ジャガーXKRクーペ(FR/6AT)【ブリーフテスト】
ジャガーXKRクーペ(FR/6AT) 2007.04.17 試乗記 ……1348万9000円総合評価……★★★★
ジャガーのプレミアムスポーツカー「XK」に“R”の名を冠したハイパフォーマンスモデル「XKR」がついに日本上陸となった。早速クーペモデルに試乗した。
まさに贅沢な
このところ“gorgeous(ゴージャス)”というキーワードを使って、自分たちの製品やブランドを明確に位置づけようとしているジャガー。そのラインナップで、とびきりゴージャスなクルマといったら、ラクシュリースポーツの「XK」が真っ先に思いつく。なかでも、「R」の称号を与えられた「XKR」は、豪華さだけでなく、ありあまるパワーを手に入れた、まさに贅沢なモデルである。
XKが、304ps/43.0kgmの自然吸気4.2リッターV8を搭載するのに対し、XKRはスーパーチャージャーが与えられたことにより、最高出力は122psアップの426psをマーク。どう猛な性格は隠しようもないが、それでも洗練されたマナーを忘れないところはさすがジャガーで、上乗せされたゆとりと興奮を存分に味わうことができる。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2006年7月に発売された新型「XK」をベースに、426psを発生する4.2リッターV8スーパーチャージドエンジンを搭載した、ハイパフォーマンスモデル。2006年7月のロンドンショーで発表された「XKR」には、「クーペ」と「コンパーチブル」がラインナップされ、2007年4月2日に日本での販売が開始された。
(グレード概要)
「XK」と比べ、専用のアルミフロントバンパーにボンネットルーバー、上下に施されたメッシュグリルなどが「R」の特徴。インテリアは、専用スポーツレザーシートにアルミニウムパネルが装着され、ヘッドレスト、タコメーター、レザーステアリングホイール、ギアシフトノブは「R」のロゴ入りとなる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
シートやドアトリムに加えて、メーターナセルやダッシュボード、そしてセンターコンソールにいたるまでレザーで覆われたインテリアは、フラッグシップモデルにふさわしい豪華な印象。これに組み合わされるXKR専用デザインのアルミパネルがスポーティさを添えている。と、ここまではいいのだが、アルミパネルと、これに隣接するエアコンの吹き出し口やシフトゲートまわりに配されたプラスチックパネルとのあいだに、質感のギャップがあって、せっかくの雰囲気を活かしきれないのが残念だ。
大きく見やすい速度計と回転計は、クロームメッキのリング部分に高級感が足りず、この部分へのイルミネーションの映り込みも目障り。スポーツモデルとはいえ、もうすこしディテールへのこだわりがほしい。
(前席)……★★★★
標準のレザーシートは、サイドサポートの部分に凹凸を設けた独自デザインを採用。見た目はスポーティだが、座ってみると窮屈さはない。シートバックは腰のあたりに張りがあってサポートは良好、長時間のドライブでも疲れしらずだ。
シートやステアリングの調整はもちろん電動で、乗降時に自動的にステアリングが跳ね上がるエントリーモードも備わる。ステアリングホイール裏には右がアップ、左がダウンのパドルスイッチがあり、シフトレバーが「D」「S」のいずれの位置にあってもマニュアル操作できるのは重宝する。
(後席)……★
全長4790mmを誇るボディサイズにもかかわらず、後席のスペースはミニマム。大きなセンタートンネルのせいで左右の移動が困難。そのうえ、大人がまともに座れるだけのレッグルームやヘッドルームは用意されていない。手荷物を置くスペースと割り切ろう。
(荷室)……★★
こちらも全長を考えると決して余裕があるとはいえない。それでも、二人分の荷物なら問題なく積み込めるだけのスペースが確保されているし、ガバッと開くテールゲートのおかげで、荷室へのアクセスは良好。床下にはスペアタイヤや工具類が収まる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
スーパーチャージャー付きの4.2リッターV8は、1000rpmも回っていれば分厚いトルクを発揮し、アクセルペダルに載せた右足のわずかな動きに即座に反応する力強さが魅力である。一方、右足に思い切り力をこめると、ギャーンというスーパーチャージャーの音と割れんばかりの排気音をともなって、怒濤の加速を見せつけてくれる。
感心したのは、レスポンスに優れたオートマチック。パドルを使ってシフトダウンすると、間髪入れずにエンジンは回転を上げ、あっというまにシフトダウンが完了してしまう。トルコン式とは思えない素早さは、とくにワインディングロードでは頼もしかった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
