アルファ・ロメオ・アルファ159スポーツワゴン 3.2JTS Q4 Q-トロニック セレクティブ(4WD/6AT)【ブリーフテスト】
アルファ・ロメオ・アルファ159スポーツワゴン 3.2JTS Q4 Q-トロニック セレクティブ(4WD/6AT) 2007.05.30 試乗記 ……602万2900円総合評価……★★★★
足並みが揃ってきた「アルファ159」のラインナップ。新たなトランスミッション“Q-トロニック”ことトルコン式ATが搭載された「アルファ159スポーツワゴン」を試す。
受け継がれた遺伝子
日本で発売されたばかりの頃は、マニュアルギアボックスしか用意されていなかったアルファ159も、昨年末には2.2リッターに“セレスピード”が、今年3月には3.2リッターに“Q-トロニック”がそれぞれ追加されて、いよいよ販売も本格化、と期待されるいま、タイミングよく上陸したのがこの159スポーツワゴンだ。
先代の156にもスポーツワゴンは存在したが、スタイリッシュなデザインがとても魅力的だったものの、ワゴンというには狭いラゲッジスペースが、良くも悪くも特徴だった。
その点、159スポーツワゴンは旧型以上の実用性を誇っているのだが、ワゴンというより5ドアハッチバックに近いという点では、旧型のDNAを受け継いでいる!?。
一方、エンジンの持ち味や足まわりの設定など、クルマとしての性格が丸くなったのが156の時代と違う部分。それが寂しく思える反面、長時間過ごしてみるとこのほうが自分の波長には合っているようで、“スポーツ”と“ワゴン”というキーワードに過剰な期待さえ抱かなければ、なかなか魅力的なクルマだと思った。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「アルファ159スポーツワゴン」は、アルファ・ロメオのセダン「アルファ159」のワゴン版として、2006年3月にイタリアでデビューした。
デザインを担当したのは、カーデザイナーのジョルジェット・ジウジアーロとアルファ・ロメオ・スタイリングセンター。実用を考えたワゴンでありながらスタイリッシュなボディデザインを特徴とする。
ラゲッジルームの容量は、先代モデル「アルファ156スポーツワゴン」の360リッターより増えて、445リッター。リアシートを格納すると、最大1235リッターまで拡大する。
コーナリング時の横滑りを防止するVDC(ビークルダイナミックコントロール)、加速時のスリップを防止するASR(アンチスリップレギュレーション)、坂道発進を容易にするヒルホードシステムなど、各種電子制御デバイスを装備する。
(グレード概要)
日本では2007年4月14日に発売された。直4の2.2リッターとV6の3.2リッター、2種類のエンジンが選べ、オーディオや内装などの装備別にそれぞれ2グレード計4車種が用意される。すべて右ハンドル仕様。
今回の試乗車、3.2リッターモデル「アルファ159スポーツワゴン 3.2 JTS Q4 Qトロニック」はフルタイム4WDで、手動シーケンシャル変速モードを備えるトルコン式AT「Qトロニック」が組み合わされる(2.2リッターモデルはオートマチックモード付きの2ペダル式MT“セレスピード”)。
同じ価格で(592.0万円)にて、18インチホイールを履く「セレクティブ」か、「チベットレザー仕上げインテリアトリム」「17インチアロイホイール」などを備える「ディスティンクティブ」を選べる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
たまたま試乗車を受け取ったのが夜だったこともあり、スイッチオンでメーターパネルやセンターパネル、ステアリングのスイッチなどに灯る赤のイルミネーションが美しく、つい見とれてしまった。
昼間あらためて観察すると、ドライバーに向けられたセンターパネルや丸いエアベントを縁取る部分などに質感の高さを覚えたが、昔ほどスポーティな雰囲気はなく、無難にまとまっているという感じだ。
プッシュボタン式のスタータースイッチを備えるなど、最近のトレンドを取り入れる一方、オーディオがやや低い位置にレイアウトされるあたりは、カーナビ装着をあまり意識していないことの現れで、そういう意味ではクラシックなデザインといえるだろう。
(前席)……★★★
標準装着のシートは、美しいタンのレザーシートで、黒を基調とした室内によく映える。シートポジションの調節は手動式。座面の高さ調節も可能だが、一番下の位置でもやや高く感じられ、なんとなく落ち着かない。
