第319回:突撃! 上海モーターショー2007
さあみんなで“笑っチャイナショー”!?
2007.05.02
小沢コージの勢いまかせ!
第319回:突撃! 上海モーターショー2007さあみんなで“笑っチャイナショー”!?
ダジャレ!? の世界へようこそ
いやー爆笑爆笑、大爆笑!! 不肖小沢、突如思い立って先日4月20日からの上海モーターショーに行ってきました。もうソコは笑いのルツボ。往復たった3万9000円のHIS激安ツアーで行ったんだけど、カンペキ元取れましたねぇ。
唯一の失敗といえば、使った航空会社が悪名高き“ノースワースト”ことNWで、20日に着くはずが21日昼過ぎに着いて疲れまくったこと。あと、突然決まった出張だったんで、会場に一人で行くハメになったことかな。ホント、つらかったわ〜、一緒に笑う人がいなくって!(笑) 次回北京は絶対友達と行きますっ!
さてなにがおかしいかって、無粋を承知で説明させていただくと、やはり中国メーカーのコピーぶりよ。一部ネットマスコミの報道でご存知のかたも多いとは思うけど、とんでもないというかなんというか、ほとんどダジャレ!? の世界。
実際、某FM局でやってる音楽コーナーを思い出しちゃいました。いわゆる各Jポップの“ネタ元”になってる洋楽を、パクリ先と並べて紹介するコーナーなんだけど、ホントあれのクルマ版ができちゃいます(ピストンN沢さんスイマセン……)。
トヨタ、日産、フィアットまで!
ってなわけで美味しいとこだけサラっと紹介しちゃいましょう。
一番馴染みやすいのはやっぱ長城汽車ことグレートウォールだろうなぁ。問答無用のクルマ版“万里の長城”ブランドだ。中国国内じゃピックアップで9年連続ナンバーワン、SUVで4年連続ナンバーワンという凄いメーカーなんだけど、ショーでやってることも凄い!
まずは「i7」。そのマントヒヒみたいな大げさなタテグリルにゴマカされちゃいけないけど(そんなヤツいないか?)、パーペキにトヨタ・ヴィッツ。特にリアなんて本物よりカッコいいくらいで、それだけじゃない。カタログを見ればistそのもの「FLORID」はあるわ、会場にはさらに黒の「COOL BEAR」なんてのもあった。コイツをbBじゃないって人がいたらお目にかかりたいくらいよ。
しかも長城が侮れないのはネタ元がトヨタだけじゃないこと。実は日産ノートこと「GWPERI」やフィアット・パンダこと「長城迷儞SUV」も作ってて、グワッハッハー! もはや笑うしかないッス。
マツダ社員も笑う
さらに凄いところを紹介しちゃうと、つい先日までマツダ車をライセンス生産してたっていう海馬汽車ことHaima。コイツはご丁寧に社名ロゴからエンブレムまでMAZDAそっくりで、そのうえ肝心のプロダクト名も「Haima3」とカンペキにMAZDA3こと、日本名アクセラのコピー。つまりスタイルはもちろんロゴ、エンブレム、車名まで似てるわけで、まさに“クリソツ4冠王”! あまりのオキテ破りぶりにマツダ社員まで笑ったというウワサさえあります。
もっと言うとHaimaブースにはほかにプジョー406クーペにクリソツなスポーティクーペ、「S1」もあって、さすがに中国メーカー。ネタ元は一つじゃ収まりきれませんね。
そして最後にご紹介するのが『Shuanghuan AUTO』。一目瞭然のBMW X5そっくりさん「SCEO」もイイ味だしてるんだけど、やっぱ注目はショー後かショー中に実際にダイムラーベンツに訴えられたっていう「小貴族」だろうなぁ。コレね。ホント、サイコーなのよ。実は外のブースにおいてあって、前からみて「あれ? スマートフォーツーじゃん!」って思って、リアからみて「やっぱスマートだ!」って思って、よくよくインテリア見てみると「4人乗りだった!?」という……。いやはやまさしく目がテンになってしまいました。
所変わればジョーシキ変わる
最後にざっと雑感を言わせていただくと、つくづく人間、モラルというか、ジョーシキってぇのは後から学ぶモンなんですね。
「人と会ったらまず挨拶しなさい、朝は『おはようございます』で別れる時は『さようなら』よ」なーんて、思い返せば俺も親兄弟から教わった気がするし、教わってなかったらどうなるかわからない。狼少女にしろ、挨拶はもちろん、座って食事もできなかったっていうんだからさ。
それと同じで「人のマネしちゃいけません!」「いくらカッコいいからって隣に似たモノを作って売るのは犯罪です!」っていうのは先達から教えられることであり、知らなきゃわかんない。しかもある種先進国ならではの常識ってぇ部分もある。
それはマスプロダクト、つまり民主主義的な大量生産システムが生んだジョーシキであり、それどころかこれは某M社のトップデザイナーさんも言ってたんだけど、学業にせよ、絵を描く行為にせよ、すべて“先達をマネる”のが基本なわけでしょ。中華料理の修業にしろ、先輩の味をいかに盗むかがキモっていうし。そういう国がクルマを作る上で他国車をマネるのは考えによっては当たり前で、しかも一説によれば3000年の歴史を持ち、世界をリードしてきた自負のある中国は“欧米コンプレックスは皆無”だってウワサもある。そうだったら余計躊躇しないわけです。
ホント、世界のジョーシキは中国のジョーシキではなく、所変われば品変わる、じゃないけど所変わればジョーシキ変わることを実感させていただきました。
ってなわけで、来年行われる北京モーターショーでは、上海よりも自国ブランドに力入れてるってウワサなんで、さらなる爆笑カーの乱立が予想されます。もう今から気合入ってまっせー(笑)
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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