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【スペック】全長×全幅×全高=4755×1930×1730mm/ホイールベース=2855mm/車重=2260kg/駆動方式=4WD/3.6リッターV6DOHC24バルブ(280ps/6200rpm、36.7kgm/2500-5000rpm)/価格=549万円(テスト車=586万8000円/レザーシート+ウッドパネル+フロントパワーシート+フロントシートヒーター+ボトルホルダー=37万8000円)

フォルクスワーゲン・トゥアレグV6 (4WD/6AT)【試乗速報】

若返り、だけじゃない 2007.05.22 試乗記 生方 聡 フォルクスワーゲン・トゥアレグV6 (4WD/6AT)
……586万8000円

2007年5月22日、フォルクスワーゲンのSUV「トゥアレグ」がマイナーチェンジを受け、内外装のデザイン変更のほか、エンジンがアップグレードされた。新型の3.6リッターV6モデルに試乗した。
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ベストセラーの初マイチェン

2002年、スペインではじめて「フォルクスワーゲン・トゥアレグ」を運転したとき、それまでのVWとは明らかに路線が違うニューフェイスであることに戸惑った覚えがある。

最近はずいぶんオシャレになったとはいえ、「ゴルフ」といえば質実剛健のイメージで通っている。ところがこのトゥアレグは見るからに高級車のオーラを放っているし、華美なところはないもののとても上質なつくりのコクピットが、まるで別の雰囲気をつくりあげていた。
そして、これまで足を踏み入れることのなかったオフロードでは、クルマ一台がやっと通れる砂利道や急勾配、行く手を阻む浅瀬など、次々に現れる障害を難なくクリアするワイルドさを見せつけるのだ。

そんな凄いヤツがゴルフの家族に加わるというのだから、ゴルフファンの私が戸惑うのも当然だろう。その一方で、トゥアレグが見せてくれた新しい世界がとても魅力的に思えたのも事実である。

どうやらそう感じたのは私だけではなかったようで、2002年のデビューから約4年の間にトゥアレグの販売台数は30万台を突破し、日本でも2004年に輸入SUVナンバーワンの座を手に入れるなど、世界中の多くの人の心を動かした。

その成功作がデビュー後はじめてマイナーチェンジを実施した。ひとめでわかる変更箇所は、フロントマスクの“ワッペングリル”と呼ばれるメッキグリルや新しいデザインのヘッドライトを採用したこと。これまでの落ち着いた雰囲気から少し若返ったように思うのは私だけだろうか?

テスト車に装備されたナビゲーションは、ディーラーオプション。
テスト車に装備されたナビゲーションは、ディーラーオプション。 拡大

フォルクスワーゲン・トゥアレグV6 (4WD/6AT)【試乗速報】の画像 拡大

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エンジンは直噴ガソリンに

フロントマスク以外にも、テールランプやドアミラー、メーターパネルなどのデザインが変更されているが、デザインよりも重要な変更として注目したいのが、ガソリンエンジンの直噴化である。

V6モデルでは、これまでバンク角15度の3.2リッター狭角V6が使われてきたが、マイナーチェンジを機に、すでに「パサート」に搭載されているバンク角10.6度の3.2リッターV6直噴ユニットをベースに、排気量を3.6リッターに拡大。
その結果、最高出力、最大トルクは旧型に比べてそれぞれ39psと5.1kgmアップの280ps/6200rpm、36.7kgm/2500-5000rpmに達する。

これに組み合わされる6段オートマチックや、4XMOTIONと呼ばれるフルタイム4WDシステムは従来どおりだが、ABSやESPは機能の強化が図られた。
たとえば、ABSは砂利道や砂地でも制動距離を短縮させ、ステアリングの利きを確保する“ABSプラス”を採用。またESPには、ブレーキアシストや横転のリスクを減らすアクティブロールオーバープロテクション(ARP)といった機能が追加されている。サスペンションはこれまで同様、4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、オプションで車高調節機能のある“CDCエアサスペンション”が用意される。

排気量アップの効果は?

試乗車は “カンパネーラホワイト”が眩しいV6モデル。サスペンションはノーマルのコイルスプリング式で、メーカーオプションで用意される人気のレザーシートが奮発されていた。ちなみに、V6のレザーシート仕様というのが旧型では一番の売れ筋だったそうだ。

シフトレバー横のボタンを押してエンジンを叩き起こし、さっそく試乗を開始。すぐに排気量アップの効果が感じ取れる。
車両重量が2260kgもあるから、余裕たっぷりとはいかないが、旧型に比べると2000rpm以下のトルクが厚みを増し、発進加速もストレスを感じない。街なかで3000rpm以下を多用するような場面でも、アクセル操作に対するエンジンのレスポンスが良好。ただ、加速時にエンジンが発するノイズがやや耳障りだったのが惜しいところ。
一方、アクセルペダルを深く踏んでエンジン回転を上げていくと、4000rpmあたりからは狭角V6ならではのスムーズな加速を見せてくれる。

これだけでもマイナーチェンジの意義は大きいが、サスペンションの進化も見逃せない。旧型と形式こそ変わらないが、乗り心地はよりマイルドになり、荒れた路面でもショックをうまく包み込むような印象を受けた。
それでいて、高速走行時の安定感が失われることはなく、むしろ旧型よりもフラットで落ち着きのある挙動に感心した。ワインディングロードでもロールは安定していて、こうなるとエアサスなしでも不満はないだろう。

見えるところだけでなく、数字に表れない部分でも確実に進化を遂げたニュートゥアレグ。マイナーチェンジ後もV6のレザーシート仕様が一番人気を守り続けそうだ。

(文=生方聡/写真=菊池貴之)

生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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