シフトレバーはガングリップタイプのデザインで、黒い部分はレザー仕上げ。左手の掌にちょうど収まるサイズがいい。シフトパターンはP/R/N/Dのポジションに加えて、Dから右に倒すとマニュアル操作用の+/-になる。ステアリングホイールにパドルシフトが備わらないのは残念。
(後席)……★★★
大人が座っても、膝のまわりのスペースや頭上に余裕があり、窮屈さを感じることはないが、4690mmという全長を考えると、もう少し広くてもいいのでは? 一方、1830mmという全幅のおかげで、横方向の余裕は十分に感じられる。ただし、シートベルトのキャッチがちょうどお尻にあたるのが邪魔で、できれば位置を見直してほしい。
乗り心地は、前席に比べると多少硬い印象だが、十分快適なレベルに収まっている。
(荷室)……★★★
ワゴンを名乗るものの、セダン同様のリアバンパーを採用する159スポーツワゴンでは、バンパー中央が切り欠かれていないために開口部からフロアまで25cmもギャップがあり、地面からも高い位置にあるため、重い物の出し入れには苦労しそう。小振りのテールゲートはリモコンキーか室内のスイッチで開けることになるが、やはりテールゲート側にも開けるためのスイッチまたはレバーがほしい。このあたりの使い勝手はイタリアンハッチそのものだ。
荷室の長さも全長からすれば物足りない。もちろんリアシートを倒すことはできるので、“セダンよりも使い勝手のいいクルマ”くらいの気持ちで乗れば、期待は裏切られないだろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
搭載される3.2リッターV6エンジンは、最高出力260ps、最大トルク32.8kgmを誇るが、これに6段オートマチックとトルセン式のセンターデフを採用するフルタイム4WDが組み合わされ、さらにワゴンボディを手に入れたために車両重量が1830kgにまでかさんでしまい、数字から期待されるほどの力強さは実感できない。
それでも実用上は不満のない性能で、低回転から6000rpmくらいまで一貫してスムーズなところなど、6気筒ならではアドバンテージはある。
アイシン製のオートマチックは、日本やドイツ勢のように、すぐに高いギアに落ち着いたり、アクセルペダルを緩めると即座にシフトアップが完了する、というタイプとは異なる。いまだラテン系のマナーを引きずっているが、以前に比べれば違和感はなくなってきているのは確かだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
意外に思えるかもしれないが、このクルマの良さはその乗り心地の快適さにある。“セレクティブ”グレードには、235/45R18サイズのタイヤが標準装着になるが、バネ下の重さが不快に思える場面は少なく、乗り心地はマイルド。サスペンションの動きはしなやかで、速度によらず姿勢をフラットに保つなど、フランス勢を凌ぐほどの“猫足”なのである。
ワインディングロードでは、重いボディが災いして軽快さこそ感じられないものの、多少リアが重くなったぶん、前後の重量バランスが向上したのか、ノーズヘビーな印象は薄く、アンダーステアも軽い。いわゆるスポーツワゴンとは一線を画すが、積極的な運転スタイルにも応えられる懐の深さが、このクルマにはあるのだ。
(写真=荒川正幸、高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2007年4月23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:780km
タイヤ:(前)235/45R18(後)同じ(いずれも、ブリヂストン POTENZA RE050A)
オプション装備:メタリックペイント(7万3500円)/アルファロメオロゴ入りフロアマットセット(2万9400円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:601.4km
使用燃料:100.3リッター
参考燃費:5.99km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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