第48回:『2台のヨーロピアンホットハッチ』(後編)
2007.09.01 広告のススメ第48回:『2台のヨーロピアンホットハッチ』(後編)
前回に引き続き、南米はアルゼンチンでつくられた、プジョーのホットモデル「206GTI」の広告を紹介する。
クルマはどこ……?
これは、アルゼンチンでつくられたプジョー「206GTI」の広告である。“ホットハッチ”の代名詞的なグレード名「GTI」を名乗るこのモデルは、「206 S16」などと同じ2リッター直4(137ps)を積むスポーティモデル。しかし、絵柄にはクルマの影すらない。
広告の手法の1つに「Exaggeration」(誇張法)というのがある。アメリカのユーモア広告によくつかわれる手法だが、この広告はまさにそれだ。この写真、1カ所だけ誇張して他は正常なのである。
これは、プジョー206GTIが、いかに出足がよいかを誇張して表現したものなのだ。1枚目は、街角に停まっている206GTIを「いいじゃないの」と眺める人々が見送る間もなく走り去った、という図。2枚目は、有料道路の料金所でドライバーが支払った小銭が、係員の手のひらに落ちる前に、クルマはすでに見えなくなった、という図である。
どちらも「そんなバカな!」という光景だが、つまりそれほど206GTIは「速い」と訴えているのだ。ちなみに、 1行だけ添えられたコピーは「新型プジョー206GTI。最高時速210km/h、0-100km/h加速8.4秒」。ホットハッチの名に恥じない性能といえよう。
ところで、VWゴルフGTIとプジョー206GTI、ホットハッチの広告が2つともアルゼンチンで制作されたというのは、まったくの偶然なのだろうか?
(2003年5月31日)
Peugeot 206GTI/Argentina
クリエイティブディレクター:Dario Lanis/Juan Cravero
コピーライター:Robert Leston
アートディレクター:T.Marelli/M.Tiagonce/J.Lourenc
フォトグラファー:Jorge Revsin
エージェンシー:Craverolanis Euro RSCG/Buenos Aires

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
-
最終回:がんばる菜食主義者 2007.9.1 「Vegetarians Served Daily.」 アメリカのステーキレストラン「LONGHORN STEAKS」では、菜食主義者が給仕する……? 菜食主義者といっても、動物性タンパク質をまったく口にしない人もいれば、卵はOKとか、魚介類は食べるなど様々だ。とはいえ、わざわざステーキレストランで働くのだろうか。
-
第93回:アメリカで見られるアフリカの動物 2007.9.1 1670年、イギリス人によるアメリカ大陸への、最初の入植が行われた。当時のイギリス国王がチャールスII世であったことから、入植地はチャールスのラテン語名である“カロライナ”と名付けられ、729年に“North Carolina”と“South Carolina”の2州になった。
-
第92回:ランドローバー「大地のサンプル」 2007.9.1 自動車メーカー(ディーラー)のダイレクトメールといえば、クルマの小冊子やカタログや、オイル交換割引券が入っているもの。しかし、クロスカントリーモデルで有名なランドローバーのダイレクトメールには、同社ならではのユニークなアイテムがついていた。
-
第91回:“隙間”があれば大丈夫 2007.9.1 「カンヌ国際広告祭」に「Direct」と「Media」という新しい部門ができて、2004年で3年目をむかえた。このカテゴリーは、広告そのものを評価するのではない。媒体の使い方がユニークであるとか、出演した特定のタレントによってキャンペーンが予想以上の効果をあげたとか、販売促進につけた景品が面白いなど、広告に付随する効果を評価する賞である。
-
第90回:南アのフォルクスワーゲン「お別れ」キャンペーン 2007.9.1 新車では手に入らないクルマの広告キャンペーン!? フォルクスワーゲンのワンボックス「トランスポーター3」(T3Bus)の生産が終わった南アフリカで、なぜかT3Busの広告キャンペーンが行われた、そのワケは?
-
NEW
あの多田哲哉の自動車放談――三菱デリカミニTプレミアム DELIMARUパッケージ編
2026.6.5webCG Movies三菱の軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」が多くの人に支持される理由は、個性的なルックスだけなのか? トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんが、人気の秘密に迫る。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.6.5試乗記「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。 -
NEW
KTM 990 RC R(6MT)
2026.6.5JAIA輸入二輪車試乗会2026今年も開催された「JAIA輸入二輪車試乗会」より、魅惑のバイクを一挙紹介! 先陣を切るのは、この4月に発売されたばかりの「KTM 990 RC R」だ。オーストリアの雄が放つ最新鋭のスーパースポーツは、意外や“速さ”以外にも見どころの多い一台だった。 -
NEW
空冷の「スポーツスター」が復活!? ハーレーダビッドソンの定番商品はどんなバイクとなるのか
2026.6.5デイリーコラムハーレーダビッドソンが、一度は廃止した空冷の「スポーツスター」の復活を発表! 伝統の一台はなぜ絶版の憂き目にあい、そしてよみがえることとなったのか? ファンに愛される定番車種を刷新する難しさと、新型に課せられた使命、そして課題を考察した。 -
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。