シボレー・ブレイザーLS(4AT)【試乗記】
気は優しくて力もち 2001.09.08 試乗記 シボレー・ブレイザーLS(4AT) ……298.0万円 1983年に登場したシボレー・ブレイザー。息の長いこの手のクルマのなかにあっても、いよいよモデル末期。熟成なったシェビーのSUVに、自動車ジャーナリスト、笹目二朗が乗った。基本構成は変わらない
シボレー・ブレーザーは、「SUV」(Sports Utility Vehicle)という言葉が流行る前から、フォード・エクスプローラー、クライスラー・チェロキーなどと共に、使用される場所や季節を問わないオールラウンドな実用車として、生活に密着した便利な存在でありつづけている。2000年から01年モデルに切り替わったときの変更はごくわずか。6連奏CDが全車に標準装備されることになったくらいだ。
1983年に原型が登場して以来、基本的な構成は変わっていないが、外観がリファインされ、ガラスハッチ付きのゲートになるなど、現在の姿に近くなったのは97年からだ。2.8リッターV6でスタートしたエンジンも、現在では4.3リッターV6を193ps/4400rpmと34.6kgm/2800rpmにチューンして、1890kg(LTは1910kg)のボディを運ぶ。
日本仕様は右ハンドルで、ウィンカーレバーもちゃんと右に移されており、標準車の「LS」と上級版「LT」の2つの仕様に加え、キャンピング車両の構造用件を満たした8ナンバー取得となる「フォレシェスタ」仕様も用意される。なおLSとLTではバンパー形状の差でLTの方が20mmほど長いが、ホイールベースは同じである。見分け方は、バンパー上部にメッキのお化粧が施される方がLT。実質的な差は、電動スライディングルーフと本革シートだ。
ノーズに縦方向に収まったV6エンジンによる「後輪駆動主体の4WD」というドライブトレインは、この手の四駆実用車の典型だ。4LOW/4HIGHのほかに「オートトラック」と呼ばれるオート4WDが選べる。これは、後輪が空転した時にトルクを前輪に伝達する、いわゆるスタンバイ4WDの常用モードである。センターデフを持たないから、当然タイヤサイズも4輪同じ「235/70R15」。LS、LTともタイヤの大きさは変わらないが、アルミホイールのデザインは異なる。
荒くれ男にふさわしい
ブレーザーはアメリカンらしいおおらかさが魅力だ。何の予備知識なしに乗り込んでも、コントロール、スイッチ類は常識的な位置にあるし、誤作動させにくいように、形状や位置などもよく考えられている。この辺が同じコンセプトで長く造り続けられているゆえの利点で、年を追って玉成が進められている。
たっぷりしたサイズのシートは、ルーズに座っても問題ない。リアシートはワンタッチで分割して畳め、しかもバックレストを倒すのに従いヘッドレストも自動的に折れるので、いちいち取り外す必要がない。
パワーステアリングはロック・トゥ・ロックが3回転と4分の1。グルグル回すタイプだが、昔のアメリカ車のように無闇に軽すぎない。縦置きエンジンの恩恵でハンドルはよく切れる。回転半径は5.9mと、ホイールベースが2720mmもある4WDとしてはまずまずだろう。V6「ボルテック」ユニットのたっぷりと豊かなトルクは、発進も急登坂も安楽にこなし、高速道路では低いエンジン回転で、静かで経済的に巡航する。
最新のフルタイム4WDの、より乗用車的なものに比べると、設計年代の古さを感じるところもあるが、ブレーザーの底力は、その骨太な骨格やシャシー剛性による本格的なクロカン4WDにも負けないタフさだ。たとえばトヨタ・ハリアーなどのサスペンションと見比べただけでも、つくりに“華奢さ”は微塵も感じられない。気は優しくて力持ち。まさに西部開拓史にでてくる荒くれ男のアシにふさわしい乗り物だ。
(文=笹目二朗/写真=高橋信宏/2001年7月)

笹目 二朗
-
シボレー・コルベットZ06コンバーチブル3LZ(MR/8AT)【試乗記】 2026.6.18 ルマンウイナーのパフォーマンスを、爽快なオープンエアで満喫! レース直系のV8エンジンと、圧倒的なシャシー性能が自慢の「シボレー・コルベットZ06コンバーチブル」に試乗。広く門戸が開かれた、アメリカンスーパースポーツの魅力の一端に触れた。