標準では、前245/40ZR19、後275/35ZR19を履くXKR。試乗車には1インチアップの前255/35ZR20、後285/30ZR20のオプションタイヤ&ホイールが装着されていたが、走り始めてすぐ、バネ下の重さを感じさせないしなやかな足まわりに感服した。と同時に、“浮遊感”とでも表現すればいいだろうか、ボディの上下動を軽く受け止める感覚が実に新鮮。軽量なオールアルミボディならではの乗り心地だ。
一方、スピードを上げると、電子制御ダンパーは減衰力を高めてスポーティさを増す。ワインディングロードなどでも、余分な動きを抑え込んだ機敏なハンドリングが好印象。唯一不満に思えたのは、高速道路を巡航するような場面で、やや減衰力が高すぎるのか、フラット感は向上するものの、しなやかさが不足することがあった。比較的巡航速度低い日本では、もうすこし減衰力を下げたほうがジャガーらしい乗り心地になると思う。
(写真=菊池貴之)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2007年3月22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:2262km
タイヤ:(前)255/35 ZR20(後)285/30 ZR20(いずれも、ダンロップ SP SPORT MAXX)
オプション装備:20インチ“Senta”アロイホイール(18万9000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:556.8km
使用燃料:86.5リッター
参考燃費:6.43km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.18 2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。
-
ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250リミテッド(6MT)【レビュー】 2026.4.17 アメリカの大地が鍛えたアドベンチャーモデル「ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250」に、充実装備の上級モデル「リミテッド」が登場! 試乗して感じられた、日欧のライバルに勝るとも劣らない魅力と、どうしても気になるポイントを報告する。
-
レクサスIS300h“Fスポーツ”(FR/CVT)【試乗記】 2026.4.15 「レクサスIS」のビッグマイナーチェンジモデルが登場。もはや何度目か分からないほどの改良だが、長年にわたってコツコツとネガをつぶし続けてきただけあって、スポーツセダンとしてひとつの完成形といえるレベルに達している。“Fスポーツ”の仕上がりをリポートする。
-
モーガン・スーパースポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2026.4.14 職人の手になるスポーツカーづくりを今に伝える、英国の老舗モーガン。その最新モデルがこの「スーパースポーツ」だ。モダンながらひと目でモーガンとわかる造形に、最新のシャシーがかなえるハイレベルな走り。粋人の要望に応える英国製ロードスターを試す。
-
ボルボV60ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.13 1990年代のステーションワゴンブームでトップランナーであったボルボ。その伝統を受け継ぐモデルが「V60」だ。現行型の登場は2018年とベテランの域に達しようとしているが、アップデートされた最新プラグインハイブリッドモデルの印象やいかに。
-
NEW
「洗車でボディーにキズがつく」って本当ですか?
2026.4.21あの多田哲哉のクルマQ&Aマイカーは常にきれいな状態で維持したいものの、クルマ好きの間では「洗車することでボディーにキズがつく」「洗いすぎは害になる」という意見もある。実際のところ、どうなのか? 元トヨタの多田哲哉さんに聞いてみた。 -
ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.20試乗記本格クロスカントリービークルの「ディフェンダー」にプラグインハイブリッド車の「P300e」が登場。電気の力を借りて2リッターターボとしては格段にパワフルになった一方で、カタログ燃費はなかなか悲観的な数値を示している。果たしてその仕上がりは? -
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。





























