シボレー・アストロ LS 4WD(4AT)【ブリーフテスト】
シボレー・アストロ LS 4WD(4AT) 2001.08.04 試乗記 ……346.0万円 総合評価……★★★★ひとりでも楽しい
フォルクスワーゲン「ヴァナゴン」やメルセデスベンツ「Vクラス」と同じく商用車派生型の大勢乗りグルマであり、FF乗用車由来の“ミニバン”とはちょっと違う。むしろ小型バスに近い。メカニカルレイアウトの観点からすれば、簡単な話「ハイエース」と「オデッセイ」の中間ぐらいのところにいるクルマだ。
いわゆるミニバンと比べて、アストロはカタチのハコ度が高い。したがって空間利用効率が高い。絶対的なサイズも(特に幅と高さに関して)デカく、デカい椅子をドーンと置けることもあって居心地は抜群にイイ。ミニバン系より確実にひとまわり短い全長のなかに3列シートを設けてもなお、その背後にはたっぷりした容量の荷室を確保できる。乗用車っぽい見た目のためにハナ先を長くとる、なんてことをハナから考えていないからだ。それよりも有効室内空間優先。同じ理由から、巨体のわりに狭い場所でのとりまわしも良好。
そして、アストロは、乗れば見事にアメリカン。楽しい。多くの大勢乗りグルマはひとりで運転しているとムナしいものだが、アストロに関するかぎりそういうことはない。だからクルマ好きが自分のために買うものとしても合格。
いやホント、いいクルマだと思う。久しぶりに試乗して最初のうちはフツーのクルマとの乗った感じの違いに多少とも戸惑ったが、それもすぐ慣れた。むしろ、せっかくこのテを買うのならこれぐらいは違っていてくれたほうがうれしい。カネを払う甲斐がある。
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【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1985年に登場した3列シートのパッセンジャーバン。トラックゆずりのフレームをもつ「ユニボディ」、後輪駆動のレイアウト、といった面で、クライスラー「タウン&カントリー(ボイジャー)」に端を発する、「前輪駆動の乗用車をベースにしたモノコックボディ」のいわゆるミニバンとは成り立ちが異なる。北米では、高い牽引能力が大きなセールスポイント。4.3リッターV6「ボルテック」ユニットと、コラム式の4段ATが組み合わされる。FRほか、「オール・ホイール・ドライブ」と呼ばれる4WDモデルあり。
(グレード概要)
日本に輸入されるアストロの2001年モデルは、2列目がベンチシートになる8人乗り「LS」、キャプテンシートの7人乗り(2+2+3)「LT」に大別される。いずれも、8ナンバーとなるキャンピング仕様「フォレシエスタ」をラインナップする。LSにのみFRモデルが用意され、ほかはすべて4WD。上級グレードLTと比較して、LSは革張り内装のオプションがなく、ホイールはスチール製となる。LTにはボディストライプが入るのが、外観上の識別点だ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
前面ガラスや左右Aピラーの位置や角度が適切で、なおかつダッシュボードが奥行き短くしかもいい感じに切り立った全体形。だから前方の車両感覚をつかみやすい。商用車万歳。高く近いところに配置された操作類はいずれも使い勝手良好。着座姿勢が強度にアップライトであるため、客室をギリギリまでパワートレイン(縦置き)側=前側へ寄せたことのシワよせである中央部の大きな出っ張りも別に気にならない。商用車万歳。
(前席)……★★★★
「前後スライド」「全体の高さ」「前後それぞれの傾き」の6ウェイを電動調整可。ただし、リクラインはレバーによる手動。それプラス、やはり手動調整のランバーサポートあり。ヘッドレスト一体型背もたれの高さがじゃっかん足りないかな、という以外は文句なしのかけ心地。着座位置は、実際も体感上もかなり高くかつ前寄りで、前方の車両感覚をつかみやすいのは、そこも少なからず効いている。というか、乗員より前側のクルマの造形(前述)とセットになっているわけだけど。
(2列目シート)……★★★★
背もたれおよびヘッドレストの高さがちょっと足りない以外は非常に快適。なんというか、かけ心地がセコセコしていないのがイイ。横方向のサポート云々は基本的に考えられていないが(まるで昔のクルマみたい)、それもかえってご愛嬌。くだらない可変機構をアレコレ盛り込むよりも、まずもって大事なのはシート本来の性能。そういう基本が、これに乗るとよくわかる。車体のカタチは基本的にデカいハコなので、壁面その他から受ける圧迫感はほぼゼロ。商用車万歳。
(3列目シート)……★★★★
ナンと素晴らしいことに、空間シートともに居心地の快適さは2列目と基本的に変わらない。つまり「3列目はオマケ」ではないということだ。さらに素晴らしいことに、サードシートへの乗り降りは、セカンドシートをまったくイジらずともスムーズに行える。といって特殊な仕掛けがあるわけでもナンでもなくて、ただ単に2列目座面とドアとの間に豊かな空間があるだけの話。豊かな全幅あらばこそ成立する設計だ。ちなみに、アストロのリアのドアが右側にしかないのは反対側の床下に燃料タンク(容量101リッター)があって、それを引っ越しさせることが現実的にはムリだから。
(荷室)……★★★★
定員マイナス1名ぶん、つまりドライバーをのぞいた7人ぶんの海外旅行トランクを余裕で収納、……というのはさすがにちょっとツラいか(VWヴァナゴンはそれができる)。でも、デカくて実用的であるのは間違いなし。やはり、商用車万歳。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
文字どおり、湧き出るような余裕の実用トルク。トルコン特性やギア比配分をセコくイジってのゴマカシはこれなら無用のはずで、実際オートマ関係の感触も素直の一語。乗りやすいパワートレインのひとつのお手本のようなデキだ。また、機械で測ったらイザ知らず、騒音関係も一切気に障る成分なし。額面でなく正味の静かさがある。いずれも、日本車は徹底的に参考にしたほうがいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
簡単にいって、シャシーセッティングは日本や北米の合法運転領域にピタリ合っている。目を三角にしてコーナーを攻めたてるようなクルマではサラサラないが、動きそのものは素直なので決してコワくない(その点がトヨタ・グランビアや日産エルグランドとは大違い)。重心の高いクルマはこうでなくてちゃイカン、というものにちゃんとなっている。しかも、イヤ、そうだからこそ、アストロは乗って楽しい。ムリしたスピードを出すまでもなくドライバーが充実した気持ちで運転できるから安全。大勢乗りグルマはこうじゃなきゃイカン。
(撮影=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者: 森 慶太
テスト日: 2001年7月5日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式: 2001年型
テスト車の走行距離: 3652km
タイヤ: (前)215/75R15 100S/(後)同じ
オプション装備: --
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態: 市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:235.2km
使用燃料: 36.0リッター
参考燃費: 6.5km/リッター

森 慶太
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