シボレー・コルベットZ06(FR/6MT)【短評(前編)】
GMを応援したくなる(前編) 2006.07.21 試乗記 シボレー・コルベットZ06(FR/6MT) 2005年の東京モーターショーで登場した「コルベット Z06(ズィー・オー・シックス)」。エンジンに加えボディ構造も“普通”のコルベットと一線を画し、完全に作り直された新型のスゴイところとは。ほんとうの凄さ
このクルマを初めて見たのは、昨年の東京モーターショーだった。最初はフツーの「シボレー・コルベット」だと思った。しかし資料を見ると、そのあとに「Z06」の3文字が追加されており、参考出品とある。それにつられてじっくり観察すると、いろいろな部分が違うことに気づいた。
エンジンフードにはエアスクープが追加され、前後のフェンダーはふくらみ、リアホイールの前にはブレーキ冷却用ダクトが装着されている。ハイマウントストップランプを内蔵したリアスポイラーまで、大きくなっている。
中身もタダモノではない。プッシュロッドV8の排気量は、6リッターから7リッターへと、1リッターも拡大している。しかもチタンコンロッド&インテークバルブ、ドライサンプなど、昨年のルマンでクラス優勝した「C6-R」譲りのレーシングテクノロジーが注入されているという。
最高出力は404psから511ps、最大トルクは55.6kgmから64.9kgmにアップ。でもこの数字には驚かなかった。いまどきのスーパースポーツで500psはめずらしくないからだ。
Z06(ズィー・オー・シックス)のほんとうの凄さを知ったのはその半年後、試乗の直前になってからだ。某自動車雑誌の編集スタッフが発した、「フレームがスティールからアルミに置き換えられてますからね」のひとことで、このクルマに対する評価はガラッと変わった。
車重1.5トンを切ったスポーツカー
アルミフレームのおかげで、もともと1500kgジャストと軽かった車重は、1440kgにまでダイエットしている。その一方で、脱着式だったルーフを固定とし、サスペンションマウントは溶接から鋳造に変えるなど、剛性アップもぬかりない。たかが1グレードのために、ここまでするとは。
1440kgという数字は、最近デビューしたスポーツカーでいえば、BMWの「Z4Mロードスター」とほぼ同じだ。そこに排気量で2倍以上の7リッターエンジンを積んでいる。逆サイドから見ると、世にあまたあるオーバー500psのスポーツカーで、車重が1.5トンを切るのはほとんどない。
いろいろな自動車に乗って原稿を書く仕事を20年も続けているから、だいたいのクルマはスペックを見ただけで、どのぐらいの加速をするかがわかる。でもZ06に限っては、比較対象がなかった。だから予想がつかないまま、そのコクピットに身を置くハメになってしまった。
そこはフツーのコルベットとあまり変わらない。Z06のロゴが入ったシートは左右の張り出しが大きく、ステアリングがやや小径になり、スピードメーターは300km/hまで刻まれているが、内容を考えればあっけない空間だ。
エンジンも、たとえばアストン・マーティンみたいに、掛かった瞬間に猛々しい唸りをあげたりはしない。クラッチがまた、性能を考えれば異例に軽い。6段MTのシフトレバーをローに導き、まずはアイドリングのままクラッチをミートし、ゆっくりアクセルを踏んで様子をみる。(後編につづく)
(文=森口将之/写真=高橋信宏/2006年7月)
・シボレー・コルベットZ06(FR/6MT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018393.html

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。

































