「路面に吸いつきたい!?」

2001.05.25 クルマ生活Q&A 松本 英雄 ボディ
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「路面に吸いつきたい!?」

私は、以前メルセデスベンツ190E2.3 16Vを所有しており、高速道路での“路面に吸いつくような”感じが大変気に入ってました。「矢のような直進性」とはこのことか、と思ったものです。ところが、BMW535i(1989年型)に買いかえたら、このクルマ、あまり“路面に吸いつかない”のです。できればチューンをして、“矢のように”走りたいのですが……。(山梨県甲府市・OTさん)

お答えします。“路面に吸いつくような”感じは、日本での走行ではなかなか体験できない感覚といってよいでしょう。クルマに装着されるエアロパーツ(空力改善部品)の構造にもよりますが、かなりの高速域(140km/hを超えたあたりから)にならないと、クルマは路面に“吸いつかない”のです。

空力によって高速走行時の直進性(いわゆるスタビリティというヤツですね)を上げる方法は、大きく分けて2種類あります。ひとつは「ダウンフォース」といって、車体を上から下へ押し付ける方法。フロントバンパー下部のエアダムや、トランクリッドに取り付けられるウィングなどがそれにあたります。

もうひとつは、ボディ下部を通り抜ける空気の負圧を利用して、車体を路面に引きつけ、走行を安定させるやり方です。たとえば、日産スカイラインGR-Rや、トヨタ・セルシオは、ボディの裏側を覆うカバーや整流板を取り付けて路面とフロアパンの間を通り抜ける空気の流れを整え、クルマを路面に“吸いつけ”ます。

後者は大がかりなパーツが必要なので、OTさんのBMWには、空力パーツを付けてみたらどうでしょう。ただし、実効を得ようとすると、前後のバランスを考慮する必要がありますし、それなりのスピードも要求されるので、カッコを楽しむにとどめておいた方が無難だと思います。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。