「ブレーキを踏んでいてペダルが不意に軽くなるのは気のせい?」
2008.02.23 クルマ生活Q&A ブレーキ「ブレーキを踏んでいてペダルが不意に軽くなるのは気のせい?」
信号待ちなどでブレーキを軽く踏んでいると、不意にペダルが軽くなってスッと奥に入ることがあります。これは気のせいでしょうか?
お答えします。それは、気のせいではないと思いますよ。
よほど昔のクルマでなければ、ブレーキには「サーボ」と呼ばれる機構がついています。ブレーキペダルを踏む力を増幅し、軽く踏むだけで確実な制動力を得られるようにする装置なのです。マスターバック、ブレーキブースター、あるいは倍力装置とも呼ばれます。
多くの場合、力を増幅するために利用するのが、エンジンの吸気負圧です。ガソリンエンジンの場合、スロットルバルブが閉じていると吸気によって負圧が生じます。その力を使って、大きな制動力を生み出すのです。
ブレーキを踏んで停止すると、この負圧を使い切ってしまうことがあります。そして、静止してアイドリング状態にあるとスロットルバルブが閉じて再び負圧が蓄えられてくるので、サーボの力が復活します。それで、ペダルが軽くなったように感じるのですね。
ただ、負圧を蓄える装置が2段になっているタイプのものもあり、これを装着しているクルマはサーボの力が一定していますので、ペダルが軽くなったりはしないはずです。
また、ディーゼルエンジン車はその性質上(スロットルバルブがない)吸気負圧が発生しないので、バキュームポンプを利用して負圧を確保するようにしています。ガソリンエンジンでも、バルブトロニックなどスロットルバルブを持たないタイプの場合は、同様の装置が必要になります。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。