれドイツ半移住日記ユーロ2008でわかった! ドイツ人とオランダ人の微妙な関係
ドイツのビアホールにて
さーて、どっから書いていいんでしょうか、“勢いまかせ”! ここ最近、月2回のヨーロッパ出張が続いたんでワケわからなくなってきちゃいました(笑)。ってなわけでお口直しに先日起きた小ネタをば。
ほとんどクルマと関係ないハナシで恐縮だけど、実は今、ドイツ北西のハノーバーにいるわけですね。タイヤメーカーのコンチネンタルの世界的に有名なコンチドロームっつう、テストコースの取材をしてきたんだけど、それは後で報告するとして俺の隠れ目的は“ユーロ2008”!
そ、サッカーのヨーロッパ選手権よ。コッチじゃワールドカップより盛り上がるって言われてるくらいの、因縁てんこ盛りの大会。実は“因縁”の意味もよく分かってなかったんだけど、ハノーバーのTV付きビアホールで観戦していて、ワケがよーくわかりましたわ。
こっちじゃ9日夜8時頃から、“死のグループC”のイタリアv.s.オランダ戦をやってたんだけど、俺達日本人にとっちゃどっちも有名選手揃いがゆえに、フラットに観戦可能。かたやW杯チャンピオンで、かたや選手はもちろん監督まで超有名という、初戦きっての好カードだ。
これがメチャクチャいい試合なんだわ。親善ムード全くなしのギリギリの削り合いで、マジ“グリーン上の格闘技”。選手の技術レベルもメチャクチャ高くて、1回戦なのに「もしや決勝戦?」って言いたくなるくらい。
ビューティフルゴールに全く反応しないドイツ人
まずは1点目。あれ、オフサイドじゃないの? って感じでオランダがこぼれ球を左から突き刺して先制! 最後にボールに触れたファンニステルローイがオフサイドポジションっぽかっただけに一瞬戸惑ったけど、その時、ゴール外に寝てたイタリアDFが審判の了解を得てなかったからセーフだったらしい。うーむ……。
さておき問題は2点目だ。前半31分、ものすごい勢いのカウンターから、オランダの若手選手スナイダーが右ななめ後ろ気味のセンタリングをめちゃくちゃ難しいボレーで、これまたキーパーギリギリ、右隅にゴール!!
ハッキリ言って“予選屈指のビューティフルゴール”で、日本人はメチャクチャ盛り上がったんだけど、なぜかしらねどドイツ人はシーン、不思議なくらいに沈黙しまくり。反応すらない。
それは俺達みたいな平和ボケしまくりのサッカーファンからしたら、全く理解できないメンタリティで、なんでこのゴールに反応しないの??? って感じ。あれだけサッカーを愛する国、ドイツのビアホールで、しかも相手はイタリアだよ! 今ドイツリーグで活躍中の大型FWであるルカ・トニがいるとはいえ、ドイツがそれほどイタリアを愛してるとは思えないし、いったいなんなんだこれは? と……。
そしたらあるヨーロッパ通が言いました。
「これだからドイツは全くもう……。彼らはオランダ人を本当にバカにしてるんだよね」
ドイツ人とオランダ人の深い因縁
その時俺はハッキリと分かったのだ。今までドイツ人と一緒にアウトバーンを走っていて、彼らが「NL」っつうオランダナンバーが付いた牧歌的なキャンピングカーを見る度に中指を突き上げる理由を。
ドイツ人とオランダ人、そこには狭くて深ーい因縁があったのだ。古くは第2次大戦、いやもっと深くから問題があったのだろうか。言わばそれは日本人とその他アジア諸国のような関係で、ドイツはオランダをバカにし、オランダはドイツを忌嫌う。だから主にバカンスシーズン、アウトバーンを“ただで貸してやってる”って意識のドイツ人は、ドイツを経由してコートダジュールに向かうオランダ人を腹立たしく思うというわけよ。
「だからね。クライフがいた時はすごかったんだよ。オランダ人の快感ったらなかった」
1960〜70年代のサッカー界を文字通り席巻していた、オランダ人スーパーヒーローフットボーラーのヨハン・クライフ。俺達日本人にしてみたら、普通にマラドーナやペレと並ぶサッカー偉人ではあるが、まあそれだけ。
しかし、オランダ人にとっては全然違う。それ以上の“カリスマ”というか、日頃の溜飲を下げてくれる、まさしく“救世主”だったのよ。
74年の西ドイツW杯決勝でこそ負けちゃったけど、彼のゴールや大胆な発言にオランダ人が一喜一憂したのは想像に難くなく、今回のユーロ2008の強いオランダは、当時を思い起こさせる。オランダ人にとっては喜ばしいことだけど、ドイツ人にとっては腹立たしいだけなんですね。
ってなわけでヨーロッパ諸国の複雑な関係、それはやっぱ行って見ないと、そしてクルマで走って、食べて、スポーツ見ないとわからないよなぁ…と思ったのでありました。
続きはまたね! なるべくすぐに(笑)。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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