トヨタ MR-S V EDITION FINAL VERSION(MR/2ペダル6MT)【ブリーフテスト】
トヨタ MR-S V EDITION FINAL VERSION(MR/2ペダル6MT) 2007.06.22 試乗記 ……244万6305円総合評価……★★★★
発売から7年を経て、生産終了まで秒読みとなった「MR-S」。トヨタのラインナップ中最後のスポーツカーにして、最後の特別限定モデルを峠で試した。
軽さが光るスポーツカー
いわゆるトランク・スペースは皆無で、シート後方の物入れにほんの少しと、幌を上げればその折り畳み収納スペースの棚に置ける程度。と言うわけで、スーツケース持参の長期旅行には適さない。それほど潔く走ることに徹しており、「MR2」と呼ばれた過去2つの世代に較べて格段の進歩がみられる。
長いホイールベースと短いオーバーハング、空車で1020kgという軽い車体などにより、軽快で機敏な動きとまずまずの安定性に支えられ、お手軽にスポーツカーの走りを味わえる。ボディ剛性も登場時には十分と思われたが、現代のレベルに当てはめればさほど強固とは言いがたい。とはいえ、軽量ボディの利点もあるからそこそこに納得できる。
6ATはマニュアル・シフトも楽しめるATで、ギア比的にはまだ改善の余地はあるが、シフトダウン時には空吹かしして回転合わせするなど、欧州のこの手のオートクラッチ・タイプに引けをとらないスムーズな作動をする。
限界付近まで追い込むような確認はしていないが、公道上のスポーツ走行を楽しむのには十分なポテンシャルを持つ。イタリアのカロッツェリアが素材として欲しがりそうな車だ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年10月に発売された、ミドシップの2人乗りオープンスポーツカー。本格派ミドスポーツに進化した先代「MR-2」と一線を画し、「シティランナバウト」に回帰して登場した。
新開発の専用オープン・ボディのミドに1.8リッター直4エンジンを置き、ショートオーバーハング&ロングホイールベースという特性で操舵応答性と収束性の両立を図った。デビュー当時のトランスミッションは、5MTのみ。オプションで、ヘリカル式LSDが用意された。
2000年8月に、従来の5MT仕様に加えて、AT限定免許でも運転可能なシーケンシャル5MT仕様を追加。
2002年8月にはマイナーチェンジが行われ、シーケンシャル、従来型ともにMTが6段化。リアタイヤのサイズを205/50R15から215/45R16変更し、サスペンション取り付け部の剛性を上げるなどスポーティ路線を強めた。
(グレード概要)
2007年1月9日、今回の試乗車である“最後の特別仕様車”「V EDITION FINAL VERSION」が1000台限定で発売された。
ソフトトップ、本革シート&ドアトリム表皮などに専用色のレッドを追加設定。ドアアシストグリップやシフトゲージカバー(6段シーケンシャルマニュアル車)などがチタン調シルバーで飾られた。
ベース車両は2007年1月末で生産を終了、以降はこの特別仕様車のみ扱われ、 2007年7月末をもって特別仕様車の生産も終了される。
【車内と荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
スポーツカーに必要な要素を満たしている。タコメーターが中央に据わる設定も良い。3眼の白地メーターは写り込みもなく読みやすい。そのメーター類をまとめる箱の処理は、シンプルでスッキリしてはいるが、スポーツカーとしての色気が欲しい。
もうひとひねりあればプアマンズ・ボクスターとしての境地に迫れる。ステアリング・スポーク上の手元変速スイッチは、レバー操作と方向性が一致しているのも良い。
(前席)……★★★
シートの座り心地はセダン並み。座面後傾角は見た目には良さそうだが実際に腰がシートバックに押しつけられる感覚は薄い。横方向のホールドも足りない。
着座位置は低くドアを開ければ指先は路面に届く程だが、スポーツカーのポジションとして物足りないのは、腰や背中の位置決めがシッカリせず足を前に投げ出して手だけ延ばしてステアリングに掴まる姿勢を強いられるゆえか。と言ってバックレストを倒す角度とスライド量の関係はいっぱいいっぱい。
(荷室)……★
スペースそのものが確保されていないし、荷物を積むことはまったく考慮されていない。独立した車種として末長く存続させるには、こうした実用性も大事で、その点ではボクスターに見習うべきところがある。
ノーズにエンジンが無いのだから、その分のスペースは確保できるはず……というのは短絡的で、レイアウトは企画の最初から決まっているもの。この場合には必要なしと判断されたわけだ。で、後になって稼ぎ出す種類のものではないから無理。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
軽く吹け上がる。感覚的なもの、音などの演出は上々。後部に納まるエンジンはドライバーの耳にも近く、やかまし過ぎない範囲で存在を主張する。
6ATはトルコン式全自動変速とは異なり、メカ構成を油圧で動かす電子制御タイプだが、シフトダウン時にはエンジン空吹しの回転合わせもアリで、ムード満点。極端に素早い変速ではないものの、スポーツ走行を楽しめるレベルにはある。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
おおむねフラットな姿勢を保つ接地性のいい足にチューンされている。乗り心地はけっして硬くはなく、日常のアシとしても十分使える。ミドシップ・スポーツカーに期待するニュートラル感覚は薄いが、長いホイールベース、短いオーバーハングなどにより、無駄な動きがなく安心できる。MR2時代より確実に進歩したのがこの点だ。ゼロ・スクラブにより路面反力が不足する点を除けば、軽い操舵感も良好。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年5月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:3238km
タイヤ:(前)185/55R15(後)215/45R16(いずれも、ブリヂストン POTENZA RE040)
オプション装備:CDチューナー(3万2445円)/ETC車載器(1万3860円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:369.1km
使用燃料:32リッター
参考燃費:11.5km/リッター

笹目 二朗
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