ボルボC30 2.4i Aktiv(FF/5AT)/T-5(FF/5AT)【試乗速報(前編)】
若年寄り!?(前編) 2007.07.06 試乗記 ボルボC30 2.4i Aktiv(FF/5AT)/T-5(FF/5AT)……355万7000円/387万円
ボルボのコンパクトクーペ「C30」が日本導入となった。ガラス製テールゲートがユニークな新型に試乗。まずはラインナップとデザインについて。
ボルボクーペ285万円から
「ボルボといえば『オジサンっぽい?』『安全だけ?』『ちょっと古い?』。……そんなヒトたちに売っていきたいんです。エキサイティングなクルマとして!」
若者口調をまねながら、ボルボ・ジャパンのマーケティング担当者が「ボルボC30」のターゲットユーザーを説明してくれた。
C30は、2006年のパリサロンでお披露目されたボルボの3ドアハッチ。S40/V50のリアを切り落としたようなフォルムを採るコンパクトモデルである。2640mmのホイールベースはS40/V50そのままに、全長は20cm以上短い4250mm。全幅1780mm、全高1430mmだから、同じフォードグループ内の従姉妹モデル「フォード・フォーカス」の1840mm、1455mmと比較しても小柄にまとめられた。リアの黒いガラスハッチが大きな特徴となる。
ボルボとしては、C30のスタイリッシュなデザインで、これまで同社のクルマに見向きもしなかった層を掘り起こしたい。「35歳以下」「アクティブなライフスタイルをもつ」方々を潜在顧客と設定している。
日本では2007年7月1日から予約注文が開始された。2.4リッター直列5気筒のNA「2.4i」(170ps)と2.5リッター直5ターボ「T-5」(230ps)が輸入され、トランスミッションはいずれも5段ATが組み合わされる。価格は、以下の通り。
・2.4i Aktiv 285万円
・2.4i SE 348万円
・T-5 387万円
加えて、C30日本導入記念として、「T-5 Sport Design」が70台限定で用意された。(http://www.volvocars.co.jp/c30t5)
たとえば、「BMW120i」が353万円、「アウディA3スポーツバック2.0TFSI」が403万円。C30は、5シリンダーにして大きな排気量をもつうえ、SEから革内装が標準となる。なかなか競争力のある値付けといえる。
デザインの源流
ボルボC30は、フロントから見た格好とリアからの姿が頭の中でうまく合わさらない、ちょっと不思議なカタチをしている。オリジンは、2001年に発表された「SCC(Safety Concept Car)」に求められる。5年後のデトロイトショーで、サイモン・ラマーレの手になる「C30 Design Concept」が披露され、市販モデルにつながった。
C30は、SCCのコンセプトに忠実に、70年代のスタイリッシュボルボ「1800ES」の流れを上手に取り込み、違和感なくモダナイズした。いわゆるレトロスペクティブな流れにのらなかったのがいい。
一見、S40/V50の後半部を変えただけに感じられるが、「アウターパネルで共有するのは、ボンネットとドアハンドルくらい」だそう。サイドに張り出して見えるショルダーラインは、ドアミラー部分でわずかに落とされ、フェンダー部で再び盛り上がるといった、スペシャルティらしい細かい工夫が見られる。
日本最大のボルボディーラー「ボルボ・カーズ千葉中央」で開かれたプレス試乗会には、先行輸入モデルが用意された。実際の市販車とは細かい仕様が異なる。
C30の室内
はじめに乗ったのはNAモデル。ゆとりあるサイズの革シートに腰かけると、外観の斬新さに強い印象を受けたせいか、「室内はS40/V50と選ぶところがない」と思った。特別感を出したいヒトは、赤や青のファブリックや、ツートーンのシートを選んだほうがいいかもしれない。
センターの、スカンジナビアンな曲線を見せる「フリーフローティング・センタースタック」は、「ボーキサイトグレー・パネル」と呼ばれるタイプ。コレを「樹脂的にすぎる!」と感じる方には、北欧家具のようなウッドバージョン。もっとスポーティに演出したいオーナーには、アルミパネルもオプションで選べる。ちなみに、ウッドは2.4i SE、アルミはT-5で標準となる。
感心したのがリアシートで、2人用と割り切ったのが功を奏し、足もと、頭上とも実用十分なスペースが確保される。上から見ると、リアにむかって絞られるフォルムを逆手にとって、左右席はセンターに寄せられた。妙な居心地のよさがある。小さなアームレスト付き。(後編へつづく)
(文=webCGアオキ/写真=峰昌宏、ボルボ・カーズ・ジャパン)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
NEW
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。 -
NEW
トヨタ車はすべて“この顔”に!? 新定番「ハンマーヘッドデザイン」を考える
2025.10.20デイリーコラム“ハンマーヘッド”と呼ばれる特徴的なフロントデザインのトヨタ車が増えている。どうしてこのカタチが選ばれたのか? いずれはトヨタの全車種がこの顔になってしまうのか? 衝撃を受けた識者が、新たな定番デザインについて語る! -
NEW
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】
2025.10.20試乗記「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。