第36回:『2002年カンヌ国際広告祭』(その2)
2007.09.01 広告のススメ第36回:『2002年カンヌ国際広告祭』(その2)
プレス&アウトドア部門で金賞を2つ受賞「NISSAN Pick-UP/France」
2002年のカンヌ国際広告祭「プレス&アウトドア部門」の応募本数は、9074本。プレス部門の金賞受賞作品は55本だった。日産自動車はそのうち2本を受賞したのだから、いかに狭き門であるかおわかりいただけると思う。
ピックアップの戦略
コンセプトは“Think Bigger”「大きく考えよう」。日産の新型ピックアップはデザインを変更、エンジンをグレードアップし、ボディサイズが大きくなったことに加えて荷室容量を拡大、荷物をたくさん積めるようになった。ちょっとスタイリングを見ただけでクルマを選ぶのではなく、本当にクルマを知っていて選ぶ“本格派”の人々をコミュニケーション・ターゲットにした。ピックアップは単なる商用車ではなく、日産のブランドとして目にとまるようアプローチした内容だ。
媒体:雑誌、新聞、TVCM
地域:ヨーロッパ全域
作品紹介
日産のピックアップは、大きくて丈夫。そしてスタイルもよく……となれば、アウトドアライフにもってこいのクルマといえよう。
となれば広告も、野外で楽しい遊びを情景に選ぶであろう。広い土地、芝生の庭、そこにはたいてい犬がいて、飼い主にじゃれてたりするのが一般的なイメージである。
ところがこの広告では、犬ではなく象を飼っているのだ。カバとフリスビーをやっているのだ。キャッチコピーでいうなら「日産のピックアップで、でっかいアウトドアを楽しもう」とでもいうところだろう。その誇張された絵づくりが、面白い。日常からトンだところがイイ。こういう発想は最近の日本でも、ときどきお目にかかるようになったが、やはりヨーロッパで好かれる広告である。フランス人らしい発想だ。
反響
日産ピックアップはヨーロッパで生産し、パリ・ダカールラリーにも本格的に参戦。カンヌ映画祭で金賞2つを受賞して話題になり、ヨーロッパでのブランドイメージを高めた。
NISSAN Pick UP“Elephant”、“Hippopotamus”/France
クリエイティブディレクター:Erick Vervroegen/Mehdi El Aji/Ivan Pierens
コピーライター:Vincent Lobelle
アートディレクター:Stephen Cafiero
フォトグラファー:Marc Gouby
エージェンシー:TBWA/Paris
(2003年3月8日)

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
-
最終回:がんばる菜食主義者 2007.9.1 「Vegetarians Served Daily.」 アメリカのステーキレストラン「LONGHORN STEAKS」では、菜食主義者が給仕する……? 菜食主義者といっても、動物性タンパク質をまったく口にしない人もいれば、卵はOKとか、魚介類は食べるなど様々だ。とはいえ、わざわざステーキレストランで働くのだろうか。
-
第93回:アメリカで見られるアフリカの動物 2007.9.1 1670年、イギリス人によるアメリカ大陸への、最初の入植が行われた。当時のイギリス国王がチャールスII世であったことから、入植地はチャールスのラテン語名である“カロライナ”と名付けられ、729年に“North Carolina”と“South Carolina”の2州になった。
-
第92回:ランドローバー「大地のサンプル」 2007.9.1 自動車メーカー(ディーラー)のダイレクトメールといえば、クルマの小冊子やカタログや、オイル交換割引券が入っているもの。しかし、クロスカントリーモデルで有名なランドローバーのダイレクトメールには、同社ならではのユニークなアイテムがついていた。
-
第91回:“隙間”があれば大丈夫 2007.9.1 「カンヌ国際広告祭」に「Direct」と「Media」という新しい部門ができて、2004年で3年目をむかえた。このカテゴリーは、広告そのものを評価するのではない。媒体の使い方がユニークであるとか、出演した特定のタレントによってキャンペーンが予想以上の効果をあげたとか、販売促進につけた景品が面白いなど、広告に付随する効果を評価する賞である。
-
第90回:南アのフォルクスワーゲン「お別れ」キャンペーン 2007.9.1 新車では手に入らないクルマの広告キャンペーン!? フォルクスワーゲンのワンボックス「トランスポーター3」(T3Bus)の生産が終わった南アフリカで、なぜかT3Busの広告キャンペーンが行われた、そのワケは?
-
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。