-
トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)【試乗記】 2026.6.17 「RAV4」は世界で年間100万台以上が販売されるトヨタ屈指の売れ筋モデルゆえに、最新の技術や装備がこれでもかと詰め込まれている。販売拡大が見込まれるプラグインハイブリッド車にそれが顕著だ。「Z」グレードの仕上がりをリポートする。
-
ホンダZR-V e:HEVクロスツーリング(4WD/CVT)【試乗記】 2026.6.16 「ホンダZR-V」といえば、スポーティーな走りが魅力のコンパクトSUVだが……人気ジャンルの一台にもかかわらず、その存在感はちょっと薄めだ。今回の一部改良でアピールを強めることはできたのか? 特別仕様車「クロスツーリング」に試乗して確かめた。
-
ホンダ・スーパーONE(FWD)【試乗記】 2026.6.15 ホンダからアグレッシブなキャラクターの新型電気自動車(BEV)「スーパーONE」が登場。往年の「シティ ターボII」を思わせるコンパクトなBEVは、先達(せんだつ)に負けない刺激を持ち合わせているのか? 気になる走りを、箱根のワインディングロードで確かめた。
-
ディフェンダー110ハードトップX-DYNAMIC SE D350(4WD/8AT)【試乗記】 2026.6.13 写真を見ていつもの「ディフェンダー」とはどこか違うと思われた方は鋭い。このクルマは1ナンバー、つまり商用車登録の「ディフェンダー・ハードトップ」である。全長約5mのボディーに備わるシートは前の2座のみ。広大な荷室を使いこなす生活を思い描いてみた。
-
NEW
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】
2026.6.20試乗記トヨタからワゴンのようなボディーの新型電気自動車「bZ4Xツーリング」が登場。いわば既存の「bZ4X」のロングボディー版だが、試乗した4WDモデルはよりパワフルになっているなど、長さ以外も結構違う。350km余りをドライブした印象を報告する。 -
これがスバルの生存戦略! 最新BEV「トレイルシーカー」の工場にみる日本メーカーの生きる道
2026.6.19デイリーコラム話題の最新BEV「スバル・トレイルシーカー」「トヨタbZ4Xツーリング」を生産する、スバルの矢島工場を見学。高度な混流生産を可能にした彼らの独自技術と、その狙いとは? 市場の変化をチャンスに変える、生き残りをかけたスバルの技術革新をリポートする。 -
KTM 390 SMC R(6MT)
2026.6.19JAIA輸入二輪車試乗会2026KTMがラインナップするスーパーモト「390 SMC R」に試乗! スーパーモトといえば俊敏性が命の“かっ飛びマシン”の宝庫だが、オーストリアの雄が擁する一台は、刺激的でありながら疲れすぎることのない、絶妙なあんばいのモーターサイクルに仕上がっていた。 -
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す
2026.6.19エディターから一言2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。 -
中東の戦闘終結で一段落? 各国の“危機的ガソリン価格”を振り返る
2026.6.18デイリーコラムアメリカ・イラン間で戦闘終結に向けた合意が2026年6月15日に成立。今後、原油をはじめ流通と物価の落ち着きを期待したいところだが……。各国のガソリン価格はどこまで高騰したのか、同年5月の危機的状況を振り返ってみよう。 -
シボレー・コルベットZ06コンバーチブル3LZ(MR/8AT)【試乗記】
2026.6.18試乗記ルマンウイナーのパフォーマンスを、爽快なオープンエアで満喫! レース直系のV8エンジンと、圧倒的なシャシー性能が自慢の「シボレー・コルベットZ06コンバーチブル」に試乗。広く門戸が開かれた、アメリカンスーパースポーツの魅力の一端に触れた。







