ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ(4WD/2ペダル6MT)【海外試乗記(前編)】
バランスの問題(前編) 2007.05.09 試乗記 ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラ(4WD/2ペダル6MT)……2554万1250円
いまはなきカロツェリア・ツーリングが得意としていたボディ構造が「スーパーレジェーラ」。同社最後の作品は、ランボルギーニ400ベースのフライングスターIIだった……。そんな因縁をもつ名前が、ガヤルドのサブネームとなって復活した! 北米からの報告。
猛牛ふたたび
「それはもう、すぐにわかりますよ。走り始めたとたん。最初のコーナリングで」
サラダの皿を手にしたランボルギーニのテストドライバー、若いジョルジォ・サーニが笑いながら言う。
「それと、停まるときにね」
ガヤルドの軽量版、ガヤルド・スーパーレジェーラのプレス試乗会は、北米南部のアリゾナ州フェニックス、砂漠のなかのリゾート地スコッツデールを基点に行われた。テストデイ前夜、簡単な食事を取りながら、翌日のドライブへの期待で胸が膨らむ。
ランボルギーニ・ガヤルド・スーパーレジェーラは、ガヤルドのボディ内外各部のパーツを軽量強靱なカーボンファイバーに置き換え、ノーマル比100kg軽い1330kgの車重(ドライウェイト)を実現したモデル。5リッターV10も、吸排気系を見直すことで、従来より10psアップの最高出力530ps/8000rpmを獲得した。52.0kgm/4250rpmの最大トルクは変わらない。台数を限定した特別仕様車としてではなく、これまでのガヤルドの、よりスポーティなグレードとしてカタログに載る。ちょうど、「フェラーリ360モデナ」と「チャレンジストラダーレ」との関係のように。というよりは、ランボルギーニがライバルと見なすメーカーの戦略に大いに刺激を受けての登場であろう。
日本での価格は2554万1250円。これは“ノーマル”ガヤルドの350〜450万円増し。ただし、2007年度分のスーパーレジェーラ300台は、日本への割り当て20台を含めて、世界的に売り切れだそうだ。
トランスミッションは2ペダル式6段MT「eギア」を標準とし、同じ値段でコンベンショナルなH型マニュアルギアボックスも選べるが、トラベルの長い大仰なギアを選ぶ理由がリポーターには思いつかない。
パワー・トゥ・ウェイト・レシオは、ノーマルガヤルドの2.7kg/psと比較して2.5kg/ps。発表された0−100km/h加速は、0.2秒速い3.8秒とされる。トップスピードは315km/h。
スーパーレジェーラが明らかに標的にしたであろう「フェラーリF430」のそれらは、4秒と315km/h。スーパーカー世代には懐かしい、カウンタック対BBのスペック争いを思い出させる状況が戻ってきた。荒い鼻息を取り戻した猛牛の挑戦を受けてたつ跳ね馬は、まだ見ぬ「F430チャレンジストラダーレ」になろうが、それはまだ先のハナシだ。
アルカンタラとカーボン
リゾートの駐車場に整列したランボルギーニ・ガヤルドのサイドには、細く描かれた帯に「Superleggera」の文字が誇らしげに記される。それ以外、軽量ガヤルドの外観に“100kgの差”を認めさせるポイントはすくない。
固定式となったカーボン製リアウィングは差違のひとつだが、350万円増しのエクストラを払えるユーザーなら、まず迷わずオプションのビッグウィング(70万円)を選ぶはずだ。やはり固定式の大きく黒いウィングは、315km/h時にノーマルウィング比57kg増しのダウンフォースを発生させる……といった実利に負けず劣らず、傍らの人の視線をリアにひきよせ、目の前のクルマがスペシャルなガヤルドであることを知らしめる効果も絶大だ。「アルミ+ガラス」だったエンジンフードが、「カーボン+ポリカーボネイト」に変更されたことも大きなニュースだ。
思いがけず軽いドアに驚く。と同時に、新しいガヤルドのインテリアが、控えめな外観のモディファイから一転、声高に「スーパーレジェーラ」を訴えることに気がつく。ドアの内張はクリアが吹かれたカーボンファイバーで形づくられ、意図的に質素な革のストラップがドアハンドルの代わりを務める。
「Superleggera」のプレートをまたいでクルマの中へ。一体成形のカーボンファイバー製バケットシートは、贅沢にアルカンタラでカバーされる。座面には4点式シートベルト(オプション)のバックルが転がる。このときは、プレス向けの「過剰な演出」とちょっと可笑しく感じたのだが……。
がっしりしたサイドサポート。ハードブレーキングに備えたとおぼしき、前部が盛り上がったシートクッション。スポーツシートに抱かれて車内をみまわすと、インテリアはマットなブラックと艶やかな黒の競演。アルカンタラとカーボンファイバーの洪水だ。「ボディウェイト100kg減の47%が、内装材の変更から得られた」という説明がよく理解される。
一方で、パワーウィンドウ、電動調整ミラー、エアコン、オーディオ類といった基本的な機能はすべて備わる。「従来モデルの快適装備を一切省くことなく軽量化を実現した」と、プレスコンファレンスで開発陣は胸をはった。(後編へつづく)
(文=NAVI青木禎之/写真=アウトモービリ・ランボルギーニ/『NAVI』6月号)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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